【CEATEC JAPAN 2010】
UQ、「WiMAX2」の動態デモやモバイルルーターの次期製品
UQコミュニケーションズは2階建ての展示ブースを設営。1階ではモバイルWiMAXモジュール内蔵PCや通信端末、モバイルWiMAXを利用した各種ソリューションなどを展示し、2階では最大330Mbpsの高速通信を実現する技術「WiMAX2」のデモンストレーションを行っている。
■WiMAX2の動態デモでピーク330Mbps以上をアピール
2階をWiMAX2のデモ会場としたUQコミュニケーションズのブース |
WiMAX2の動態デモは、開発中の基地局設備から端末設備に向けて多数のHD動画を送信するもので、平均で300Mbps以上、ピーク時で330Mbps以上と、現在提供されているサービスに比べ8倍以上のパフォーマンスが得られることを紹介している。ただし、実際に電波を発射すると既存のモバイルWiMAXネットワークに干渉する可能性があるため、今回のデモでは基地局・端末間を有線で接続している。WiMAX2の性能を動態で紹介するデモは世界初だという。
端末側には5台のパソコンが接続され、そのうち4台はそれぞれがHD動画4本ずつを同時再生し、残る1台は3DのHD動画1本を再生していた。3D動画には両眼用の映像が含まれるため2本と数えると、都合18本のHD動画を同時伝送するデモと言える。
このような形態でのデモとなったは、現在は単体で300Mbps超の通信帯域を必要とする用途がないため。技術的にはネットワークの部分よりも、動画を送出するサーバーなどの調整に苦労したということで、それだけ現実離れしたスピードにも対応可能な通信方式であることを示した形だ。
WiMAX2では、周波数帯域幅を現在の4倍にあたる40MHzに広げるほか、4×4 MIMO(現在は2×2)の導入によって周波数利用効率を2倍にし、通信速度を向上させる。年内完了を目標にWiMAX Forumでの標準化作業が行われており、2012年中の対応機器発売を目指す。ただし、300Mbps超を実現するには追加の周波数が必要となるため、実際のWiMAX2サービスの提供は新たな周波数帯域での事業免許を得られることが条件となる。
合計18本のHD動画を同時伝送 | ピークで330Mbps以上の高速通信を実現 |
デモンストレーションの機器構成 | 左のラックにあるBS-RRHが無線部、BS-DUがベースバンド信号処理・制御部で、それぞれ重量は約20kg。右のキャビネットの中には、試作用のボード上に実装された端末設備が格納されている |
■モバイルルーター新製品と、生活の中にとけ込むWiMAX
参考出品されたモバイルルーターの新製品。奥に並ぶのがアルチザネットワークスの「AZ01MR」と革製専用ケース。左下の「WMX-GWBA」(アイ・オー・データ機器)は正式発表済みで10月下旬発売予定 |
今後登場する通信端末としては、モバイルルーターが数機種展示された。
通信事業者や機器ベンダー向けの計測器を開発・販売するアルチザネットワークスは、初のコンシューマー向け製品としてWiMAXモバイルルーター「AZ01MR」を発表。iPadなどと組み合わせて利用する際も違和感のないスタイリッシュなデザインで、オプションにはバッグなど革製品のブランドとして知られるボーデッサン(BEAU DESSIN S.A.)の専用ケースを用意するなど、デザインやファッションへの意識が高いユーザーへの訴求を図る考えだ。発売は12月下旬を予定している。また、発売時期は未定だが、NECアクセステクニカやアイ・オー・データ機器も持ち運び使用をさらに意識したモバイルルーターを参考出品している。
組み込み用のWiMAX通信モジュールもラインナップが充実してきており、量産出荷で先行する住友電工ネットワークスのモジュールを搭載したネットワークカメラや遠隔監視システム、自動販売機などが紹介されている。その他、成田エクスプレスE259系車両内でのWiMAXサービス提供に使用されているリピーターや、撮影画像をWiMAXネットワーク経由でサーバーへアップロードするシールプリント機なども展示された。
(日高 彰)
2010/10/7/ 11:00