本日の一品

ソニーのヘッドホン「WH-1000XM5」は複数台への接続がさらに便利になった

 音楽視聴のスタイルはさまざまだが、最近はBluetoothでのワイヤレス視聴が一般的だ。

 筆者も以前は高音質をうたう専用プレイヤーにケーブルを交換した自分の耳型から作ったイヤホンをつなぐなどかなりこだわりを持っていたが、ここ数年は「使い放題プランとストリーミングサービスの組み合わせの利便性」や「そもそもスマホにイヤホンが挿せない」など、すっかりスマホで使い勝手のいいワイヤレスのイヤホンやヘッドホンで聴くことがほとんどになってしまった。

 そんなわけで最近はオーディオ関連を購入する際はワイヤレス接続のものばかり買ってしまうのだが、今回はワイヤレスヘッドホンの新製品の中でも特に注目を集めているソニーの「WH-1000XM5」を購入した。

 正直今まで使っていた先々代モデル「WH-1000XM3」でも困っていなかったのだが、店頭で試した結果「とある機能」に魅力を感じ、友人の買い物の付き添いのはずが迎え入れてしまった次第だ。

 WH-1000XM5は、従来モデル同様に高音質とノイズキャンセリングが売りの、ソニーのワイヤレスヘッドホンのフラッグシップモデルだ。

 従来モデルからの大きな変更点は、2021年発売のフルワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」で搭載された統合プロセッサー「V1」を新たに搭載し、左右合計8個のマイク信号を制御することで、1000Xシリーズ史上最大のノイズキャンセリング性能が売りになっている。

 またイヤーカップとヘッドバンドの素材が見直されたことで装着感が改善されており、長時間の着用でも側圧やヘッドホンの重みで疲れづらいようにもなっている。

 もちろんソニーのワイヤレスヘッドホンなのでBluetoothコーデックはハイレゾ音質をワイヤレスで飛ばせるLDACにも対応している。

 音質やノイズキャンセリング性能の高いヘッドホンに興味を持っている人や1000Xシリーズの従来モデルを使っている人の買い替え先としてもオススメなのは間違いない。

 だが、筆者が購入を決めた「とある機能」こそイマドキのワイヤレスヘッドホンに標準であってほしい機能であり、筆者以外にも購入の決め手になる機能かもしれない。

 それが「マルチポイント機能」と「アプリでの接続先切替」だ。

 マルチポイント機能自体はそこまで珍しい機能ではない。この機能を使っているという読者の方も多いだろう。

 念のため知らない人へ向けて簡単に説明をすると、ワイヤレスヘッドホンを2台のスマートフォンなどBluetooth対応機器に同時に接続できる機能で、1台目のスマートフォンで音楽の視聴中に2台目のスマートフォンに着信があると、自動で2台目の通話を優先するよう切り替わるのがマルチポイント機能だ。

 接続する機器が2台までなら特に困ることはないのだが、3台以上に接続するとなると便利な機能ながら少々面倒なことがある。

 同時に接続できるのは2台までという制約なので3台目をつなぐには、つながっている2台のうちどちらかの接続をオフにする必要があるのだ。

 これが今までであれば端末側から切断操作を行い、1台の空きができた状態で次につなぎたい機器から接続操作を行う必要があった。

 筆者の場合、スマートフォン2台にiPad、さらにデスクトップパソコンとノートパソコン、ゲーム機とワイヤレスヘッドホンにつなぎたい機器は多く、便利なマルチポイント機能があっても実際につなぎ替えを行うには各機器での操作が必要でかなり面倒だったのだ。

 だがWH-1000XM5では、マルチポイント機能を便利にすべく、スマートフォンの専用アプリ「Headphones Connect」からペアリング済みの機器を一覧で表示し、そこから接続する2台を選択できるように進化した。

 移動中はスマートフォン2台と接続し、自宅に戻ってきたらスマートフォン1台との接続を解除してデスクトップパソコンに接続。パソコンでの作業も終えたら今度はテレビに接続先を変更して……といった、接続先の変更がアプリから簡単に行えるようになったのだ。

 実を言うとこれまでに購入したワイヤレスヘッドホンにもマルチポイント機能に対応したものはあり、上に書いたようなつなぎ替えで使っていこうと試みたものの、接続先の切替や管理が煩わしく、もっぱらスマホ用やパソコン用、テレビ用と使い分けて買い増していく状態になっていた。

 だが、WH-1000XM5であれば1台で複数台との接続を容易に実現できるため、念願叶ってワイヤレスヘッドホンを1台にまとめることができたのだ。

 マルチポイント機能をオンにしていると、高音質なLDACでの接続ができなくなるのは唯一の弱点だが、iPhoneやiPadなどのApple製品やパソコン、テレビなどはLDACにもともと対応していない。

 筆者の手元の機器ではAndroidスマートフォンのみがLDAC接続に対応しているが、Androidスマートフォンでは音楽を聴かないためLDACの出番はない。

 LDACでなくてもWH-1000XM5にはアップスケーリング機能の「DSEE Extreme」も備わっているため、マルチポイント機能を利用中でも極端に音質が低下したように感じることもない。

 音質やノイズキャンセリング機能に注目が集まるWH-1000XM5だが、実はスマートフォンやタブレットなど複数デバイスを駆使する人にも手に取って欲しい。

製品名発売元実売価格
WH-1000XM5ソニー4万5000円
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