本日の一品

スリムなのに打鍵感しっかり――スマホと一緒に持ち歩きたい「Rapoo E6080」

 どこへ行くにしてもノートPCを持ち歩いている。そんな人はけっこういるのではないだろうか。仕事絡みでいえば、少し長文のメールの返事を書かないといけない、込み入った説明の必要なチャットが始まってしまった、少しのスキマ時間で企画書の文面を作っておきたい、といったときに手元にあるほうが何かと便利だからだ。

 しかし、作業のほとんどが「テキスト打ち」であれば、快適に入力できるキーボードさえあれば、端末は何でもいい、と考える向きもある。入力に特化したキングジムの「ポメラ」シリーズは、その需要にマッチしている。

 今回紹介したいのは、スマホを使ったネットでのやり取り×文字入力を快適にするキーボード「Rapoo E6080」だ。

まるで一枚の板のように見える「Rapoo E6080」

 Rapoo E6080は、最薄部が5.6mm、最厚部でも16.2mmと非常にスリムなキーボード。ステンレス素材とアルミ合金を採用しており、スタイリッシュな印象。パンタグラフ式のキーは、キーピッチが19mmのアイソレーションタイプで入力しやすい。薄くても、素材のおかげで剛性があり、膝の上でもたわむことはなく快適だ。

キーピッチは約19mm。打ち間違えることはなさそうだ

 さっそく、手持ちのiPad Pro 9.7インチ(2016)やHUAWEI Mate 20 Pro、iPhone Xなどにつなげてみた。

わかりやすい接続方法

 Rapoo E6080は3台までのマルチペアリング対応。初期設定も簡単で、電源スイッチをスライドさせて電源をオンにしたら、Fnキーを押しながらBluetoothマークと数字の刻印されているキーを長押しするだけ。もちろんOSによってコード番号の入力が必要になるなど違いはあるが、接続したい端末の設定からBluetoothペアリングの画面を開き、Rapoo E6080を選べば接続完了だ。

ペアリングしたり、接続したりするときには「Fn」キーとBluetoothマークの脇に数字(1~3)が振ってあるキーを組み合わせて使う

 いったんペアリングしてしまえば、あとは電源を落とすことなく、Fnキーを押しながらBluetoothマークと数字の刻印されているキーを押すことで、接続先の端末を切り替えられる。ノートPC、タブレット、スマホなど複数端末を操作する際、キーボードから手を離さずに作業を続けられるのが便利だと感じた。

なぜか使えない「ろ」キー

 筆者はかな入力派というマイノリティーのため、スマホ×物理キーボードという組み合わせでの苦労が耐えないのだが、ここでもまた苦労することになった。

 Rapoo E6080の実物を目にしたときに「おお、『ろ』がある!」と感動した。多少、位置がおかしくてもいい。「ろ」を入力できるという事実が大切なのだ。

かな入力派にとってありがたい「ろ」がある

 次に、長音記号を探したところ、なんと左シフトキーの隣にあるではないか。そして、当のシフトキーは幅が半分ほどになっている。「これは、『ゅ』と入力したいのに、『ーゆ』となっちゃうやつだ……『、』も『ーね』になってしまう……」と、長音記号の乱発を予想した。

普通はBackSpaceキーまたはDeleteキーの左、「へ」の右隣にあるはずの長音記号がなぜか真反対の場所に……。Shiftキーの幅を削ってしまっているため、誤押下が予想される

 しかし、iPad Pro 9.7(2016)やiPhone Xでは、長音記号ではなく「§」が出てきた。刻印のどこにもそんな要素ないのに。そして、あろうことかAndroidでは全く何も起きない。押しても押しても反応がない。

 iPadOSとiOSで、キートップの刻印と実際に入力できる文字の因果関係を知りたくなり、調べてみたところ、以下のようであった。

「なし」はキー単体で押下したもの、「Shift」はShiftキーと、「Ctrl」はCtrlキーと一緒に押すことで表示された文字

 右側に配置されているキーは刻印どおりに入力できず、かなり難渋しそうだという印象だった。

Androidではほぼ刻印どおりだが……

 Android端末のHUAWEI Mate 20 Proでも試してみた。キーボード(入力システム)はiWnn IMEで、物理キーボード設定では「日本語109A 配列」。この環境だと、Windows PCのように日本語入力と直接入力(英字入力)の切り替えが「半角/全角」キーでできる。

 また、入力システムとは関係なく、Fnキーとカーソルキーの組み合わせで「Home」「End」が使えるのが地味にうれしかった。長文作成時に、Ctrl+Home(実際にはCtrl+Fn+←)で文書の先頭に、かなり下に長くスクロールするようなWebページであっても一瞬でページトップに戻れるからだ。

 しかし、困ったところも出てきた。ほとんどキートップの刻印どおりにかな入力が可能なのだが、「|」や「_」のキーでは何も反応しないのだ。長音記号と「ろ」を入力できないため、どうしても必要になったら「Windows」キーとスペースキーの同時押しでキーボードを「Gboard」に切り替える。そのローマ字入力を使って長音記号と「ろ」を入力するほかない。Android端末と組み合わせての実戦投入は難しいと言わざるを得ない。

 なお、ローマ字入力や直接入力であっても長音記号と「ろ」のキーは動作しない。なぜこの2つのキーを搭載しているのか疑問に思うレベルだ。

かな入力でなければ使い勝手の良いキーボード

 最後に、1台のペアリングを解除してから、Windows PCに接続して使ってみた。「さすがにOSがWindowsなら、普通のキーボードとして使えるだろう」と予想したからだ。

 しかし、予想とは裏切られるもの。文字に関してはほぼキートップの刻印どおりに入力できものの、やはり右下にある「_\ろ」と、左下にある「|¥ー」のキーは、押下しても無反応だった。これは、日本語入力のかな入力モードにしているからということではなく、直接入力モード(半角入力)しているときでも同じであった。

 筆者がかなで入力するため、やや厳しいと感じてしまったが、キーボードを操る人の多数派はローマ字入力者。そのような人であれば、入力しやすいキーボードと感じるに違いない。バッグの中でも場所を取らないため、常に持ち歩きたいアイテムになるはずだ。また、スリムでスタイリッシュで所有欲を満たしてくれるというところも、このキーボードを使う理由になるだろう。