本日の一品

高かったけど、買って良かったカメラの縦位置グリップ

 ソニーのデジタルカメラ「α7 III」をメインの撮影機にした筆者。シーンによっては画質にちょっとクセがあるような気がするけれど、フルサイズながらミラーレスということもあってコンパクトなボディは、できるだけ身軽に取材したい自分にとってはありがたいところ。

 よっしゃ! これでガンガン 楽しく 素敵な写真を撮影しまくるぜ! と意気込み、レンズ2本とフラッシュ(HVL-F60RM)、予備バッテリーにUHS-II対応のSDカードやSDカードリーダーなどなど、「仕事(取材)に必要だから」という名目でどんどん周辺装備を充実させ、完全にソニーα環境に移行した。総額でいくらかかったのか今となっては計算したくない。でも仕事用なのだから仕方がないのだ、仕方ない。

 と言い聞かせつつ取材にいそしむ筆者だったのだが、しばらく使っているうちに、α7 IIIのコンパクトさがデメリットに感じる部分も出てきた。やや大きめの筆者の手では、グリップを握ったときに小指が完全にはみ出してボディ下を支える形になり、ホールドし続けるのが苦痛になってくるのだ。これは困った。ああ困った。この問題を解決しないと 楽しく いい仕事ができないなあ。

小指がボディの下に潜り込み、支えるような感じになるので、物理的に痛い

 ということで、仕方なく検討することにしたのが、グリップを縦方向に延長するアクセサリーだ。α7 III向けのものとしては、「グリップエクステンション GP-X1EM」と「縦位置グリップ VG-C3EM」の2種類がある。「小指問題」を解決するだけなら前者のグリップエクステンションだけでも十分。だけれど、単純に小指1本分を延長するだけの単機能なものに、実売1万円前後をかけるのは自分の中では納得しにくいものがあった(とある編集者の方からは、5000~6000円程度の厚めのボディケースを装着することでも「小指問題」をある程度解決できると後になって教えてもらえたのだが)。

 一方、後者の縦位置グリップは実売3万円を下らない。とはいえ問題解決以外のプラスαも多い。装着することで、見た目がプロっぽくなる(素人考え)のもなんかうれしい。そんなわけで、「取材に必要だからなあ、仕方ない」と頭の中で繰り返しながら縦位置グリップを量販店でお買い上げ。さっそくその日の取材から使い始めたのだった。

店頭で念のため試して、即購入を決めた縦位置グリップ

 結論から言えば、これは満足度がものすごく高い。縦位置グリップのおかげで小指もほかの指と一緒に完璧にボディを捉えてガッチリホールドでき、構えたままチャッターチャンスをしばらく待つのも苦にならない。しかも外観が完全にプロのそれ(素人考え)になり、所有感も段違いにアップする。標準のバッテリーを2個内蔵でき、単純計算で2倍の電池もちになるのも大きい。α7 IIIは電池の減りが早いので、連日の取材や動画撮影でも安心感がある。

見よ、この威風堂々たるたたずまいを
当然、小指でもしっかりグリップを握れる
バッテリーは2個内蔵可能。一方が切れると自動でもう一方からの給電に切り替わり、無駄なく使える

 縦位置グリップの本来の目的である、縦に構えた状態でもシャッターを切りやすくする機能についても、使う機会こそ少ないが、いざというときはそのメリットを確かに実感できる。縦位置でも通常の横持ちと全く変わらない操作性で、2つのダイヤルでシャッタースピードやF値なんかを変更できるのもいい。ただ、縦持ちするとファインダーの位置が想像以上に下の方に来るので、とっさのときはファインダーを覗いたつもりで構えたのに視界が真っ暗。3秒くらい暗闇を見続けた後、ようやくファインダーを覗いていないことに気付いたりする……のは慣れないせいか。

シャッターボタン、ダイヤルキー、ショートカットキーなどが本体側にあるボタン類とほぼ同様のレイアウトで配置
縦に構えた状態でも横持ちと同じように楽に操作可能

 α7 IIIの特長であった機動性が失われてしまうのがネックではある。けれども、縦位置グリップを装着することによるメリットがそれを補って余りあるので、今は多少かさばっても頑張って持ち運んでいる。筆者と同じように手が大きくて小指問題に悩まされている人、電池もちをもっと良くしたい人、プロっぽい雰囲気をかもし出したい人に、縦位置グリップはとってもおすすめだ。

横長だった本体が、正方形に近い大ぶりのサイズに。かさばるが、撮影時のメリットを考えると許容範囲内
製品名発売元販売価格
縦位置グリップ VG-C3EMソニー3万8500円