本日の一品
書き味も魅力的、“ノック音を66%低減した静音ボールペン”「カルム」
2022年1月11日 06:00
ハラスメント多発時代に、筆記具のぺんてるが20代~60代まで5世代の各世代約220人、総計1000人を超す「音ハラ」に関するネットアンケートを基に商品開発を行った。アンケート結果によると“ボールペンなどのノック音”は全世代にわたって2番目に気になる音らしい。1位は動画・音楽の音漏れやテレビ会議の音だった。
自分のボールペンのノック音に対する感覚には世代間に差があり、20代、30代のミレニアル世代はなんと8割が気になるらしい。対して40代以上は6割程度。その差2割だが、読者の皆さんの周囲はどうだろうか。個人差はあるだろうが、一般的にミレニアル世代はセンシティブ、シニア世代は鈍感という結果だ。
そしてここからの展開は多少マーケティング的な飛躍を感じざるを得ないが、“ミレニアル世代は「音ハラ」回避の製品に投資効果を見出すとの理解に立ち、静音ボールペン「Calme」(カルム)を開発したらしい。
ステーショナリー大好き、新しモノの大好きなシニア世代の筆者は、当然発売日にカルムを単色、3色合わせて4本を購入。速攻で従来のボールペンと比べてみた。どちらかと言えば筆者はキーボードも静音ではなくカチャカチャ、カチカチとクリッカブルでカチッと決まる存在感のある音やモデルが好きな方だ。
もちろん年相応に多少の分別もあるので、どのような場所においてもボールペンを不要にカチカチ鳴らしたり、ペンを回したりすることは皆無だ。しかし世代的にはアンケート結果で言われている“音ハラ”に対するデリカシーの低い年齢層に当たる。
まず家にあったゼブラの「Clip On」という4色ボールペンとカルムの3色ボールペンを比較してみた。実際に色変更を何度かやってみた。別の色の芯を送り出すことで自動的に現在選択されているペン芯が引っ込む構造の多色ペンだと、引き込む芯がストッパーにぶつかり、当然ながら衝突音が出る。
カルムは本体軸のストッパー部分にシリコン系の別パーツを使っており、何も対応していない他社のボールペンと比較すると確かに静音だ。しかし単色のカルムでは芯先の出入りのノックオン・オフ時に指先をそっと添えて戻してやらなければ普通のボールペンと大差ない衝突音で、それほどの静音性は感じない。
筆者の愛用する中では大好きな、BICのノック式ボールペンは静音からは程遠い豪快なパチンパチン音で、景気の良いクリック音を心ゆくまで楽しめる。さすがにこれを継続的にカチカチ、パチンパチンやっているのは音ハラだ。とは言え、そんな騒音を出している人に注意すらできない時代の方が「音ハラ」よりもっと深刻だ。
ボールペンに静音性を求めるならレガシーなキャップ式ボールペンや、メカニカルな回転式の極めて静音性の高いボールペンも世界中にピンからキリまでいくらでもある。ちなみに静音をウリにしたボールペンは別に今回が日本初登場では決してない。
古くは2006年に登場したゼブラの「クリップオン G 3C マナー」があった。以前の同社製品より操作音を87%低減したというものだった。また6年後の2012年には、セーラー万年筆が「就活ボールペン」と称して静音ボールペンを発売した。そしてクラウドファンディングの世界でも静音系は存在していた。カルムはその後登場した3番目か4番目の静音系商品だ。
過去に何度か登場しては消えて行った静音系ボールペンと同じく、ぺんてるの「音ハラ」に向き合ったという気配りボールペン「カルム」は、大変に気配りのできる生真面目な世代に向けた、3匹目か4匹目のどじょうを狙った何度目かの静音系ボールペンだ。
今回の静音系ボールペンが時代背景にマッチしたのか、時代がやっとコンセプトに追いついたのか、今はまだ分からない。実際にここ数日、毎日カルムを使ってみた筆者の印象は、特に「音ハラ」の領域まで立ち入らなくても、スムースで心地よい筆記感覚だけで勝算のある商品だ。一見論理的で、でき過ぎたビジネスケースは蛇足に思えてしまう。
製品名 | 発売元 | 購入価格 |
カルム3色ボールペン | ぺんてる | 396円 |
カルム単色ボールペン | 148円 |