【IFA2018】

シャープ、有機ELディスプレイ搭載スマートフォンを参考出展

欧州にも3機種を展開

 8月31日(現地時間)にドイツ・ベルリンで開幕する「IFA 2018」に先立ち、シャープはプレスカンファレンスを開催。有機ELディスプレイを搭載したスマートフォンを参考出展した。

参考出展された有機ELディスプレイ搭載のスマートフォン

 また、同社は欧州のスマートフォン市場に2018年から再参入しており、プレスカンファレンスでは9月に発売される最新モデルの「AQUOS D10」を披露した。シャープのブースには、発売済みの欧州向けミドルレンジモデル「AQUOS C10」も展示されていた。

有機ELディスプレイ搭載スマートフォンを披露

 有機ELディスプレイ搭載のスマートフォンは、シャープ 取締役 副社長執行役員の石田佳久氏がプレスカンファレンスで披露した。同氏はシャープの強みとして、「革新的なデザイン」を挙げ、ディスプレイの自由度が三次元になっていく方向性を示した。“ノッチ”に代表されるように平面上での自由度は増しているが、ディスプレイが曲げられることで、より形状の自由度が増すというのがシャープの考えだ。

シャープのプレスカンファレンスに登壇した、石田副社長
ディスプレイは平面方向だけでなく、立体的な自由度も増していくという

 その具体例として紹介されたのが、有機EL搭載スマートフォンだ。同モデルはシャープのブースにも展示されていたが、ディスプレイ部分が平面ではなく、中央に向かって滑らかな山を描くような形状になっている。参考出店のため、スペックは未定。ただし、背面にはおサイフケータイ(FeliCa)のマークがあり、日本での投入が近いことがうかがえた。

ディスプレイパネル自体が盛り上がるようにカーブしている
背面にはおサイフケータイのマークもあり、日本投入が近いことがうかがえる

 ディスプレイサイズなどの数値も明かされなかったが、筆者が携帯していたファーウェイ製「P20 Pro」にサイズが近かったことから、6インチ前後になることが予想される。「AQUOS R2」とは異なり、デュアルカメラは搭載していない一方で、本体は薄く作られていた。

欧州スマートフォン市場に再参入、新モデルの「AQUOS D10」も

海外売上の比率を80%に高めていく目標を掲げる

 鴻海傘下に入って以降、経営状況が回復しているシャープは、海外事業を強化している。2017年度の海外売上比率は、全体の73.4%。プレスカンファレスに登壇した副社長の石田氏によると、「近い将来、この比率を80%にすることを目指していきたい」という。事業拡大の一環として投入されたのが、欧州向けのスマートフォンだ。

 プレスカンファレンスで発表された欧州向けスマートフォン「AQUOS D10」は、シャープのフリーフォームディスプレイを採用したモデルで、5.99インチのディスプレイ上部にはノッチがあり、インカメラやスピーカーが配置されている。デュアルカメラ搭載で、レンズのF値も1.7と明るく、チップセットにはSnapdragon 630を採用する。欧州では、399ユーロ(約5万1680円)で販売される見込みだ。

9月に発売される「AQUOS D10」
背面にはデュアルカメラを備える
刀に鳥居に和傘にと、「AQUOS D10」のプロモーション映像では、これでもかというほど“和テイスト”を全面に打ち出していた

 このほか、欧州向けとしてはミドルレンジの「AQUOS C10」や、AQUOSブランドがつかない「B10」が販売されており、9月にAQUOS D10が発売されると、ラインナップは全3機種になる。欧州ではAQUOS Rシリーズのようなフラッグシップモデルは取り扱われていないが、石田氏によると、これはマーケットの特性によるところが大きいという。

発売済みモデルを含めると、ラインナップは全3機種
「B10」はテレビとセットで299ユーロ(約3万8715円)と破格の端末

 欧州では、メーカーがキャリアを通さず販売するオープンマーケットの比率が高く、端末購入補助がつかないこともあって、価格を抑えたミドルレンジ以下の端末が主流。シャープとしては、フラッグシップモデルも取り扱いたい思いがあった一方で、再参入直後ということもあり、まずはボリュームゾーンを狙う戦略を取る。

 このほか、プレスカンファレンスでは、日本で2020年に導入が見込まれる5Gについても言及があった。石田氏が紹介したのは、ドコモと行った8K映像の伝送実験。シャープは8Kのテレビも発表しているが、こうした技術と5Gを組み合わせて「新たな顧客体験を実現する」(石田氏)方針を掲げる。