本日の一品

ATOK40周年のインベーダーゲーム電卓を買ってハマッてしまった

生誕42年になるゲーム電卓はなんの特長も無いただの電卓だけど超絶奥深さを感じてしまった

 「スペースインベーダー」はタイトーが1978年に発表し、瞬く間に世界中に広まり、その後、現在まで続くコンピューターゲームの世界をけん引した画期的なゲームだ。筆者も当時地元の喫茶店のゲームマシンの前で100円硬貨を積んで遊んだ記憶がある。

 そんなスペースインベーダーの迫りくる危機的雰囲気を電卓の数字だけで実現した「デジタルインベーダーゲーム電卓 MG880」が1980年にカシオ社から発売され一世を風靡した。発売時は5000円近くしたMG880は、たしか当時人気の漫画「ゲームセンターあらし」にも登場していた。

 そんなカシオのゲーム電卓MG880が、38年ぶりの2018年に復刻版の「SL-880」として再発売された。筆者が手に入れたのは復刻モデルとかな漢字変換のジャストシステムとがコラボした“ATOK40周年”モデルだ。CASIOロゴの右横にエンボスされた“SINCE -1982- 40th ATOK”と入っているのが特徴でオリジナル復刻版との唯一の差異だ。

SINCE -1982- 40th ATOK とエンボスされたプチ・カスタムモデル

 紙製の特製パッケージには本体のSL-880と手帳型カバーケース、取説が入っている。もちろん今回のモデルはソーラーパワーで10桁と一般的な電卓的使用には十分だ。MG800と比較して液晶表示の数字も大きくなり見やすさも倍増している。技術革新で価格もオリジナルモデルの頃の3分の1以下となった。

昭和ロマンなビニールカバーが緩くて最高だ
液晶表示の数字が大きくなって計算もゲームもしやすくなった
定番のソーラーバッテリーの10桁電卓だ
机に置いてゲームに熱中したら底面に滑り止めが欲しくなった

 そして復刻版のSL-880にはオリジナルモデル時代は必要なかった消費税対応の“税率”“税抜”“税込”の3つの新しいキーや+/-反転キー、などが追加されキーの数は全部で29個になった。一見してゲーム感覚からあえて遠ざかった様なキーの増加が筆者には変態的で嬉しい。

オリジナルモデルには無かった消費税関連キーが時代の流れを感じる

 仕事で税率計算中でも、ACキーに続いて“GAME”キーを押せばいつでもゲームモードに突入できる。しかし令和時代の現代なら、できればGAMEキーを押すだけで現在計算中のお仕事モードは一時保存した上でスイッチ&カムバックして欲しかった。

GAMEキーでゲームモードに入り、AIM、FIREのキーでインベーダーを打つ

 ゲームのプレイは従来と同じ“小数点キー”と“+キー”の2つだ。前者はキートップ周囲に描かれているように“AIM”(照準)、後者は“FIRE”(発射)だ。この2個のキーを片手、時には両手の2本の指を使って右側から迫ってくるインベーダー(数字)を消して行くのがゲームの基本だ。

 プレイ中の静止画写真ではイマイチ分かりにくいが、状況は右側から最初に“0”が登場し、続いて6、0、3、1と一定間隔で登場し現在、左端のAIM表示は“0”だ。今この段階でこの0のままFIREを押せば右から迫ってきているインベーダーの先頭にいる0を消すことができる。そして今度はAIMを1回押して左側の0を1に変更してFIREを押せば右端に出てきたばかりの1を消すことができる。

右端から数字のインベーダーが続々と迫ってくる

 この辺りは動画を見て頂くのが一番分かり易いだろう。基本的に、インベーダーはスクリーンに登場して直ぐに打ち落とす(消す)のが高得点となり、より接近してきた数字を打ち落としても得点は低い。高得点だけを狙うとAIMキーを数多く押して登場してすぐのインベーダーの数字に合わせる作業が必要となり、常に数字の変更に時間を取られてしまう。

ゲームは聞くより習うより見て試すのが近道だ。百聞は一見に如かず

 感覚的には高得点を狙う登場即打とある程度インベーダーが行列をなした時に、効率よいAIMの数字順次変更で、列をなしたインベーダーの数字を順番にまとめて打ち落とす手法の両方を上手く組み合わせて臨むことが重要だろう。

 一網打尽を狙って、AIMの数字切替の効率化だけを考え、運を天に任せて敵の行列が自分にとって効率よい理想的な並びになるのをおっとり待っていると……あっという間に更なるインベーダーが出現して隊列を左に押し込まれてあっという間に反撃の機会を失ってゲームセットとなってしまう。

うっかり戦術を立てすぎるとインベーダーが迫ってきて詰んでしまう

 筆者の様に単に口で言うのは極めてやさしいが、実際に筆者も十分に理屈を理解して臨んでやっても初日は、なんとたったの2420点止まりだった。しかし翌週、任天堂SWITCHを抱えて遊びに来た娘に講釈してSL-880を渡して“どうよ?”って聞いてみたら……なんと第9ステージまで行ってそのスコアは8230となんと3倍以上の格差にグッタリした。やっぱりゲームは習うより慣れろが正しい。

手に入れた日の最高スコアはなんとたったの2430点
遊びに来て初めて触った娘が帰る前に出したスコアはなんと8230点

 下手の横好きという言葉があるが、筆者はまさにこの言葉にピッタリだ。ここ何年か、今回のゲーム電卓に至るまでも多くのレトロゲームを買い込んでいる。いずれのゲームもよく考えられたストーリー性と現在でも新鮮なグラフィック、何よりそのすべてを極めてコンパクトな本体に封じ込めた技術は素晴らしい。

ゲームは今も下手の横好きだが、1980年頃にゲーム電卓で遊んでいなかったことが悔やまれる

 全盛時代、筆者的には印象の薄かった1980年に発売されたカシオゲーム電卓(インベーダーゲーム)。当時は見た目のスクリーンのインパクトでゲームを選んでいた筆者が約40年経って単なる数字と記号だけのゲームにこれだけハマるとは想定外だった。カシオゲーム電卓インベーダー、最もシンプルで簡単操作でも最も深い……。

 最後に、想定通りGoogle Playにもあった「ゲーム電卓」アプリをダウンロードして筆者のPixel 6 Proで試してみた。どちらかと言えば復刻版ではなく1980年のオリジナルモデルのキー配列に近く同じように楽しめる。しかし本物のゲーム電卓の安っぽいキータッチとサウンドが圧倒的に心地よい。やはり大事なのは「本物」だ。

製品名発売元実売価格
CASIO ゲーム電卓 ATOK40周年記念モデルCASIO1800円