石野純也の「スマホとお金」
最安で2年間2万2680円に? 破格の折りたたみスマホ「nubia Fold」に迫る
2025年12月18日 00:00
ポケットにも収まるスマホのコンパクトさと、ちょっとしたタブレットのような大画面を両立させたのが、横開きのフォルダブルスマホ。日本では、サムスン電子の「Galaxy Z Fold」シリーズや、グーグルの「Pixel Fold」シリーズがおなじみで、薄型化、軽量化が進んだこともあり、徐々に販売が伸びています。
一方で、画面サイズが大きく、かつスペックもハイエンドモデル並みということもあり、価格はどうしてもお高めになるのも事実。上記の2シリーズについては、いずれも25万円を超えており、国内で販売されているスマホの中では、最高級クラスの端末になっています。
ところが、そんな横開きフォルダブルに破格の新モデルが登場しました。それがZTEの「nubia Fold」です。
競合モデルより9万円ほど安い価格設定、実質価格なら半額に
nubia Foldは、中国メーカーのZTEが手掛ける横開きのフォルダブルスマホ。同社は日本で、「nubia Flip」という縦開きの端末を展開してきましたが、開くと大画面になる横開きを発売するのは初めてになります。
このモデルはワイモバイルが独占的に販売。ソフトバンクは、メインブランドでGalaxy Z FoldやPixel Foldを取り扱っていますが、ワイモバイルとしては初の横開きフォルダブルになります。
驚くべきはその価格で、横開きのフォルダブルスマホとしては初めて、本体価格が20万円を大きく下回っています。端末価格は17万8560円。オープンマーケット版が26万5750円の「Galaxy Z Fold7」や、26万7500円の「Pixel 10 Pro Fold」と比べると、9万円近く安い価格をつけています。“折れない”普通のハイエンドと同程度の価格というわけです。
しかも、ワイモバイルではMNP、新規契約、機種変更問わず、本体価格から2万1600円の割引を受けることが可能。
ソフトバンクやLINEMOからの乗り換えだとこの割引が適用されないのは少々残念ですが、機種変更も対象になっているため、既存のワイモバイルユーザーにも優しい措置と言えます。
この割引を適用した際の本体価格は、15万6960円。先行するフォルダブルスマホよりも10万円以上安くなります。
と言っても、ワイモバイルが扱う端末の中ではかなり高額な部類。エントリーモデルやミッドレンジモデルが中心のワイモバイルスマホとしては、価格も異彩を放っています。10万超えの端末を一括で購入するのはなかなか厳しい……と思う人もいるでしょう。そんな時に活用したいのが、「新トクするサポート(A)」です。
これは、いわゆる残クレに近い仕組みで、端末の下取りによって、48分割した支払いのうち、24回分を免除する仕組みのこと。ソフトバンクの「新トクするサポート+」とは異なり、36回分の免除(1年で下取りに出す)は選択できないものの、24回分の支払いが帳消しになることで、2年間の支払いは抑えることができます。
一般的な端末の利用期間は、3年なり4年なりと言われているため、毎年新モデルに乗り換えるというのでなければ、これで十分。しかも、24回目までの支払いが毎月2820円なのに対し、25回目から48回目は3720円になっており、免除される金額の方が大きくなります。
これを加味した実質価格は、なんと6万7680円。2年間、横開きのフォルダブルスマホを使える金額としては破格と言っていいでしょう。
こんなに安くて本当に大丈夫? 実機で仕様をチェック
参考までに、ソフトバンクで販売しているGalaxy Z Fold7の実質価格は、2年で14万2720円(特典利用料の2万2000円を含む)。Pixel 10 Pro Foldに至っては18万4720円(同)。実質価格になるとGalaxyの半額以下、Pixelの1/3程度の金額ということになります。
とにかく安く、横開きのフォルダブルスマホを使ってみたい人には、うってつけの価格設定になっていることが分かります。
しかも、現在、ZTEはnubia Fold発売記念キャンペーンを実施中。事前抽選で5000円から4万5000円相当のPayPayポイントが還元されます。仮に1等の4万5000ポイントが当たれば、実質価格は2万2680円に。4等の5000円でも、実質価格は6万2680円まで下がります。1等が当たった人は、もう買うしかないという気持ちになってきます。
とは言え、ここまで安いと「本当にこの端末は大丈夫なのか?」と思う向きもあるかもしれません。同じ横開きフォルダブルといっても、分厚かったり、処理能力が低かったり、何かしらのトラップがあるのでは……と心配になるのも無理はありません。そこで、実機を借り、実際に気になるポイントをチェックしてきました。
まず、厚みですが、想像していた以上に薄く、2024年までのフォルダブルスマホとは一線を画しています。この価格だったため、筆者も「どうせ分厚いんでしょ」と先入観を持っていましたが、いい意味でその予想は裏切られました。
スペック的には、閉じたときの厚みが11.1mm。閉じた状態でも8.9mmまで薄くなるGalaxy Z Fold7より厚みはありますが、Pixel 10 Pro Foldの10.8mmとはタメを張れる薄さです。
Galaxyも1世代前の「Galaxy Z Fold6」は閉じた時で12.1mmあったため、それよりも薄いことになります。また、nubia Foldは側面が丸みを帯びた形状になっていることもあり、角ばっていてサイドの面が広い端末よりも、視覚的、触覚的に薄く感じます。
11.1mmと、思った以上に数字があったことに驚いたほど。その意味では、スペック以上に薄く見える端末と言えるかもしれません。
ただ、普段からGalaxy Z Fold7を使っていると、どうしてもズッシリとした重みは気になります。重さは249g。
開くとディスプレイサイズが8インチになるフォルダブルスマホとしてはかなり健闘している方ですが、215gで一般的なハイエンドスマホと同程度の重さを実現したGalaxy Z Fold7と比較すると、あくまでフォルダブルスマホの中ではやや軽めといったところ。カテゴリーを超えるような軽さはありません。
チップセットには「Snapdragon 8 Elite」を搭載しているため、処理能力の高さはトップクラス。現状では、中国など、一部の海外で後継の「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を採用したスマホが発売されていますが、国内では未登場。
来年になると状況は変わってきそうですが、現時点で、国内のAndroidスマホとしては上位に入る性能の高さになっています。
ちなみに、同じ横開きフォルダブルではGalaxy Z Fold7が同シリーズ向けにカスタマイズされた「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を採用。グーグルのPixel 10 Pro Foldは、同社が独自に設計した「Tensor G5」を搭載しています。
nubia Foldは前者とほぼ同等、Tensor G5はAI処理に優れている一方で、CPU、GPUなどの処理能力はSnapdragonのハイエンド向けチップよりも劣ります。処理能力対価格というコスパでは、群を抜いていると言っていいでしょう。
望遠非対応などやや気になるカメラの仕様、フォルダブルならではの工夫も
サイズ感や処理能力では、先行している横開きフォルダブルとそん色ないレベルに仕上がっているnubia Foldですが、フォルダブルの要とも言えるヒンジは、やや独特な仕上がりに。GalaxyやPixelと比べるとやや跳ね返りがあり、グニャっと曲がるような印象です。
言葉で伝えるのはなかなか難しいのですが、特定の場所に固定するのが難しいような感触。この部分は、コスト相応でチープさを感じるところです。
また、ヒンジをギアレスにして横開きのフォルダブルスマホとして初めてIP68の防塵性能を備えたPixel 10 Pro Foldのような特徴もありません。こうした細かな使い心地に関しては、やはりより高価な端末に軍配が上がります。
また、カメラは3眼になっている一方で、望遠カメラは非対応。このクラスの端末としては珍しく、3つの内の1つは500万画素のマクロカメラになっています。
通常撮影で1200万画素、ピクセルビニングに対応したカメラは5000万画素や2億画素が一般的な中、このマクロカメラはオマケのようなもの。超広角がマクロを兼用していないため、同じ3眼でも、仕様的には見劣りします。
ただし、メインカメラや超広角カメラは比較的優秀。暗所での撮影も、ノイズが少なく、イルミネーションを撮った際にはしっかり空が締まって見えます。また、料理撮影も色味が正確。
ただし、メインカメラは5000万画素の切り出しができないのか、ワンタッチで2倍に切り替えることはできませんでした。UI上の「1X」をタップすると、「1.4X」に切り替わります。望遠はデジタルズームになってしまう、ちょっと残念な仕様です。
離れた場所から影が写らないよう、テーブルの上のモノや料理を撮影する際に、やや使いにくいと感じました。せっかく5000万画素の広角カメラを搭載しているのであれば、素直に2倍に切り出せるようにしてほしかったのが正直な感想です。
価格なりに、トップクラスの性能ではない一方で、横開きフォルダブルに欠かせないカスタマイズはしっかり施されており、半開きの状態で使える「ノートPCスタイル」や、テント状態になっている際に外側ディスプレイを自動で使う「インテリジェント外画面表示」といった機能を備えており、8インチの大画面を有効活用することは可能。nubia AIを備えており、音声録音の文字起こしなどもできます。
スペック的には最高峰というわけではないものの、横開きフォルダブルに求められている機能は満たしている印象。実質価格で競合モデルの半額以下となると、食指が動く人もいるのではないでしょうか。これまで、20万円超えの価格で横開きフォルダブルを諦めていた人がチャレンジしてみるには、いい端末と言えます。
こうした端末が投入されると競争が進み、横開きのフォルダブルスマホがより手に届きやすくなる可能性もあります。この市場に一石を投じた端末としても、評価ができそうです。















