世界のケータイ事情

イタリアが自撮り棒だらけに

イタリアの風景

 休暇でイタリアを訪れた。ルネサンスが興った都市をめぐるべくベネチア、フィレンツェを旅した。しかし、水の都の美しい景色やメディチ家が集めた絵画などと同じくらい印象に残ってしまったのが、自撮り棒だ。

 自撮り棒は、スマートフォンを先端に取り付けて自分の写真を撮るための棒で、海外ではセルフィー・スティック(Selfie Stick)と呼ばれる。観光地で使う人が増えているというのは聞いていたが、このイタリアではびっくりするくらい多くの観光客が使っている。東京でも海外からの観光客が使っているのを見かけることがあるが、その比ではない。観光客の数自体が多いことに加えて、自撮りしたくなるような風景がたくさんあるからだろうか。

ベネチアの様子
フィレンツェの様子

 欧米人、中東人、東南アジア人、中国人とあらゆる人々が使っている。当然日本人も見かける。イタリアの街はこのキラリと光る棒だらけになってしまった。

ベネチア アカデミア美術館入り口

 一方で、自撮り棒を禁止しているホッとする場所もある。ミュージアムだ。展示物を傷つけたり、他の入場者にぶつかったりする恐れがあるからだ。このようにミュージアムの入り口では、自撮り棒禁止が表示されている。

 多くの観光客が集まる海外のミュージアムは、展示物の写真撮影を可としているケースも多い。ただし、そういうところであっても自撮り棒の利用は禁止し始めている。直近では2015年2月に、米メトロポリタンミュージアムと米ニューヨークミュージアムが、2015年3月には米スミソニアン博物館、英ロンドンナショナルギャラリー、仏ベルサイユ宮殿が、館内での自撮り棒の利用を禁止している。

自撮り棒売り

 ちなみに、最近は人がたくさん集まる場所には“自撮り棒売り”さえ出没する。値段を聞いてみると10ユーロ(約1360円)だという。もし自撮り棒がほしくなっても彼らからは購入してはいけない。そのへんの売店では3ユーロ(約410円)で売っている(すぐ壊れそうだが)。