本日の一品

USB給電でいつでもどこでもルーターになる「au 無線LAN STICK KTD31」

 スマートフォンやタブレット、パソコンなどの利用には、インターネット接続が必要。スマートフォンのモバイル回線も利用するが、自宅などでは光回線に接続した無線LANアクセスポイント経由で接続する。

au/KDDIテクノロジー「無線LAN STICK KTD31」、約103mm(長さ)×約14.1mm(幅)×約35(厚さ、約34g(重さ)、Wi-Fi:IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)、最大接続数:10台、モバイルネットワーク:4G LTE(800MHz/1.7GHz/2GHz)、通信速度:受信時最大150Mbps、送信時最大50Mbps

 一般的な利用であれば、こういう使い方で何も問題ないんだけど、レビュー記事のためにスマートフォンを試していると、自宅のLANとは切り離したネットワーク(Wi-Fi)が欲しいことがある。たとえば、Androidスマートフォンの通知のスクリーンショットを撮ろうとしたら、同じLAN上で音楽を再生していると、それが表示されてしまったり、LAN上のIoT機器が表示されたりすることがある。

スクリーンショットを撮るため、クイック設定パネル(通知パネル)を表示すると、同じLAN上で音楽を再生している状況が表示されることも……

 その解決策として、一時期はモバイルWi-Fiルーターを利用していたけど、給電しながら使うと、スマートフォンと同じように熱を持つし、バッテリーも劣化する。そういう意味ではスマートフォンのテザリングの方がまだ耐久性があるけど、いずれにせよ、機器にやさしくないのは事実。最近、各社が力を入れている据置型のホームルーターも検討したけど、データ通信無制限で使うほどでもないので、ちょっと「Too much」な感じ。

 そんなタイミングで、見つけたのがauが販売する「無線LAN STICK KTD31」という商品。しくみとしてはUSB接続の4G LTE対応データ通信端末なんだけど、USBは給電のみ。「無線LAN STICK」という商品名からわかるように、Wi-Fi経由でほかの機器を接続する。つまり、USB給電で動作するスティックタイプのモバイルWi-Fiルーターというわけだ。ちなみに、バッテリーは内蔵されていないので、USBポートから抜けば、電源が切れる。

背面には「SSID」と「暗号化キー」がプリントされている。持ち歩くのであれば、変更していいた方がベター
カバーを取りはずすと、中央にSIMカードスロットが備えられている。写真はわかりやすくするため、SIMカードが見える状態だが、実際には奥までさし込む仕様

 「無線LAN STICK KTD31」は2020年12月に発表され、翌年1月に発売されたんだけど、残念ながら、あまり話題にはならなかった。理由は発売当初、接続できる機器が「Amazon Echo Show 5」などのAmazonデバイスとau HOMEデバイスのみに限られていたためだ。auの狙いとしては、実働世代の両親宅などに設置して、Amazon Echo Showのビデオ通話などに利用してもらおうと考えたようだけど、接続できる機器が制限されているため、今ひとつ反響が芳しくなったようだ。

 ところが、発売から約1年が経過した今年1月。接続可能な対応機器の制限が撤廃され、スマートフォンやパソコン、タブレット、IoT機器など、いろいろな製品が制限なく、接続できることになった。しかも現在販売中のスマートフォンなどと同じように、SIMロックがかけられていないため、au以外の回線(SIMカード)でも利用できる。

 auで利用する場合は、月額550円の「無線LAN STICKプラン ds」という料金プランが契約でき、auで契約中のスマートフォンと組み合わせることで、テザリング用のデータ通信量をシェアできる。たとえば、「使い放題MAX 5G ALL STAR パック」なら80GB、「使い放題MAX 5G with Amazonプライム」なら60GBといった具合だ。

USB充電器に挿せば、給電され、インターネットに接続される。正しく接続されれば、中央上のLEDが青く点灯する

 ただ、残念ながら、「無線LAN STICK KTD31」はau オンラインショップで販売されておらず、店頭で購入し、契約しなければならない。店頭も以前ほどの混雑ではないので、出向いて購入してもいいんだけど、ちょっと面倒……。なんて思っていたら、幸い、Yahoo!ショッピングで販売されているのを発見し、今回はそちらで端末のみを購入することにした。価格は3300円。au オンラインショップって、「無線LAN STICK KTD31」に限らず、ホームルーターも販売していなかったりして、ちょっと商機を逃しているような気がするのですが……。何とかなりませんかね。 > KDDIさん

 Yahoo!ショッピングで購入した商品は、数日後に届いたので、早速、手元にあったOCN モバイル ONEのデータ通信用SIMカードを挿して、市販のUSB充電器にセット。ノートパソコンからWi-Fiを検索したところ、「WLANSTICK-xxxxxx」が見つかるので、そこに接続。暗号化キーは端末本体にプリントされているので、それを入力すれば、接続できる。万が一、盗難されたときのことを考えると、暗号化キーは変更しておいた方がベターだろう。

WindowsやmacOSなどで、接続したい機器でWi-Fiネットワークを参照し、「WLANSTICK-xxxxxx」のSSIDに接続する
ブラウザーで表示する設定画面。標準では「192.168.1.1」で表示可能
出荷時の無線LAN設定は自由に変更できる。[無線LAN名(SSID)]と[パスワード]は本体背面にプリントされているので、変更がおすすめ。

 「無線LAN STICK KTD31」にWi-Fiで接続ができたら、ブラウザーを開き、URLに「192.168.1.1」を入力し、設定ページを開く。初回ログイン時は出荷時のユーザー名とパスワードが設定されているので、ログイン後にパスワードを変更する。

 続いて、インターネット接続の設定、つまり、スマートフォンでいうところのAPNの設定をする。今回はOCN モバイル ONEのデータ通信用SIMカードを接続したので、OCN モバイル ONEのAPNを設定したが、これがうまくつながらない。しかたなく、手持ちのau回線のSIMカードを挿したところ、「無線LAN STICK KTD31」のアップデートが実行された。どうやら、購入時は今年1月に接続可能な機器の制限を解除するアップデートが適用されていなかったようで、うまく接続できないケースがあったようだ。

出荷時はKDDI(au)のAPNが設定されている
[インターネット]-[モバイル接続]で[追加]を選ぶと、新たにAPNを追加することが可能
ソフトウェアは自動的にアップデートされるが、初期状態ではauのSIMカードを挿して、アップデートした方が確実

 アップデート完了後、OCNモバイルONEのSIMカードに差し替えたところ、「無線LAN STICK KTD31」のLEDが青く点灯し、無事にインターネットに接続された。SIMカードを差し替え、接続先を切り替えたときは、一度、「無線LAN STICK KTD31」をUSB充電器から抜いて、再接続する必要があるようだ。設定ページ内で再起動などのメニューがあれば、便利なんだけど……。

 ちなみに、同様のUSB接続のルーター機能を持つデータ通信端末商品は、いくつかのオンラインショップで販売されているが、「技適」を取得していない製品が多く、設定方法なども明示されていないので、あまりおすすめはできない。筆者も1つ購入して、試してみたが、「無線LAN STICK KTD31」の方が設定も簡単で、安心して使うことができた。

 ということで、無事にいつでもどこでもルーターとして利用できるUSB接続のデータ通信端末の環境を作ることができた。光回線やホームルーターなどに比べると、通信速度はあまり期待できないけど、自宅のネットワークと切り離した環境ができたので、今後、便利に使うことができそうだ。USB給電のみで利用できるので、クルマでドライブするときなどに、シガーライターソケットに装着するUSB充電器に接続し、スマートフォンやタブレットをいっしょに使うという方法にも応用できそうだ。

 SIMカードについては、今のところ、ほかで利用する予定がないOCN モバイル ONEのデータ通信プラン用を挿してるけど、本来のauの料金プラン「無線LAN STICKプラン ds」を契約するのもいいし、最近話題のソフトバンクの「データ通信専用3GBプラン」を選ぶのも手。povoで利用できるといいんだけど、今のところ、対応機種には含まれていないので、今後の対応表明を楽しみにお待ちしております。

製品名発売元購入価格
無線LAN STICK KTD31KDDI3300円