本日の一品

かつて一世を風靡したマルチカードリーダー、その最後の生き残りを手に入れた話

 かつては規格の不揃いが目立っていたメモリーカードも、近年はmicroSDとSDにほぼ統一されてきた節がある。こうしたことから、市販の外付けカードリーダーも、SDとmicroSDにのみ対応した製品がほとんどになりつつある。

かつては一世を風靡していたマルチタイプのカードリーダー。ちなみに本稿執筆時点ではAmazonで在庫がある

 それゆえかつて店頭でよく見かけた、あらゆるメモリーカードへの対応を売りにしたマルチタイプのカードリーダーは、近年はほぼ絶滅状態にある。そのため、90-00年代に存在していた古い規格、具体的には「スマートメディア」や「xDピクチャーカード」「CFカード」をいま読み取ろうとすると、カード自体の耐久性以前に、カードリーダーの調達に一苦労する。

 筆者自身、こうした事態に備えて、早い時期にこれら古いメディアは処分し終えていたのだが、今になって実家の親が使っていた旧メディアが大量に発掘されたことで、これらを読み取れるカードリーダーを入手しなくてはいけなくなった。探し回ってようやく手に入れたのが、サンワサプライの「ADR-ML18BKN」だ。

パッケージ。65メディアに対応とある。すでに見かけなくなった規格も多い
多数のスロットがコンパクトにまとめられた薄型設計。すべてが前面に配置されているのでアクセスしやすい
本体側のUSBポートはいまとなっては懐かしいminiB仕様。古いカードを読み取りたいという目的がなければ絶対に手を出さないような品だ
付属品はケーブルと取説のみ。USB 2.0だが古いメモリーカードはそれほど大容量ではないので転送速度が遅くとも問題はない

 この製品、本体側の接続端子はMicroBどころかminiBという時代を感じさせる品で、規格もUSB 2.0止まり。メーカーサイトでも「廃止」と記載されているが、実際には細々と生産が続いているようで、Amazonでは在庫がなくなると長期欠品し、もう廃番かと思いきや何カ月かあとに入荷するというサイクルを、これまで何度も続けているようだ。

 おそらくメーカーも製造元が作れるうちは小口で発注を続け、そのうち作れなくなれば諦める、といったスタンスだろう(あくまで推測である)。つまり典型的な残存者利益を狙った品であるわけだが、スマートメディアやCFカードまで対応するこの製品を今回迎え入れたことで、古いメディアからデータを抽出するという目的を果たすことができた。ありがたい限りである。

今回発掘されたメディア。本製品を用いることで多くを読み取ることができた。メルコ(現バッファロー)やハギワラシスコム(現ハギワラソリューションズ)時代の品もある

 古いメディアをコンバートするためのデバイスというのは、いつの時代も必ずニーズがあるように見えて、いつかどこかのタイミングで需要と供給のバランスが崩壊し、選択肢がなくなっていくものだ。今回筆者が入手できたのは、まさにそのギリギリのタイミングだったことになる。身近にある古いメディアや規格で、似た境遇で放置されているものはないか、あらためて点検してみようと感じさせられた今回の一件だった。

製品名発売元実売価格
ADR-ML18BKNサンワサプライ3190円
Amazonで購入