本日の一品

時にはスマートじゃない「ボタン式デジタルタイマー」も素敵だ

 IoT時代の世の中、いつの間にか素人、プロを問わず”スマート”がキーワードになってしまった感がある。我が家にもスマートフォンを除いて数えてみても頭に”スマート”と冠の付いたデバイスはゴロゴロとしている。

スマートじゃないアナデジタイマー「ボタン式デジタルタイマー」に惹かれた

 そんなスマートを冠したデバイスで最もポピュラーで安価、スマホで簡単に設定、管理運用できるIoT入門系の代表機器に”スマートプラグ”とか”スマートコンセント”なんて呼ばれるホームアプライアンスものがある。

 今のスマートプラグ&コンセントの状況は登場当初はキーボードとマウス以外は何も無かったUSBテクノロジーの機器が急拡大した頃の雰囲気とそっくりだ。実際に使ってみるとよく分かるが、スマートプラグ&コンセントの活躍範囲は現在でもそれほど多くはない。

 この数十年、安全性の推進・確保や使いやすさやデザインの観点から電源を使う家電製品は、自社他社を問わず周辺家電製品との連携は極めて少なく、単体自立を前提に独自に成長してきたモノが大半だ。

 テクノロジーが発達するにつれてメカニカルな電源スイッチは減り、独自のタイマー内蔵の製品も多い。加えて発熱や発火の危険性のある家電モノはスマートプラグ&コンセント最大のメリットである遠隔での利用も禁じられている。

 そんな時代なので、実際の多機能なスマートコンセントやスマートプラグの活躍の場は予想外に少ない。そんなやや使い勝手の閉塞感のある時代に、スマート好きのミーハーな筆者は開き直って”ノンスマート”機器に目移りがしてきた。

 ネットを徘徊していて偶然見つけたのは”ボタン式デジタルタイマー”と文字面だけではいったい何なのか想像の難しい昭和な匂いのするデバイスだ。実際の商品を見てみると”ボタン”と”デジタル”の関係性がやっと理解できた。

ダイヤル式のアナログタイマーを見慣れた目には新鮮なデザインで即ポチッ

 ボタン式デジタルタイマーの主な使途は、壁面コンセントやテーブルタップと家電製品との間に設置し、今現在使用中の家電製品の電源を事前にセットした一定時間経過後に自動的にオフするものだ。基本的な機能はあくまで”電源の自動オフ”であってタイマーによる”オン”機能は後述する”繰り返し”ボタンによる操作以外は提供されていない。

基本は同じ、家電製品と電源コンセントの間に入って電源切を制御するだけ
本体前面には6種類の時間ボタンと「入/切」「繰り返し」ボタンの8個がある
背面には壁面コンセントやテーブルタップのコンセントに挿すプラグブレード
本体側面には制御したい家電製品を繋ぐためのコンセントが1個

 ボタン式デジタルタイマーは表面に電源切までの時間設定用に15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間とプリセットされたボタンが6個ある。ボタン式デジタルタイマーに接続した家電品の使用中に任意のボタンを押すだけで希望の電源オフ時間までの設定をスピーディに選択できる。しかし45分後や5時間後を必要とするユーザーには残念ながら応えてくれない。

 背面にはコンセントのプラグブレードが取り付けられており、正面から見て8個のボタンのある左側面には設定時間経過後に自動電源オフしたい家電品のプラグケーブルを接続するコンセントがある。

 機器の表面には時間設定の6個のボタンの他に右端に「入 / 切」と「繰り返し」という2つのボタンが配置されている。「入 / 切」ボタンは、ボタン式デジタルタイマー背面のプラグと側面の家電用コンセントを単純に通電・切電するためのボタンスイッチだ。

 筆者宅でかれこれ30年以上愛用している物理的なプッシュ式の電源オンオフスイッチを備えたフロアランプをボタン式デジタルタイマーに15分後に自動電源オフになる設定で繋いでみた。”15分”ボタンのLEDランプが緑色に光っている。そして約15分経過するとフロアランプは自動消灯した。

15分経過したらフロアランプを消す設定をやってみた

 「繰り返し」ボタンは最初はちょっと理解しにくいが、「繰り返し」ボタンを活用することで例えば午後9時頃にボタン式デジタルタイマーを経由、電源オンして発光しているフロアランプを先ほど同様、15分経過後に自動オフし、その動作を翌日以降も同時間帯で繰り返せる。

 まず「入 / 切」ボタンを”入”にセット、フロアランプ本体の電源をオンして発光させる。次に「15分」ボタンを押し消灯をセット。続いて「繰り返し」ボタンを押せば、24時間後に電源オンした同じ時刻である午後9時に自動電源オンし、その15分後に電源オフとなる繰り返しを永遠にしてくれる。

電源オンした時刻から24時間後に同じように再度オンし15分後にオフする設定

 実際の使い道としてはテラスなどの夜間照明として、毎日深夜から朝までを毎日繰り返し点灯・消灯させるとか、留守宅でも在宅イメージを感じる様にフロアランプを18時~24時までだけ点灯させるとかにも使えそうだ。

 オールディーズなメカニカルスイッチのラジオならお気に入りの放送局の番組で目覚めベッドから抜け出る頃にスイッチを切ることも可能だ。もちろんスマートスピーカーでも同じことはできるが、お気に入りのラジオ、番組でできることの価値は大きい。

ヴィンテージなラジオを目覚ましラジオとして使える

 なお、最大電流が15A以上の機器は利用できない。15A以上の電流が流れると故障や火災の危険がある。またエアコンやクーラー、電子タイマー内蔵機器、リモコンでON/OFFする機器、センサーで自動的に動く機器でも使えない。はたまた防水ではないため、屋外や浴室などでの利用もNGだ。

 そうした事柄はあるものの、ボタン式デジタルタイマーは何でもスマホが関わることでできそうなIoT時代に敢えて存在している”アナデジタイマー”だ。大昔からあるダイヤル付きのアナログタイマーや、アウトドアでも使える防水対応製品など類似的な効果の期待できる製品は多い。何でもスマート時代だからこそ工夫して使ってみたい商品だ。

スマートスピーカーやスマートプラグ、スマホで何でもできそうなIoT時代に敢えて使ってみたいボタン式デジタルタイマー
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ボタン式デジタルタイマー AB6H1273円Amazon