本日の一品

A6手帳サイズの電子メモ「Boogie Board」とほかの道具と比べてみた

Boogie BoardのA6版コンパクトなモデルを4色大人買いした

 Boogie Boardと筆者の縁は深く、今から12年ほど前の2009年末に友人が米国で発売されたばかりの初代Boogie Boardを輸入するというので相乗りしたのが最初だった。それ以来、その魅力に取りつかれて全ての製品を手に入れている。

13年前に米国で発表された初代モデルを友人と速攻で輸入。無理矢理バッテリー交換して今も動作している。筆記感は未だにこれを超えるBoogie Boardが無い

 もちろんその中には、Kent Displays以外の他社製品も多く、中には20インチを超える大きな画面の商品もある。昨今、雑誌の付録やダイソーなどで販売されている数百円の電子メモも、そのほか大勢のなんちゃってBoogie Boardだ。

今やKent Display以外のなんちゃってBoogie Boardは2インチクラスから20インチ超までユニークなモデルが数多くある。

 今回ご紹介するBoogie Boardは、昨年の発売日に筆者が購入したBoogie Board BB-14モデル(A6手帳サイズ)と呼ばれる比較的コンパクトなモデルだ。初期モデルの発売から10年ほどは、キッズモデルや限定モデルなどの例外を除けばブラック系の多かったBoogie Boardも前作のBB-12(ふせんサイズ)くらいからカラフルなモデルを販売するようになった。

初代の8.5インチモデルと比べてもBB-14はコンパクトだ

 今回ご紹介するBB-14は一般的なリーガルパッド大サイズや10インチ前後のBoogie Boardと比較するとかなり小さく、大作を描く用途ではなくササッとクイックに重要なメモなどを備忘録的に描く目的で使うモノだ。コンパクトなサイズから常時携帯も可能だ。背面には金属ドアやキャビネット、冷蔵庫扉に吸着させる目的でマグネットも付属し、14㎝まで測定できる物差しの目盛も付いている。

BB-14(右から2番目)の筆記面積はリーガルパッドの5分の1くらいだ
本体から取りさせる方式のスタイラスと、マグネット、物差しがある

 従来、ほかのなんちゃってBoogie Boardのメーカーや無料アプリの会社からは、この手のアナログメモをスマホ撮影でデジタル化してスマホやパソコン、クラウドなどにデータとして保存するためのアプリが登場していたが、Boogie Board純正のキャプチャアプリはつい最近まで無かった。

 今回BB-14と一緒にご紹介するキングジムロゴのスマホアプリ“Boogie Board Scan”は過去から現在までのほぼ全てのBoogie Boardをスマホカメラでスキャンしてその筆記データをスマホ内部のストレージやクラウドに保存することができる。

Boogie Board ScanアプリでBoogie Boardに記述した内容をスマホにスキャン出来る

 アプリを導入後、使用しているBoogie Boardのモデルを選択してスキャンするだけだ。アプリを起動したスマホのレンズをスキャン対象となる筆記済みのBoogie Boardに向けると、自動的にスキャンエリアを確定しスキャンし、スキャン結果をモノクロ(白地に黒)で表示してくれる。

スキャンはアプリを起動してスマホをBoogie Boardにかざすだけでほとんど自動でやってくれる

 スキャンしたデータをカラーで編集加工するのも簡単だ。もちろんスキャンデータはスマホで利用するだけではなく、共有を選択して任意のSNSアプリやクラウドストレージに転送し、ほかのスマホやタブレット、パソコンで再利用もできる。

アプリではカラーで編集、SNSやクラウドでの共有、サムネイル表示もできる

 純正のBoogie BoardとBoogie Board Scanアプリの相性がなかなか良いので、ダイソーや雑誌付録のなんちゃってBoogie Boardの筆記データを同様にスキャンしてみたが、スキャンエリアの確定に手間取り、無理やりスキャンしてもモノクロ2値のバランスが美しくない結果になることが多かった。やはりBoogie Board純正のアプリと割り切った方が良さそうだ。

Boogie Board Scanアプリは純正Boogie Board専用と考えた方が良い

 10年前には、ほとんどオタク層しか興味を持たなかったBoogie Boardの世界だが、昨今は雑誌の付録や500円の超安価なダイソー版電子メモが話題になり、従来はまったくBoogie Boardには触れることも無かった層も使っているシーンを見かけるようになった。

 しかしその大半は、電子メモの単体使用やスマホ撮影くらいで、データをクラウドで共有するなんて使い方はまだまだオタク世界だ。昨今はBoogie Boardなどの電子メモにも使えそうな汎用スキャンアプリも多くの種類が登場してきている。その全ては電子メモ専用ではなく、ごく普通に筆記した紙のメモやホワイトボードなども対象だ。

 筆者が使っているメモスキャンアプリは、Dropboxのフロントエンドツールとして付属しているモノやマイクロソフトの「Office Lens」などだ。今回はDropboxのスキャン機能を使って筆者の常用の黄色のリーガルパッドに描いた絵や文字をスキャンしてみた。

一般的なアプリならDropbox Scanを使えばごく普通の紙に書いた文字や絵も簡単にScanしてクラウド共有が可能だ

 スキャンの方法は、Boogie Board専用のアプリとほぼ同様。スキャンしたいメモ用紙に起動したスキャンアプリをかざすだけだ。アプリはスキャン範囲を自動で選択してすぐにスキャンしてくれる。もちろん2値のモノクロデータとして自動変換してくれるので、黄色いリーガルパッドの背景は無視され、白地に黒のくっきりしたスキャン結果となる。

 トリミングやエディットも可能で満足できる結果ができ上がれば、JPEGやPDFなどのフォーマットを選択、好きなファイル名を付けてDropboxの任意のフォルダにアップロード保管できる。クラウドストレージのフォルダに蓄積したスキャンデータは、どこにいてもネット環境さえあれば、スマホやタブレット、パソコンで共有可能だ。

 Boogie Boardの登場から13年ほどが経過した。クラウド系メモというポジションに出遅れたBoogie Boardは登場初期の頃のように、描いては消して何度でも再利用できる手書き電子メモという単機能的位置づけに戻ってしまいそうな感じがしてしまう。

 Dropboxスキャンやエバーノート、Office Lensはもはやごく普通のリーガルパッドや大学ノート、手帳、紙ナプキンやトイレットペーパーまで、文字を書けて絵が描ける素材であれば、Boogie Boardより簡単にスマホでスキャンしてクラウド親和性の高い使い方ができそうだ。

 何百何千とある紙素材や筆記具のバリエーション、最も自分にとって快適なコンビネーションで自由自在に描いたメモや書類がスマホアプリでクラウド共有できるのであれば、最終的にクラウド管理と運用が目的とすると、わざわざBoogie Board Scanを使うこともなさそうだ。

次世代のBoogie Boardには専用アプリによるクラウド共有などでは無く新しいデザインとスタイラスと筆記面の快適度の向上を期待したい

 次世代のBoogie Boardは、昨今の500円電子メモと同じ位置づけで、バッテリーが許す限り何度でも描いては消せる再利用可能なシンプルな“電子メモ”という登場した頃のノンインテリジェントな商品なのかもしれない。

 今後、筆者がBoogie Boardに期待するのは、価格差を埋めるより、機能に特化した新しいデザインとスタイラス、筆記面の快適度の向上だ。次のBoogie Boardが待ち遠しい。

製品名発売元実売価格
Boogie Board BB-14 NAVY(6インチLCD)キングジム3200円
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