石野純也の「スマホとお金」
実質値上げか、それともお得に? ソフトバンク「新トクするサポート+」を徹底解説
2025年8月21日 00:00
48分割のうち、24回もしくは36回の支払いを免除していたソフトバンクの「新トクするサポート」が、8月にリニューアルされます。8月20日に開始される「新トクするサポート+」がそれです。
本稿執筆時点ではまだ具体的なスケジュールが確定していませんが、例年通りであれば、8月、9月はPixelやiPhoneなどの発表が相次ぎます。新トクするサポート+は、こうした“大型案件”に合わせた改定と言えるでしょう。
では、具体的には、新トクするサポート+はどのようなところが「+」と言える内容になっているのでしょうか。現時点では、この端末購入プログラムを利用できる端末はないため、細かな金額設定までは判明していない一方で、プログラムの中身をあらかじめ知っておけば、発表直後の購入検討が捗ります。ここでは、その詳細を解説していきます。
「スタンダード」と「プレミアム」を統合、ユーザー自身で利用期間を選択可能に
これまでの新トクするサポートは、主に「スタンダード」、「プレミアム」の2つに分かれており、機種によって利用できるプログラムが異なっていました。
例えば、発売されたばかりの「Galaxy Z Fold7」は、プレミアムの対象。これは、1年で割安に機種変更が可能になるプログラムになり、「早トクオプション利用料」を支払っても、1年での支払い額の総額は7万7580円(新規契約やMNPの場合)まで抑えることができます。
これに対し、2月に発売された「Galaxy S25 Ultra」はスタンダードが指定されています。こちらは、免除される金額が48回中24回にとどまっている代わりに、早トクオプションなどの追加料金は不要。約2年間での実質価格は、5万4000円(新規契約やMNPの場合)になります。
いずれも、最初の12回や24回分の支払いと免除される金額が不均等に分割されており、下取り前提ですが、割安に端末を使うことができます。
主にX(旧Twitter)などのSNSでは、この仕組みを使って割安になったiPadを「残クレiPad」と呼ばれていたりもしますが、言いえて妙な名称。新トクするサポート自体が、残価設定型ローンに近い形と言えるからです。
お得に端末を新しくしていける仕組みであると評価できる一方で、機種と新トクするサポートが1対1の関係になっているため、あまり柔軟性はありませんでした。
プレミアム対象の機種は、24回支払うことで早トクオプションは不要になるものの、スタンダード対象の機種は1年で返却しても、免除されるのは24回ぶんの支払いのみ。1年単位で新機種を買いたいユーザーの選択肢が限られてしまっていたのが実情です。この2つを統合したのが、8月20日に導入された新トクするサポート+です。
こちらは、「特典A」と「特典B」の2つに分かれており、どちらを利用するかはユーザー自身の選択に委ねられており、かつ対象機種は新トクするサポート+に対応したすべての機種になっています。
対応している端末では、36回ぶんが免除されるプレミアムと、24回分が免除されるスタンダードのどちらか一方を選んで使うことができるというわけです。自身の機種変ペースに合わせられるため、より使い勝手が増した格好になると言えるでしょう。
新設された特典利用料、1カ月あたりの支払額を抑えるのが狙いか
ただし、かかる料金がやや異なっている点には注意が必要です。具体的には、最大24回の支払いが不要になる特典Bで、「特典利用料」がかかるようになりました。その額は、最大2万2000円。条件の近かった新トクするサポート(スタンダード)には、こうした利用料が設定されていなかったため、機種によっては“値上げ”になるおそれもあります。
この特典利用料はあくまで最大値のため、機種によってはもっと安くなることもあります。ただ、新規契約で月1円、2年で実質24円(MNPの場合)になっている「iPhone SE(第3世代)」のような大胆な価格設定はしづらくなる可能性もあります。
特典利用料をいくらにするかによりますが、仮に5000円程度だとしても、実質価格は上がることになります。1円のような超低額の特典利用料が設定されるのかどうかには、注目しておきたいところです。
一方で、特典利用料を設定することで、毎月かかる端末代を抑えられるようになるという側面もあります。新トクするサポート+のような端末購入プログラムは、免除される金額が端末の下取り価格を超えている場合に、割引と見なされ、ミリ波非対応モデルではその額が4万4000円に制限されています。
分かりやすく丸めた数字で例示するため、10万円の端末があったとします。この端末はリセールバリューがあまり高くなく、2年後には4万円程度で売却できると想定しましょう。
この端末の場合、割引も含めて免除できる金額は最大で8万4000円になります。実質価格が1万6000円を下回ると、ガイドラインに違反してしまうことになるというわけです。
1万6000円を24回で割ると、1回あたりの支払額は約667円。維持費としてはまずまずの安さですが、毎月1円のようなインパクトはありません。
ところが、ここに1万5976円の特典利用料がかかれば、毎月の支払額を1円に設定することが可能になります。最終的な支払い額が、特典利用料込みで1万6000円になるからです。このケースだと、ガイドラインに抵触せず、毎月1円という設定が可能になります。
ユーザーが支払う金額は変わらず、かつ特典利用時に一括で最大2万2000円の支払いが必要になってしまうものの、毎月の支払額に関してはインパクトを出しやすくなっていると言えるでしょう。
支払額は変わらないものの、強いて言えば支払いを先延ばしにできるのはユーザーにとってのメリットになるかもしれません。
特典Aは利用料が二重にかかる? シレっと追加された割引にも注目
この特典利用料は、新トクするサポート(プレミアム)に相当する特典Aにもかかってきます。
また、特典Aでは、13カ月目以降の端末回収時に支払う必要がある「早期利用料」も必要。プレミアムの時にはなかった特典利用料が新たに設けられたことで、二重に料金を支払うよう、仕組みが変更されている点には注意が必要になります。
また、従来のプレミアムと同様、「あんしん保証パック」への加入が必須になります。
特典利用料の最大額は、特典Bと同じ2万2000円。特典Aだけにかかる早期利用料については、最大3万8500円に設定されており、合計では6万500円にもなります。
先に挙げた、プレミアム対象のGalaxy Z Fold6は、早トクオプション利用料が2万9700円。同じくプレミアム対象の「Galaxy Z Flip7」は1万9800円に設定されていますが、もしここに最大で2万2000円が乗ってくるとすると、やや重たい印象もあります。
ちなみに、新トクするサポート(プレミアム)では、早トクオプション利用料の最大額が2万9700円に設定されており、端末の本体価格が高いGalaxy Z Fold7などに適用されていました。
同じフォルダブルスマホの「Pixel 9 Pro Fold」も、早トクオプション利用料は2万9700円です。
こうした実績を踏まえると、本体価格が30万円に近い端末は、早トクオプション利用料が最大額に近くなる可能性はあります。この場合、実質価格が値上げになるおそれもあるため、注意が必要です。
ただ、これらはあくまで最大値。特典利用料と早期利用料の合計額が、プレミアムのときと同じような金額になっていれば、ユーザーにとって負担が増すということはありません。この部分がどう設定されるかが、お得感を左右するカギになると言えそうです。
一方で、ソフトバンクは新トクするサポート+と同時に、「買替え応援割」という謎の割引も実施する予定。リリースなどでは言及されていませんでしたが、キャンペーンのページがシレっと公開されています。
これは、ソフトバンクで機種変更すると、新トクするサポート+の特典利用料である最大2万2000円が免除されるという割引。しかも、端末購入時点で割引の適用は確定されるため、1年後ないしは2年後になくなっていて高くついてしまうという心配もありません。
ソフトバンクで端末を買い続けることという条件はつきますが、この割引まで加味すると、これまでの新トクするサポートとほぼ同条件になるか、場合によっては安くなるケースも出てくるかもしれません。
その第一弾になるとみられるPixelシリーズの新モデルがどのような価格設定になるのか、要注目と言えるでしょう。










