石野純也の「スマホとお金」
「dカードPLATINUM」でどれだけお得になる? ドコモでんきの特典やGOLDからのアップグレードを解説
2024年11月14日 00:00
ドコモは、11月25日に「dカードPLATINUM」を導入します。“プラチナ”という名称からも分かるように、このクレジットカードは「dカードGOLD」のアップグレード版。年会費が2万9700円とこれまでのdカードGOLDより3倍弱高くなっている一方で、ポイント還元、特にドコモの各種サービスを使ったときのそれがより手厚くなっているのが特徴です。
一方で、3万円に近い年会費がかかることに二の足を踏んでいる人も多いでしょう。オンラインでポチポチとボタンを押していくだけで変更できる携帯電話の料金プランとは異なり、いったんクレカを作るとダウングレードに再度申し込みが必要など、手間がかかるからです。では、dカードPLATINUMはどんな人が持つべきクレカなのでしょうか。そのお得度を検証しました。
ドコモ回線やドコモ光の還元率が最大20%、eximoポイ活も還元率10%に
dカードPLATINUMは、dカードGOLDの上位版という位置づけのクレカ。年会費も2万9700円と、ドコモが発行するクレカの中では最高値のカードになっています。“プラチナ”と銘打つクレカの中には年会費10万円を超えるものもありますが、それよりはリーズナブル。招待制だったり年会費が超高額なプラチナカードを“真のプラチナ”とするならば、それとゴールドカードの中間的な存在と言えるでしょう。
年会費が高いため、通常のポイントも大盤振る舞いしているのかと思いきや、必ずしもそうではありません。一般の店舗やネットショッピング、定期請求などで貯まるのは、100円につき1ポイント。還元率に直すと1%になります。このポイント還元率はノーマルのdカードやdカードGOLDと同じ。還元率だけで言えばより高いクレカもあるので、このためにあえてdカードPLATINUMを持つ必要性はありません。
dカードGOLDから大きくアップグレードされているのが、ドコモの利用料金に対する還元率です。ドコモ回線やドコモ光、さらにはドコモの月額サービスに対して、最大で20%還元を受けられるからです。dカードGOLDは、これが10%だったので、還元率は2倍に上がる格好です。また、ドコモでんき Greenも中部・関西・九州電力エリアは最大20%。それ以外のエリアは最大12%ですが、こちらに関してもdカードGOLDの2倍が還元されます。
また、eximoポイ活を契約した際のポイント還元率が上がるのも特徴。eximoポイ活は、契約しているdカードの種類によってポイント還元率が変わり、dカードは3%、dカードGOLDは5%に設定されています。これに対し、dカードPLATINUMは10%還元を実現しています。こちらも、ポイント還元率はdカードGOLDから2倍にアップするというわけです。
ただし、eximoポイ活の場合、上限が毎月5000ポイントと決まっているため、還元率が上がっただけでは、必ずしもお得になるとは限りません。dカードやdカードGOLDで上限まで達していた人にとっては、あまり意味がない数値と言えるでしょう。一方で、10%還元であれば毎月5万円を使うだけで上限の5000ポイントに達するため、eximoポイ活で“元を取りやすくなった”とは言えそうです。
dカードGOLDの5%の場合、5000ポイント還元を受けるには10万円分の買い物が必要でした。3%のdカードはこのハードルがさらに上がり、16万6667円の利用で、はじめて上限までポイントをもらえます。とは言え、dカードPLATINUMはたくさん使うことが前提のクレカ。後述するように20%還元を受けるには、毎月20万円の買い物が必要になるため、eximoポイ活の還元率が上がる意味はやや薄め。あまり使わなかった時でも上限まで還元を受けやすくなるという程度に捉えておくようにしましょう。
ドコモのサービスをフル活用すれば元は取れる! ドコモでんきも必須か
ドコモ回線やドコモ光などに対して20%還元つくことを踏まえると、やはりdカードPLATINUMはドコモユーザー向けのクレカ。サービスをドコモにまとめればまとめるほどお得になるため、通信回線から上位レイヤーのサービスまで、ドコモにどっぷりつかっている人に向けたクレカと言えます。ただし、2年目以降は毎月の利用額でこの還元率が変わる点には注意が必要です。
初年度は一律20%になっている還元率ですが、2年目以降は毎月のショッピングが10万円未満だと、10%まで下がります。この数値はdカードGOLDと同じ。dカードPLATINUMにしかない特典もあるため、必ずしも損をするわけではないものの、10%還元であれば、あえて年会費の高いdカードPLATINUMを契約するメリットは少なくなります。一方で、10万円以上20万円未満だと、還元率は15%にアップ。ここから、dカードPLATINUMの意義が出てきます。
ドコモ回線がeximoポイ活でドコモ光を契約しており、かつ「爆アゲセレクション」でNetflixのスタンダードプランを、さらにオプションとして「5分通話無料オプション」と「dマガジン」をつけている場合を想定してみましょう。ドコモ回線の料金には、「みんなドコモ割」と「ドコモ光セット割」が適用されているものとします。この場合、ドコモ回線の料金は8228円。オプションはそれぞれ880円と580円です。
また、ドコモ光の料金は「1ギガタイプA」で4400円。Netflixは1490円です。すべて合算したときの料金は、1万5578円になります。この料金に対して15%のポイントがついた場合、毎月もらえるdポイントは2336ポイント。20%だと、3115ポイントにもなります。それぞれ1年分に換算すると、2万8032ポイントと3万7380ポイント。20%還元であれば、年会費を上回るポイントを入手することが可能になります。
お勧めなのはドコモでんき Green。何人で暮らしているかにもよりますが、通信料を上回る料金が発生する可能性が高く、ここに対して最大で12%または20%の還元を受けられるのはお得感があります。
総務省の『2022年度 家計調査』によると、夫婦などの2人暮らしの場合の平均的な電気代は1万1307円です。ここに20%還元を受けられたと仮定すると、毎月、電気代への還元だけで2261ポイント付与されることに。最大12%のエリアでも、1356ポイントが付与されます。1年分だと前者が2万7132ポイント、後者が1万6272ポイントです。
20%還元の場合で、先に挙げたドコモ回線などのポイントと合算すると、ドコモでんき Greenが20%のエリアで6万4512ポイント、12%のエリアでも5万3652ポイントに。サービスを増やせば増やすほど、年会費の“元を取る”のは簡単になると言えるでしょう。爆アゲセレクションで各種サービスをドコモでの支払いに寄せつつ、電気料金もドコモで払うのがポイントです。
20%還元対象なら迷わずdカードPLATINUMに、そうでない場合は特典を要検討
ただし、dカードGOLDでもドコモの携帯料金やドコモ光などで10%還元を受けられます。dカードPLATINUMの15%または20%の還元率で、年会費の差額を埋められるかどうかが、dカードPLATINUMを選ぶ基準の1つになると言えるでしょう。先に挙げた条件で毎月ドコモに1万5578円支払っていたとすると、dカードGOLDの場合、1557ポイントの還元を受けられます。
また、ドコモでんき Greenは10%還元エリアで毎月1130ポイント、6%還元エリアで678ポイントに。前者だと回線分のポイントを合わせて毎月2687ポイント、後者だと2235ポイントになります。1年換算で3万2244ポイントないしは2万6820ポイントの還元を受けられるというわけです。dカードPLATINUMとの差分は前者が3万2268ポイント、後者が2万6832ポイントになります。
dカードPLATINUMとdカードGOLDでは年会費の差額が1万8700円のため、ドコモの回線ないしはサービスで受けられるポイント還元だけで、dカードPLATINUMで上がる年会費を取り戻せる形になっています。むしろ、dカードPLATINUMにすることで、年会費が上がった以上にポイントをもらえます。毎月20万円分クレカで買い物ができ、かつドコモのサービスをたくさん利用しているなら、dカードPLATINUMに移行しない手はありません。
一方で、毎月の利用額が20万円に満たないと、結論は少々変わってきます。ドコモ回線やドコモでんき Greenの還元率が落ちてしまうからです。この場合、回線やサービスに対するポイント還元は年2万8032ポイントに下がります。また、ドコモでんき Greenも還元率の高いエリアは15%、低いエリアだと9%までその数値が低下します。先に挙げた平均を当てはめると、前者が年間で2万352ポイント、後者が1万2204ポイントに。すべて合算すると、4万8384ポイントないしは4万236ポイントになることが分かります。
どちらもdカードPLATINUMの年会費分はしっかり“回収”できてはいるものの、dカードGOLDとの差分は1万6140ポイントか1万3416ポイントになり、dカードPLATINUMにすることで上がる分まではカバーしきれていません。爆アゲセレクションでよりサービスを使って料金を払ったり、電気代がもっと高かったりすれば話は変わってきますが、やはりdカードPLATINUMで毎月20万円使い、最大還元率である20%を狙っていくのが正解です。
もっとも、dカードPLATINUMにはdカードGOLDにない「プライオリティ・パス」(編集部注:国内外の空港ラウンジなどが利用できるサービス)がついていたり、「dカード積立」でポイント還元を受けられたりといった特典もあります。「dカードケータイ補償」の金額も、最大20万円までにアップします。レストラン優待などもあり、そのバリエーションはdカードGOLD以上。ポイントアップ分だけで年会費が上がった分をまかなうことはできませんが、その差は少ないため、毎月のショッピングが10万円超20万円未満でも契約する価値はあると言えそうです。