本日の一品

将来的にもカッコよく乗れる電動アシスト自転車「PAS Babby」

ヤマハの「PAS Babby」

 そろそろ自転車タンデムデビューできるかな、という1歳を過ぎた娘と妻のために、電動アシスト付き自転車なるものを買うべきか、買わざるべきか、試乗しては悩み、悩んでは試乗していたのである。何度もお店に行ったが、仕事にかこつけてここぞとばかりに走り込んだりもした。

 が、なにしろ10万円を超える買い物になるし、自転車に乗り慣れない妻が本当に安全に操れるかどうかも心配。結果としてはヤマハの子乗せモデル「PAS Babby」にリアチャイルドシートを付けたものに決めたのだが、購入にあたってどのあたりがポイントになったのかをご紹介したい。子供を乗せたいと考えている親御さんにわずかでも参考になれば。

ちょっと離れた場所でも子供を乗せてサーッと行ける便利さを満喫中

子供をフロントに乗せるか、リアに乗せるか

 筆者が最初に悩んだのは、子供を自転車の前に乗せるか、後ろに乗せるか、という点。3人乗り対応の自転車の場合、通常はチャイルドシートはフロントのハンドル部とリアキャリア部の2箇所に取り付けることができる。子供1人の場合、フロントに乗せるか、リアに乗せるかの判断はなかなか難しい。

 フロントに乗せる場合、常に子供の様子を見られるのでその点では安心だけれど、ハンドルが重くなって走行安定性は損なわれがち。逆にリアに乗せると、操縦はしやすくなるものの走行中は子供を観察できないので、何かの拍子に落車してしまわないか不安がつきまとう。

リアチャイルドシートに乗せることにした。子供を観察しにくいのでやはり心配にはなる

 このあたりは子供の年齢や体重によって決まってくるところもあるけれど、前後どちらにするか迷っているなら、購入前にたっぷり試乗させてもらって不安を少なくしておくしかない。子供が自転車に慣れてくると、走行中でも平気で居眠りしてしまうので、チャイルドシートのベルトの締め付けやフットレストの高さなどはきちんと合わせておきたいところ。

購入したらすぐにベルトの締め具合を調整
フットレストの高さも子供の足の長さに合わせる。プラスドライバーと六角レンチがあれば簡単に調整可能だ

大径車と小径車のメリット、デメリットを考える

 3人乗り対応の電動アシスト付き自転車は、大きく分けると、前後輪26インチ程度の大径車と、前後輪20インチ程度の小径車、そして前輪が小径で後輪が大径になっているものの3パターンがある。子乗せモデルでは、特にリアはタイヤのサイズによって座面の高さが変わってくるので注意が必要だ。

前輪が小径で後輪が大径になっているPAS Kiss(CAR Watchから再掲)

 大径車はタイヤが大きい分、座面がどうしても高くなる。後輪だけ大径の自転車も同じだ。座面が高いと、特に非力な女性は子供の乗せ降ろしに若干手間がかかってしまううえに、重心が高いので低速時は一般的にふらつきやすい。リアに乗せる場合は、小径車の方が低重心になるので不安は少ないかもしれない。

 大径車だとひと漕ぎで進む距離が大きいという話もあるけれど、ヤマハのPASシリーズでは小径車でもギア比の工夫でデメリットは少なくなっているようだ。

子供が乗らなくなった後のことも想定しておく

 子供を乗せた時のことを第一に考えるのは当然だけれど、子供が成長してチャイルドシートが不要になった時のことも考えておきたい。

ハンドルが大きく湾曲しているPAS Kiss mini(CAR Watchから再掲)

 子乗せモデルで特に多いのが、ハンドルが大きく下に湾曲して、ハンドルに囲まれる形でチャイルドシートを固定するタイプのもの。このタイプでは、チャイルドシートを外すとわりと不格好だ。デカい前カゴに交換するにしても、あからさまに「チャイルドシートを外しました感」が出そうなのが気になる。

 その点、「PAS Babby」などは普通のママチャリっぽいハンドル形状なのが特徴。チャイルドシートはハンドル手前に装着し、ハンドルの前には標準でカゴが取り付けられているから、3人乗り状態でも買い物しやすいという利点もある。

PAS Babbyのハンドルは普通のママチャリっぽい形状(CAR Watchから再掲)
前カゴのあるなしの違いは、意外に大きいと思われる

取り回しの重さは覚悟するしかない

 電動アシスト付き自転車は、子供を乗せていても少ない力でぐいぐい走れるのが一番の魅力。最もアシスト力の弱いモードでも十分なパワーがあり、毎日近所の公園に出かけていたりしても1週間はバッテリーがもつ。PASシリーズでは標準で急速充電器が付属するようになったのもうれしい。

坂道も軽々と走れるのは電動アシスト車の最大の魅力
ハンドル左側に備えるアシストの切り替えを行うメインスイッチ。バッテリー残量、アシスト走行可能距離、走行速度の3パターンに表示を切り替えられる
ライトは周囲が暗くなると自動点灯
PAS Babbyには標準で8.7Ahのバッテリーが搭載
付属の急速充電器で、およそ2.5時間で満充電になる

 ただ、最大のネックはやっぱり重さ。大きなバッテリーが搭載され、車体も3人乗りに耐えられるよう頑丈に作られていることもあってか、PAS Babbyの車重は30kgにもなる。走行中は全く気にならないが、手で押さなければならない歩道橋などではその重さを実感する。このあたりもアシストしてくれるような機構があったりするとうれしいのだけれど……。

製品名製造元購入場所購入価格
ヤマハ発動機 PAS Babbyヤマハ発動機株式会社サイクルベースあさひ13万674円(車体+チャイルドシート+保管カバー)

日沼諭史