石野純也の「スマホとお金」

値段据え置きの「ドコモMAX」はお得か? ドコモ"無制限プラン"の選び方

 12月1日から一斉に値上げされるNTTドコモの料金プランですが、昨年導入されたばかりの「ドコモMAX」は改定の対象外。現在契約している人はもちろん、12月1日以降に契約する人も、今現在、公表されている料金と同額で利用することができます。逆に、60歳以上を対象にした「ドコモMAX 60歳以上割」を導入し、最大3カ月間料金を値引く施策もスタートします。

特典や60歳以上の割引新設などはあったが、料金は据え置かれたドコモMAX。旧料金プランの値上げで、よりお得感が増してくる構造だ

 ドコモMAXを据え置きにしたのは、料金プラン導入時に「ある程度コスト上昇を織り込んで料金を設計していたため」(代表取締役副社長 齋藤武氏)です。一方で、同じデータ容量無制限の料金プランでも、旧料金プランにあたる「eximo」や「5Gギガホ プレミア」などは値上げの対象。ドコモMAXとの差が縮まります。では、旧料金プランを使うユーザーはドコモMAXにすべきなのでしょうか。新旧料金を比較すると、その答えが見えてきます。

旧プラン値上げ後も高いドコモMAXだが、割引で逆転

 データ容量という観点ではいずれも無制限になる5Gギガホ プレミア、eximo、ドコモMAXですが、上記のように、ドコモMAXはコストを織り込んで設計されていたこともあり、12月1日以降も、現在と同じ料金で利用できます。逆に言えば、5Gギガホ プレミアやeximoなどは値上げになります。データ容量が無制限ということもあり、値上げ幅ももっとも大きな550円になります。

eximoや5Gギガホ プレミアのようなデータ容量無制限の料金プランは、12月1日から自動で料金が550円アップする

 この値上げにより、金額はドコモMAXに近づいてきます。基本料は5Gギガホ プレミアとeximoのどちらも、3GBを超えた場合の金額が7315円から7865円に値上げされます。この2つの料金プランは、2段階制か3段階制なのかの違いが中心で、3GBを超えた無制限の料金は同じ。値上げ幅も同額になり、割引適用前の料金は8000円に近づきます。

 ただ、それでもドコモMAXの方が依然として高めに設定されています。ドコモMAXの各種割引適用前の料金は、3GBを超えた場合、8448円。値上げ後の5Gギガホ プレミアやeximoと比べても、まだ583円高くなっています。

旧料金プランは、値上げ後でも割引適用前の料金はドコモMAXより安くなる

 ご存じのように、ドコモMAXにはDAZNやLeminoといったコンテンツサービスが無料でついてくるものの、それらが必要なく、純粋にデータ通信のみ使いたいというのであれば、値上げ後も旧料金プランを維持した方がいいということになります。ただし、これはあくまでも“素の料金”同士の比較。割引まで含めると、状況が変わってきます。

 5Gギガホ プレミアやeximoには、3つの割引があります。1つが「みんなドコモ割」で、これはいわゆる家族割引。3回線以上で割引額が最大の1100円になります。また、ドコモ光やhome 5Gを契約している回線が家族内にあれば、「ドコモ光/home 5Gセット割」も受けられます。こちらの金額も1100円。dカードで支払った際の「dカードお支払割」もあり、これはカードの種別を問わず187円の割引を受けられます。

eximo開始時のプレスリリース。割引は3つのみと、比較的シンプルだ

 すべて適用して、データ使用量が3GB以上だった場合の料金は、5Gギガホ プレミアとeximo、ともに4928円。12月1日の値上げ後は、これがそのまま550円高くなるため、5478円になります。この状態だと、ドコモMAXにした方が金額が安くなるケースがあります。ドコモMAXに割引を全適用した場合の料金は、5148円だからです。

ドコモMAXの料金は、3GB超で5148円から。割引フル適用なら、料金は値上げ後のeximoなどより安くなる

割引が多いドコモMAX、全適用可能ならプラン変更を推奨

 そのカラクリは、割引になります。上記のように、5Gギガホ プレミアやeximoは割引が3つしかないのに対し、ドコモMAXには、その3つに加えて、「長期利用割」や「ドコモでんきセット割」が用意されています。前者は20年以上だと220円、後者は110円の割引です。また、dカードお支払割も5Gギガホ プレミアやeximoとは金額が変わっています。

 先に述べたとおり、5Gギガホ プレミアやeximoはカード種別によらず、割引額が187円に固定されていたのに対し、ドコモMAXはノーマルのdカードでも220円と割引額が増額されています。さらに、「dカード GOLD U」以上のdカードだと、この割引額が550円に増えます。dカードお支払割だけで、最大363円ぶんもの割引が増えている格好です。

長期利用割やドコモでんきセット割など、旧料金プランにはなかった割引が新設されている。dカードお支払割も増額

 素の料金の差分が583円だったため、このdカードお支払割と長期利用割引の20年以上を組み合わせるだけで、ドコモMAXとの差額が埋まる形になるというわけです。dカード GOLD U以上のdカードを持っていて、かつドコモ歴が長いユーザーは、5Gギガホ プレミアやeximoにとどまっているのは明確に“損”と言えます。

長期利用割とdカード GOLD以上のdカードお支払割が乗るだけで、ドコモMAXの方が料金が安くなる

 この2つの割引が加われば、同額でドコモMAXを利用でき、コンテンツサービスも2つまで無料になるからです。もともと、DAZN、Lemino、dアニメストアなどを契約していた人は、むしろこれらが無料になるため、大幅な値下げになる可能性もあります。また、海外ローミングもドコモMAXにすれば、最大15日間、30GBまで無料になり、変更するメリットが大きくなります。

 さらに、ドコモでんきまでセットにできれば、ドコモMAXの方が料金は安くなります。データ容量は変わらず無制限で、コンテンツサービスや海外ローミングが無料になり、かつ料金も安くなるというのであれば、5Gギガホ プレミアやeximoのユーザーがドコモMAXに変えない理由はほぼありません。

ドコモ歴が短くdカードのないユーザーは? 新プラン誘導も狙いか

 ただし、例外としてドコモ歴が短いユーザーや、dカードに支払いをまとめたくないユーザーには、ドコモMAXが割高になるケースもあります。5Gギガホ プレミアは21年4月、eximoは23年7月に提供が開始されており、料金プランの提供開始からまだ最大で5年強しか経っていません。これらの料金プランでドコモを新規契約したユーザーは、ドコモMAXを契約しても長期利用割が適用されない計算になります。

 5Gギガホ プレミアやeximoで、みんなドコモ割とドコモ光セット割、dカードお支払割(ノーマルカード)がフル適用されていたようなユーザーでも、ドコモ歴がそこまで長くない場合、割引額が33円しか増えないため、基本使用料ぶんの差額はほぼそのまま残ります。コンテンツや海外ローミングでその差を埋められると考えるか、純粋にデータ通信のみを使いたいのかで、プラン変更すべきかどうかは変わってくるはずです。

dカードお支払割がノーマルカードで、長期利用割引もないとドコモMAXの方が高くなってしまう

 もっとも、ドコモでんきは地域電力会社からの移行が簡単で、料金も大きくは変わらないため(燃料調整費の上限がないため、地域電力会社よりも高くなるケースはある)、比較的導入はしやすいかもしれません。また、dカードをノーマルからGOLDなどにアップグレードすれば、その差は縮まります。

 割引がフル適用された値上げ後の5Gギガホ プレミアやeximoが5478円なのに対し、長期割引だけがないドコモMAXは5368円。差は小さくなりますが、この状態でもドコモMAXの方が安くなることに変わりはありません。ここからさらにドコモでんきの割引を抜くと、料金は同額の5478円。dカード GOLD(GOLD U)さえあれば、ドコモMAXに移行する金額的なメリットも高くなります。

長期利用割引やドコモでんきセット割がなくても、dカードお支払割がGOLD以上であれば、旧料金プランと同額になるため、移行のメリットが出てくる

 比較的簡単な条件でドコモMAXの方が安くなるだけでなく、割引を満たせなかったとしても、最大で差は583円にとどまることもあり、旧料金プランの値上げで、ドコモMAXのお得度がより高まることになりそうです。料金値上げには、それ自体で収益性を高める以上に、ユーザーのプラン変更を促していくためのものという意味合いもありそうです。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya