【2014 INTERNATIONAL CES】
64bit CPU搭載「Tegra K1」発表、NVIDIAのフアンCEOが語る
(2014/1/6 18:54)
1月7日(現地時間)から米・ラスベガスで開催されるCESに合わせ、NVIDIAは5日、プレスカンファレンスを開催。Tegraシリーズの最新チップセットとなる、「Tegra K1」を発表した。
プレスカンファレンスでは、同社のCEOのジェン・スン・フアン氏が「ゲーム」「チップ」「カー(車)」という3つのテーマを掲げ、それぞれに沿った製品を紹介していった。Tegra K1は、この中のチップに当たるものだ。Tegra K1の発表に先立ち、フアン氏はTegraシリーズの歴史を振り返る。同氏が「Tegra 2は世界初のデュアルコア、Tegra 3は世界初のクアッドコアで、Tegra 4ではCPUパフォーマンスが2倍になった」というように、NVIDIAは、現在のスマートフォンやタブレットでは当たり前のマルチコア化を他社に先駆ける形で行ってきている。
一方で、新たに発表されたTegra K1は、「直線的ではない」(フアン氏)という進化をとげている。NVIDIAが「GeForce GTX 780 Ti」のGPUに採用したKeplerアーキテクチャーを採用し、GPUのコア数も192となる(Tegra 4は72のGPUを搭載していた)。
Tegra K1のCPUには、2つのバージョンが存在する。1つが、従来のTegraシリーズにも採用されていた「ARM Cortex A15」で、こちらはクアッドコア、2.3GHz駆動。もう1つが、NVIDIAがカスタム設計した64bitのCPUで、これは「Denver」というプロジェクトネームで呼ばれていたものだ。こちらのバージョンは「ARMv8」を64bitにしており、デュアルコア、2.5GHz駆動となる。
フアン氏はプレスカンファレンスで、Androidが動作するデモを行っており、「64bitのARMv8でAndroidを動かす、世界初のパフォーマンス」と自信をのぞかせた。フアン氏が紹介したベンチマークによると、Tegra K1は、同じ64bitのアーキテクチャーを採用しているアップルの「A7」(iPhone 5sやiPad Air、iPad mini with Retina Displayに搭載)と比べ、3倍弱のパフォーマンスを誇るという。
このチップセットには、パソコンや「PlayStation 4」「XBox ONE」といったコンソールゲーム機用のタイトルにも採用される、「Unreal Engine 4」が対応することも明かされた。プレスカンファレンスでは、Androidタブレット上で動作するさまざまな映像が紹介されたが、フアン氏が「これは写真ではなく、リアルタイムにレンダリングされたものだ」と述べていたことが印象的だった。
パソコンやコンソールゲーム機と同じエンジンが採用されたことによって、ゲームの開発者は、モバイル向けのタイトルも同じプロセスで開発できるようになる。こうした状況を指し、フアン氏は「今は(それぞれの)アーキテクチャーが異なるが、より多くのユーザーにタイトルを届けることができるようになる」と語った。
Tegra K1を搭載した端末は、32bitのクアッドコアバージョンが2014年の上半期、64bitのデュアルコアバージョンが2014年の下半期に登場する予定だ。プレスカンファレンスの会場には、日本でも発売された「Tegra Note 7」に似た筐体のリファレンス端末が展示されており、実際にTegra K1上で動く映像などを確認することもできた。
このほか、NVIDIAのプレスカンファレンスでは、Tegra K1を車載用にカスタマイズした「Tegra K1 VCM」も発表されている。