本日の一品

スマホと連携するリストバンド型の活動量計「UP」

JawboneのUP

 健康管理において、自分がどのくらいの運動をしているかを把握することは重要だ。どのくらいの運動が不足しているかを把握しないことには、運動不足を解消しようがないし、運動不足を把握すること自体が運動することへのモチベーション強化につながる。

 最近はこの運動した量=活動量の管理をスマートフォンで行おうというアプローチが流行っていて、さまざまな製品が登場している。スマホ連携できる活動量計であるJawboneの「UP」もそうした製品のひとつだ。4月20日に発売される予定で、筆者は一足早く試す機会を得た。

 「UP」はリストバンドになっていて、24時間装着し、歩数だけでなく、睡眠中のデータも記録できるようになっている。記録したデータはスマホに転送し、アプリ上で管理できる。

イヤホンマイク端子でスマホと接続する

 この手のスマホ連動デバイスは、BluetoothやNFCでスマホと連携する製品が多いが、「UP」はイヤホンマイク端子を使ってスマホと有線で通信する。おかげで消費電力も小さく、フル充電で連続稼働10日、15分ほどで2日分くらいを充電できてしまう。無線の方が簡単なようにも思えるが、実際に使い比べてみると、「アプリを立ち上げてコネクタを挿すだけでデータ転送」という有線ならではのシンプルさの方が使いやすいと感じた。また、イヤホンマイク端子なのでスマホの機種をほとんど問わず、iPhoneおよびAndroidの多くの機種で利用できる。

 「UP」は24時間、寝るときも装着し続けるが、重さは19~23g(サイズによって違う)とコンパクトで、常時装着していても気になりにくい。「UP」は防水仕様になっていて、通常の防水規格だけでなく、温水や石けん水の試験もクリアしているとのことだが、さすがに入浴中も装着し続ける必要はないので、入浴中は外して充電、という使い方がいいだろう。

ボディカラーは写真の青以外にも黒や灰色、薄緑などがある

 「UP」にディスプレイなどは搭載されておらず、ユーザーインターフェイスは2個のインジケーターLEDと、1個のボタンスイッチ、内蔵バイブレーションのみとなっている。ボタンの短押しはモード表示(確認)、長押しはモード切替、短押し1回+長押しは「ストップウォッチ」の起動、短押し2回+長押しは「パワーナップ」の起動となっている。

 動作モードは、歩数などを記録する「目覚め」モード(起きて活動している時間帯のモード)と、睡眠とその深さを記録する「睡眠」モードの2種類。「睡眠」モードでは、アラームとして指定した時間に近くなると、睡眠が浅くなっているタイミングにバイブで起こしてくれる目覚まし機能もある。iPhoneユーザーにおなじみのアプリ「Sleep Cycle Alarm」と同じような機能だが、「UP」の場合は自分一人の動きしか記録せず、さらにバイブで起こしてくれるので、同衾する人がいる場合でも使いやすい。

スマートフォンとの接続はイヤホン端子を利用
ボタンを押すとLEDが光り、モードを確認できる

 「ストップウォッチ」はエクササイズなど運動した時間を記録し、あとでスマホにデータ転送したとき、手動でどんなエクササイズをしたかを入力できるという機能だ。ヨガやサイクリングといった、「UP」では計測しにくいエクササイズの管理のための機能である。「パワーナップ」は要するに昼寝支援機能。寝ている状態を把握して睡眠時間のみを計測でき、予め設定した時間が経過するとバイブで起こしてくれる。こちらもあとでスマホに睡眠時間が転送される。

iPhone版のアプリ

 このほかにも、設定した時間、大きな動きがないと、バイブで警告してくれる機能もある。たとえばデスクワークのとき、何時間も座りっぱなしだと作業効率が落ちるといったことを防ぐための機能だ。パワーナップといい、ただ健康管理するだけでないのが面白い。

 「UP」で記録したデータは、スマホ上のアプリに転送し、管理する。歩数や睡眠のデータは、Facebookのようなタイムライン形式で表示できる。追加で食事のデータやカロリーを入力することも可能で、手動入力だけでなく、一般に売られている商品の一部は、バーコードによる半自動入力もできる。このほかにもアイコンを選んで「気分」を記録することもできる。こうしたことが日々の心身のパフォーマンス向上につながる、との考えからだ。

Android版のアプリ。レビュー時点では日本語未対応だった

 データは、「チーム」に登録した他のユーザーと共有するソーシャル要素もある。共有されたデータは、タイムライン上に表示されるので、「コイツなかなかイイ動きしてるじゃん」とか「人に見られている以上、このポテチを食べるわけにはいかない!」といったモチベーション(?)にもつなげられる。もちろん見られて困ると思うデータは、ユーザーごとに共有しない設定も選べる。

 今回は「UP」を2週間ほど、入浴中以外はずっと付けっぱなしにして試用したが、「UP」を邪魔に感じることはなかった。スマホとは毎日同期していたが、「UP」には90日分くらいのデータを蓄積できるので、毎日同期するのが面倒になっても、使い続けることができるそうだ。

 ただ食事については、ほとんど記録しなかった。というのも、筆者の食生活は、そのほとんどが自炊か外食で、いずれもバーコードによる半自動入力ができず、カロリーを算出するのが面倒だったからだ。この食事入力の部分は、ちゃんと気を遣っている人でない限り、あまり実用的ではないと感じた。それよりも体重や体脂肪を記録し連携できると良いのだが、「UP」のアプリにはその機能がないのが少々残念だ。

 一方で、1日の歩数データは、ものぐさな筆者でもしっかり記録することができた。「UP」を装着しておくだけでいいのだから、当然といえば当然だが、それでも日常の歩数をほぼすべて、無差別に記録できるというのも面白い。

トレンド表示すると日や週ごとの運動・睡眠がわかる。1日1000歩とか動かなさすぎ……

 もちろん、こうしたデータを記録するだけでは意味はない。このデータを元に、生活を改善するのが目的だ。たとえば筆者の場合、自宅で仕事をしている関係もあり、週に何日かは外出をしない日もあり、週の合計で4万歩に達しない場合もある。明らかに運動不足であり、改善が必要ということがハッキリと分かるわけだ。

 ……いや、前々から運動不足かな、とは感じていたのだけど、実際に数字やグラフにして見ることで、運動不足をハッキリと自覚させられてしまった。これはジムに通うなりウォーキングをするなり、ホント運動しないとヤバイなコレ……。

 ともあれ、この「UP」、なかなか効果抜群だ。Fitbitなどのライバル製品と比較しても、装着のしやすさ、有線ならではの通信のシンプルさはなかなか魅力的だと感じた。リストバンド型が良いかなどは、使う人の感覚次第だが、スマホと連携する活動量計を探している人は、この「UP」も検討するべきだろう。

製品名製造元販売価格
UPJawbone1万2544円

白根 雅彦