本日の一品

これも一つのエンドゲーム、「HHKB Professional HYBRID Type-S」

 先日開催されたHHKBユーザーミーティングで、HHKBことHappy Hacking Keyboardの新製品に触った。今までの製品でいろいろ言われていた点を改良してあり、とても完成度の高いキーボードになっていた。有線タイプのHHKBは知人から譲ってもらったものを持っているのだが、筆者の想定した使い方ではうまく使いこなすことができないので死蔵してしまっていた。

 筆者は英語配列キーボードを使っていて、日本語入力には親指シフト方式を使っている。親指シフトといってもいわゆる親指シフトとして知られるNICOLAではない方式を使っているのだがその辺はややこしくなるのでここでは割愛する。

 ともあれキーボード最下段のキーがたくさんほしいのだが、英語キーボードやHHKBではそこが少ないのがネックになっていたのだ。また、カーソルキーが独立して存在しないのもあまり乗り気になれない点だった。

 なので今回もよくできてはいるが使わないのでパスかなと思っていたところ、キーアサインを変更するカスタマイズができるようになったということで俄然検討する気になった。

 以前からHHKBには日本語配列のものが追加されていて、もちろん日本語配列なので最下段のキーも多く、また独立したカーソルキーも存在するのだ。キーカスタマイズ機能があるなら、日本語配列のHHKBを英語キーボードとしてOSからは認識させ、英語キーボードとしてうまく動かないキーはキー設定を変えてしまえばよいのではないか、という目論見だ。

 会場にはHHKBを開発したPFUの方々もいて、日本語キーボードを英語キーボードとして認識させた時にキーカスタマイズ機能がどうなるのかとさんざん聞かせてもらえたのはラッキーだった。いろいろ聞いて問題なさそうなので、イベントの即売コーナーで日本語配列のHHKB Professional HYBRID Type-Sを購入した。キー刻印は見ないので色は墨(黒地に黒文字)にした。なかなかの投資だ。

Macbook Pro 13インチに載せてみたの図。左右1cmくらいHHKBのほうが狭い。

 さっそくMacbook Proとつないで使ってみた。想像通り最下段はMacの英語キーボードとしては認識されないキーがあったので、CommandとOptionになるようにWindows上のソフトでカスタマイズした。最下段は「Fn-`-App(なし)-Win(Cmd)-Alt(Opt)-Space-Enter-AltR(OptR)-WinR(CmdR)-Fn」と設定し、macOS上のソフトでCommandキーとAltキーを入れ替えた。こうしておかないとWindowsマシンにつないだ時に逆になってしまうのだった。スペースキーの右にEnterキーを置くのは今回のチャレンジだ。Enterキーは遠いので右小指をのばさなくてもよくなる事を期待している。チャットなどで入力する時に緊張感があるので、BSキーか何かに変えてしまう可能性も高い。

 そんなわけでHHKBを普段使いし始めた。ゴム足の位置がいい感じで、Macbook Pro 13(Early 2015)のキーボードの上に置いても本体のキーボードを押してしまうことなく使えている。HHKBのキースイッチはもともと音が小さいのだが、Type-Sはさらに静かで喫茶店などでタイプ音が聞こえることはないだろうと感じる。潤滑剤を塗った静音メカニカルキースイッチなどにはかなわないが、キーボード筐体の作りのよさもありかなり静かだと思う。これだけのキーボードが完成品で3万2000円(税抜き)というのはかなり安価だと思う。

USBの端子はmini USBからUSB Type-Cになった。そのためL字のケーブルの向きを確認する必要がなくてありがたい。このケーブルは会社の同僚に教えてもらった300円ショップのUSB A-Cケーブル。
電池は単三2本。電池ボックスが目立つという話もあるが、それよりはバッテリの入手性を優先したということだろう。

 自作キーボードの世界では使用者が手にした究極のキーボードの事を「エンドゲーム」と呼ぶが(ちなみにエンドゲームが週替わりになっても問題はない)、HHKB Professional HYBRID Type-Sもエンドゲーム候補になりうる素晴らしいキーボードだろう。

製品名発売元価格
HHKB Professional HYBRID Type-SPFU3万2000円(税抜)