本日の一品
曲げ加工技術を生かした無垢材の「ペントレー」を手に入れた
2022年10月24日 06:00
このコラムでも何度かご紹介しているので、読者の中にも「ストーリオ」というブランドをお聞きになった方はおられるだろう。木材は、普通ならカットしたり削ったりして自由な形状にするのが当たり前だ。しかしストーリオの製品は、無垢材を特殊な技術で樹脂や金属のように自由に曲げて作り上げるユニークなデザイン商品だ。
無垢材の曲げ加工と言えば、筆者宅の近所にある有名な合羽橋の専門店に行けば見かける伝統的な「曲げわっぱ」(杉や檜の薄板を曲げて作った木製の箱)が有名だ。しかし今回ご紹介するストーリオの製品はよりユニーク、フリーでアーティスティックだ。
筆者もそのソフトな曲線や素材としての柔軟性、復元力、それらが自然とクロスオーバーしたデザイン性に惹かれて名刺ケースやペンケース、最近ではツイスト型のTANZAKU Lampなどを愛用している。そんな中で今回ご紹介できるのは最新のペントレー(ペントレイ)だ。
子供のころから慣れ親しんだペンケース(筆箱)などと違い、ペントレーはステーショナリーの定番商品だが、意外に使っていない人も多いカテゴリーだ。自宅や学校、職場を行き来するモバイル環境ではペンケースは定番商品だが、携帯性や移動性が必ずしも必要ではないデスク上では一般的にペンスタンドやペントレーが使われることが多い。
ペンスタンドとペントレーは、目的は極めて類似するが筆記具を立てて収納するか寝かせてフラットな状態で収納するかという大きな違いがある。前者の方がフットプリントは小さく収納パフォーマンスは高い。一方、ペントレーは一覧性が高く目的の筆記具を一目で区別できて確実に取り上げることが可能だ。筆者もこれら両者を使い分けている。
ペン立てと同様、ペントレーもダイソーのスタック可能な安価な商品から、高級な革である厚いコードバンを熱をかけてゆっくりと折り曲げた、こだわりのモデルも愛用している。今回ご紹介するのはそれらとほぼ同じ目的でデスク上で使う天然無垢材の「ストーリオ・ペントレー」だ。
素材に使われている木は、厳冬期には3メートル近く積雪のある新潟県魚沼市大白川で育った、まっすぐで大きな天然のスノービーチ(雪国のブナ)だ。商品はプレゼント用にも最適なブラックでシンプルな厚紙のケースに入って届けられた。
ストーリオ・ペントレーのカラーは今回ご紹介する“ナチュラル”(ウレタンクリア塗装)と“ブラック”(ウレタンブラック塗装の木目残し仕上げ)の2種類がある。置く周囲のカラー環境やお好みのペンとのカラーバランスで選べば良いだろう。筆者は今までナチュラル系が多く、今回も自然とナチュラルを選んでしまった。
ご紹介するストーリオ・ペントレーの特徴は、前述したように天然の高品質なブナ材を用いていることや木を削ることなく木を曲げる新しい技術で柔らかい曲線を生み出していることだ。しかし最大の特長は開発者のこだわりだ。多くのペントレーは最低でも3本、普通だと数本以上の筆記具を平置きできるフットプリントと構造を採用している。
ストーリオ・ペントレーは、最大でも2本というミニマル設計だ。従来から2本置きペントレーもマーケットにはわずかに存在はしているが、その多くは2本の筆記具の配置のために線を引いたように、明確に二分割されているモノが多い。ストーリオ・ペントレーは柔らかな曲げが浅い二列の窪みをつくりそっと置いた筆記具が自然と製作者が狙った位置に滑り込んでゆく構造だ。
太軸の筆記具も細軸の筆記具もこの動作は共通だ。2本のペントレーの良い点は、何より筆記具同士が触れることも衝突することもない点だ。そして各々の筆記具は親指や人差し指でフックして軽くつまんでトレーの外側にフリック操作をすることで、極めて安全簡単に持ち上げ筆記動作に橋渡しすることができそうだ。
感覚的には、数本の筆記具でもこの2本だけのペントレーと同じ操作性とメリットをを享受できるものがあれば最高だが、それは無理な望みだ。ストーリオ・ペントレーは本当に大事なたった2本の愛用の筆記具だけに最高の待機環境を提供するテクノロジー工芸品だ。多くを望んではいけない。まずはお気に入りの2本の筆記具を選ぶことから始めよう。
ストーリオ・ペントレーは映えることにも気配りのされた商品だ。底面には、ペントレー全体を空間に浮かせたように見させる高さ5mmのかさ上げの黒い台座が取り付けられている。ペントレーの中央付近に配置されているためによほど側面から見ない限りその存在には気付かない。
一般的にデスク照明のほとんどは、上から下に向かう光なのでストーリオ・ペントレーの柔らかいカーブが創りだすシルエットが机上に落ちて、あたかもペントレーがスペースエイジの乗り物のごとく宙に浮いているような錯覚に陥る。
筆者宅では、今のところストーリオ・ペントレーを寝室のナイトテーブル上で活用している。たった2本だけなので寝ぼけながらでも目的のペンが左右どちら側にあるのか手探りでも分かるようになってきた。筆者にとって一番難しいのは本当に愛用の2本のペンを選び出すことだろう。
製品名 | 発売元 | 実売価格 |
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ストーリオ ペントレー ナチュラル | ストリーオ | 5940円 |