【IFA2016】
ソニー、フラッグシップモデルの「Xperia XZ」を発表
Xperia X派生の小型機「Xperia X Compact」も
2016年9月1日 20:15
ソニーは、ドイツ・ベルリンで開催されるIFAに合わせ、9月1日(現地時間)に記者会見を開催した。モバイル関連製品としては、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ」「Xperia X Compact」を発表した。
“XZ”のラインナップ内での位置づけ
Xperia XZは、“Xperia Xシリーズの最上位モデル”という位置づけ。2月のMobile World Congressに発表された「Xperia X」はミッドレンジモデルで、シリーズ3機種とも5インチのディスプレイを搭載していたが、Xperia XZは5.2インチ、Xperia X Compactは4.6インチとサイズも異なっている。
製品ラインナップという点では、日本で3キャリアから発売された「Xperia X Performance」は、Xperia Xの派生機にあたり、グローバルでは展開地域も限定されていた。これに対し、Xperia XZはXperia Xより上位に位置するモデルとなり、型番の最後に「Z」がつく。2月に発表された「Xperia XA」は廉価モデルだったが、Xperia Xを中心に、Xperia XZはこれと対になる存在。型番の最後につくアルファベットが、シリーズ内における性能の高低を示しているようだ。
一方で、Xperia X Compactは、Xperia X Performance同様、Xperia Xの派生機となり、コンパクト版という位置づけ。ディスプレイサイズは異なるが、チップセットにSnapdragon 650を採用するなど、ミッドレンジの上位モデルといったスペックに仕上がっている。Xperia Zシリーズのころのコンパクトモデルは、CPUなどのスペックをほぼフラッグシップモデルと同等にしていたが、この点は変更になっている。
ラインナップとしては、最上位にXperia XZがあり、中央がXperia X、その下をXperia XAが埋めるようなイメージ。これら3機種が“本流”だとすると、Xperia X PerformanceやXperia X Compactは、Xperia Xからの“分家”とも言える。型番にPerformanceやCompactといった、意味のある単語がついているものは、派生機という位置づけになる。
オートフォーカス機能を刷新して、カラーセンサーも搭載
Xperia XZは、5.2インチのフルHDディスプレイを搭載した、ハイエンドスマートフォン。カメラのオートフォーカス機能を刷新しており、新たにレーザーオートフォーカスに対応した。ハイブリッドオートフォーカス(コントラストと位相差を併用)も継承しており、撮影時の環境に応じて、これらを使い分ける仕様だ。具体的には、レーザーオートフォーカスは、暗所で使用する。
カメラには、「RGBC-IRセンサー」も搭載。これは色を識別するためのセンサーで、従来より、正確な光源環境を測定。これによって、写真の色味を、より忠実に再現できるようになっている。また、動画撮影は、手ブレ補正機能が進化。これまで3軸だったものが、5軸へとパワーアップしている。
Xperia Xシリーズでは、スマートフォンの処理能力を生かした「インテリジェント」な機能も特徴としており、Xperia XAでは新たに充電の最適化技術を導入。ユーザーの利用環境を学習するのが特徴で、たとえば、就寝時には充電の速度を落とすなどして、バッテリーへの負荷を下げ、長寿命化を図る。Xperia Xから搭載された「Smart Cleaner」も、インテリジェント化を図り、ユーザーごとに最適化をかけるようになった。
筐体には、神戸製鋼のアルカレイドという金属素材を採用。これはアルミの純度や輝度が高い素材となる。ユーザーインターフェイスとボディが一体となるデザインコンセプトは継承しているが、Xperia Xより、ややスクウェアになった印象も受ける。
サイズは146×72×8.1㎜で、重量は161g。チップセットはSnapdragon 820で、RAMは3GB、ROMは32GBもしくは64GB。充電などに用いる外部接続端子は、新たにUSB Type-Cが採用された。バッテリーは2900mAh。OSは、Android 6.0となる。
一方のXperia X Compactも、カメラ機能はXperia XZとほぼ同じだ。唯一の違いとしてあるのが4K動画撮影で、Xperia X Compactのみ非対応となる。バッテリーなどのインテリジェント機能にも、対応する。
Xperia XZとは異なり、筐体は樹脂素材。これを加工することで、陶器のような質感を実現したという。先に挙げたように、チップセットはSnapdragon 650で、こちらもXperia XZとの違いだ。ディスプレイサイズは4.6インチで、解像度は720pのHD。RAMは3GB、ROMは32GBで、USB Type-Cが採用される。バッテリーは2700mAh。OSはAndroid 6.0となる。
なお、Xperia XZは従来のフラッグシップモデルと同様、防水仕様だが、Xperia X Compactは対応が見送られた。発売時期はXperia XZが10月以降、Xperia X Compactが9月以降となり、日本を含むグローバルで展開されるという。ただし、両方、あるいは片方になるのかは不明。取り扱いキャリアも表明されていない。
「ラストワンインチ」の商品作りを強調する平井氏
プレスカンファレンスには、ソニーのCEO、平井一夫氏が登壇。冒頭では、ソニーの業績や、コンシューマーエレクトロニクスの将来性に対して懐疑的な見方があることにあえて触れつつも、「私は違う見方をしている」と反論。ユーザーとの距離である「ラストワンインチ」に、「幅広い製品を通じて『感動』を提供していきたい」と語った。
その一例として、IFAで発表されたオーディオ関連の新製品を紹介。高音質化技術を惜しみなく盛り込んだヘッドホン、ヘッドホンアンプ、ウォークマンの「Signature Series」を披露した。また、PlayStation 4や、社内ベンチャープログラムである「Seed Acceleration Program(SAP)」の取り組みを解説している。
参入が発表されたロボット事業については、「残念ながら製品は用意していない」と笑いを誘いつつも、「ビデオ、オーディオ、センサー、メカトロニクス、AI、ロボティクス、通信のすべてを結集させた製品にしていきたい」と述べ、プレスカンファレンス参加者に期待感を持たせた。
プレスカンファレンスの中でもっとも時間を割かれたXperia XZ、Xperia X Compactの発表パートでは、ソニーモバイルのEVP、Global Sales & Marketing担当、古海英之氏にバトンが渡り、新製品の概要が紹介された。
古海氏は、Xperiaのコンセプトになっている「パーソナライズ」と「インテリジェンス」を挙げ、「ユーザーの好み、活動、行動を理解するもの」と解説。平井氏の挙げたキーワードである「ラストワンインチ」を引用しつつ、「(Xperiaで)感動体験をラストワンインチまで、お届けすることを約束する」と語った。
2月のMobile World Congressで発表されていた、Xperiaブランドを冠する「スマートプロダクト」についても、その進捗状況が紹介された。耳に装着し、スマートフォンを音声でコントロールできる「Xperia Ear」は、11月以降に発売することが決定。参考展示されていた「Xperia Projector」は、ヤフーやネスレ日本とタッグを組み、利用シーンの一例を紹介した。
続けてXperia XZ、Xperia X Compactが発表され、先に挙げた新たなカメラ機能や、利用シーンに合わせて充電を最適化する機能などが披露された。古海氏は「(Xperiaのような)より直観的な製品で、毎日の生活が、もっと便利に、楽に、のびのびとしたものになるようにしていきたい」と語っている。