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ポインティングデバイス付きのHHKBの新モデル「HHKB Studio」、ThinkPadユーザーの目にどう映った?

 HHKBの新モデル「HHKB Studio」が登場した。筆者自身、過去にHHKB(の通常モデル)をたびたび試しながら実環境への導入を見送ってきたのは、キー配列がかなり特殊であること、そしてThinkPadのキーボードを使い続けている筆者にとって、ポインティングデバイスがないことは耐え難かったという事情による。

本体。テンキーレスで幅308mmとコンパクト。色は高級感のある墨色

 今回のHHKB Studioは、ThinkPadと同じ、ポインティングデバイスを搭載している。もし本製品が実用レベルに達していれば、ノートパソコンを買い替える時に、世代を重ねるごとに日本語キーボードの配列が徐々に使いづらくなりつつあるThinkPadを指名買いしなくてもよくなるだけに、ThinkPadユーザーとしては見逃せない。ということでメーカーから借用して試用してみた。

 まず打鍵感については、従来の静電容量無接点方式から、メカニカルキーボードへ変更されている。もっとも本製品は構造上は確かにメカニカルながら、世間一般でイメージするそれと異なり、カチャカチャという音がしない、非常に独特な打鍵感が特徴だ。事実、メカニカルキーボードが苦手な筆者が何の問題もなく使えていることからして、これについてはクリアだ。

有線とBluetoothの両対応。ケーブルと電池が付属する。最上段ファンクションキー列はなくFnキーとの同時押しが必要
中央にThinkPadライクなポインティングデバイスを搭載する
今回試用しているのは日本語JIS配列。ほかに英語配列もある
さまざまなOSで使える汎用性が特徴だがキートップ印字は難解。特にこの左下部分は分かりにくい
脚の高さは2段階で調整できる。側面をなぞってスクロールする機能を備える

 ポインティングデバイスについては、ThinkPadのそれと使い心地はほぼ同一。ただしスティックを倒しているのにポインターが動かず、指を離すと正反対の方向に流れていくという、かつてのThinkPadでよく起こっていた症状は、本製品でも健在だ。現在のThinkPadではほぼ見られなくなっているだけに、将来的に修正されることを期待したい。またスペースキー手前にあるマウスの左右ボタンのストロークが深すぎるのが、使っていると少々気になる。

 最後にキー配置についてだが、HHKBならではの特殊な配列であることに変わりはないが、付属のソフト上で割り当てを自由に変更できるので、自分がふだん使っているキーボードに限りなく近い割り当てが可能だ。これらは本体内に保存されるので、ほかのパソコンにつないでもそのまま利用できるのはよい。

底面。電池ボックスの中にはHHKBではおなじみのディップスイッチがある

 筆者がどうしても馴染めないのが、Escキーの配置だ。本製品は最上段のファンクションキー列がなく、Fnキーとの同時押しにより数字キーにファンクションを割り当てられる。これはそれほど不自由はないのだが、この仕組みだと、同じ列の左端にあるEscキーと、その下にある半角/全角キーの配置だけがいびつになってしまう。これは従来のHHKBでもあった問題で、筆者はどうしてもここだけは馴染めない。

背面左にはスライド式の電源スイッチを備える
充電のほかキー配列設定時には有線接続が必要になる
キー割当は自由にカスタマイズできるが、そもそもキー数が少ないことからEscキーのようにいびつになる配置は少なからず存在する

 以上のように、シビアな目線で見るならば、合格まであと一歩というところなのだが、とはいってもHHKBの通常モデルのように、ポインティングデバイスが非搭載であることを嘆くのとはわけが違う。Escキーもしくは全角/半角キーのどちらかが違和感のある配列にならざるを得ないこと、またマウス左右ボタンのストロークが深すぎることだけは慣れる必要があるが、そのほかは今後のアップデートによって改善しうる範疇だ。

 そうした意味で、従来モデルよりも見込みは間違いなくあり、そうなると実売4万円台という価格についても、それだけの価値が十分にある製品ということになる。そのためには今後行われるであろうアップデートが、どれだけユーザーに寄り添ったものになるかが、ポイントになると言えそうだ。人によりこれだけ評価が分かれる製品も珍しいと思われるので、購入を考えている方は、本稿に限らずさまざまな体験談を参考にすることをおすすめしたい。

製品名発売元実売価格
HHKB StudioPFU4万4000円