世界のケータイ事情

地域で異なるMessengerアプリ事情

 前回、モンゴルではViberが人気だと伝えたが、世界各地によって使われているMessengerアプリにも傾向がある。地域別にどのようなMessengerアプリが使われているのかについて眺めてみよう。

日本の状況

 まず足元の日本のMessengerアプリ市場についてだが、日本ではLINE、Twitter、Facebookが3強であり、その中でもLINEが圧倒的なシェアを誇る。もし、外国人が日本に在住するのであれば、利用者が多いLINEを使うことをお勧めしたい。

 筆者の場合、LINEとFacebookを併用しており、相手により2つを使い分けている。家族、日本の友人とはLINEを使うことが多い。LINEはスタンプ機能が充実しており、文字を打つよりも簡単に、しかも視覚的に相手に状況を伝えらえるというのが理由だ。一方、外国人の友人とはFacebookを使う。外国人の場合は元々Facebookを利用していることが多いためだ。Facebookを使う利点として、外国ではプリペイド式の携帯電話を利用している人も多く、電話番号が頻繁に変わることがある。この場合、Facebookに昨年追加された電話機能を使うことにより、相手の電話番号を知らないでも電話することができる。

世界で一番使われているMessengerアプリは?

 世界で最もユーザー数が多いMessengerアプリはWhatsAppで8億人のユーザーがいる(WhatsApp CEO Jan Koum氏の2015年4月17日のFacebook発言より)。WhatsAppは31言語に対応しており、1日あたりのメッセージ数は30億通、7億枚の写真と1億本のビデオがシェアされている。ただ、日本のiPhoneのアプリダウンロードランキングで見ると、Social Network部門で60位のため、読者の中で使用した経験がある人は少ないかもしれない。

 2位はFacebook Messengerで利用者6億人(Facebook 2015年1Qの決算資料 Transcriptより)。77言語に対応し、1日あたりのメッセージ数は15億通となる。

 1位のWhatsAppは2014年にFacebookに190億ドル(2兆710億円:当時のレート1ドル=109円)で買収されており、Facebookグループで抑えているメッセージ数は合計45億通/日にものぼる。

 3位と4位のQQMobileとWeChatは中国のテンセント社が提供しており、QQMobileにSNS機能を追加したのがWeChatである。以下、Skype、Viber、LINE、Kik、Blackberry Messenger、Kakao Talkなどが追いかけている状況である。

欧米(南米も含めて)の特徴

 この地域の特徴は、上位が固定化していることが挙げられる。Facebook Messenger、WhatsApp、Skypeの3つを利用できるようにしておくことで、ほぼ間違いなく相手と連絡が取れるだろう。

 欧州の一部地域では、Facebookが米国政府に情報提供を行っていたことをEdward Snowden氏が暴露したため、FacebookによるWhatsApp買収が発表されると、一時的にWhatsApp離れが発生した。その間はセキュリティを売りにしているTelegramが首位になることもあったが、その動きも落ち着いたようだ。

欧米の人気アプリランキング(App Annie/2015年5月18日)
南米の人気アプリランキング(App Annie/2015年5月18日)

※文中の表は全てApp AnnieのiPhoneアプリダウンロードランキングのデータを元にKDDI総研で作成(以下の表は全て同様に作成)

ロシア・ウクライナの特徴

 この地域での特徴としてViberが人気だ。“VK”はロシア版のFacebookと呼ばれており、もしロシア人の友人ができたならば、VKも合わせて使用することをお勧めしたい。ちなみに、Viberは2014年2月に楽天が900億円で買収して、今は楽天のグループ企業である。全世界に2億8000万の登録ユーザーと1億人の月間アクティブユーザーがいる。

ロシア・ウクライナの人気アプリランキング(App Annie/2015年5月18日)

東アジアの特徴

 中国、韓国、日本ではそれぞれの国で開発されたMessengerアプリが市場を占有している。中国の場合は1位と2位をTencentが提供しているQQとWeChatが占める。1位のQQにSNS機能を加えたのが、WeChatであり、両方を使うことをお勧めする。同様に韓国の場合も1位、2位ともにKakaoが提供しており、2位のKakao TalkにSNS機能を追加したのがMOCIだ。

東アジアの人気アプリランキング(App Annie/2015年5月18日)

東南アジアの特徴

 シンガポールの特徴としては、欧米に傾向が似ているものの、中華系住民も多いためWeChatが4位となっている。また、インドやインドネシアでは継続してBlackBerry Messengerが人気である。インドネシアは世界で一番BlackBerryの人気がある市場と言われていたが、そのブランド力はいまだに衰えていないようだ。

東南アジアの人気アプリランキング(App Annie/2015年5月18日)

 もし、外国人の友人ができたら、その地域で使われているSNS、Messengerを確認しインストールすることをお勧めしたい。今回挙げた国以外の国の情報もインターネットで「iPhone,アプリ,ダウンロード数,ランキング,各国」といったキーワードで検索すれば、複数のサイトが見つかるはずだ。もし長期で滞在する予定があるのであれば事前にインストールしてから出国するようにしたい。