本日の一品
ストリーミング再生も良い音で楽しめる「WF-1000XM3」
2019年11月21日 06:00
今更ながら音楽ストリーミングサービスの便利さにハマっている。
スマホで音楽を聴いている最中に、ちょっとした通知の音に再生を遮られてしまうのが嫌で否定派だったのだが、先日「どうしてもこの曲を今聴きたい!」という衝動にかられ、残念ながら愛用のウォークマンにその曲が入っていなかったので、Apple Musicの無料体験を使ってみたところドハマりしてしまったのだ。
音楽ストリーミングサービスをもっと快適に、便利に使うならば……と、iPhoneと組み合わせて使っていたフルワイヤレスイヤホンを買い替えた。
各社から魅力的なモデルが出てきている中、今回選んだのは今夏に発表・発売されたソニー「WF-1000XM3」だ。
WF-1000XM3は同社として初のフルワイヤレスイヤホンだった「WF-1000X」の後継モデル。
途中、スポーツ向けのモデルとして「WF-SP700N」や「WF-SP900」といった派生モデルも発売されているが、音楽試聴における最重要要素である「音質」にこだわった製品としては、WF-1000XM3が後継であり、最上位モデルという位置付けだ。
WF-1000XM3はフルワイヤレスイヤホンとして、本体・ケースのサイズは少し大柄だ。
同一ジャンルの製品としての代表はAppleのAirPodsだが、それ以外の製品となると「耳栓サイズ」のイヤホンを想像する人も多い。
実際にそれくらいの耳の穴だけを塞ぐような製品らと比較すると大きめだが、耳に入れてみると不格好でもなく、不安定さも感じない。
ケースも、大きいと言っても小さめのモバイルバッテリー程度の大きさだと考えればカバンの中で嵩張るようなものではない。
最近でこそコートを羽織る季節になりポケットの中に忍ばせておいても邪魔に感じなくなってきたが、使い始めた当初はまだ真夏。ポケットの少ない服を着ているため、WF-1000XM3は必然的にカバンの中に入れて持ち歩くしかなく、そこでは少し不便に感じることもあった。
WF-1000XM3の本体に物理ボタンではなく、本体表面に備わったタッチセンサーをタップして行う。
先代であるWF-1000Xを使っていたときにも思ったのが、耳穴よりも少しだけ大きいサイズだと「つまむようにしてボタンを押す」ようになるのだが、これが思いの外押しづらく、WF-1000XM3のタッチセンサー操作は理にかなっている。
欲を言えば、タッチセンサーでの操作にボリューム調整が割り当てられないなど、一部の操作はiPhoneを取り出して操作する必要があることは今後のファームウェアアップデート等で改善されて欲しい点だ。
充電ケースへの収納はマグネットでパチっとハマるように、ケース内に吸い込まれるように収納されるのは使っていて心地のいい部分だ。
またしてもWF-1000Xとの比較になるが、従来はツメで固定するようになっているためしっかり押し込まなければ充電されず、持ち運んでいる最中にもツメが外れることで充電されていないなんてことも起きていたため、従来モデルユーザーの不満をしっかりと解消してきた正統派の進化といえるだろう。
もちろん、イヤホンとしての肝心の「音」もびっくりするほどいい。
筆者はApple Musicと組み合わせ使っているわけで、再生音源の質は高いとは言えない。ただ、そうした圧縮音源もWF-1000XM3の「DSEE HX」により、ハイレゾ相当までアップスケーリングされることで「結構キレイ」に聴けるのだ。
普段の筆者の外出先でのリスニング環境は「ハイレゾ対応ウォークマン(ZX300)」に「カスタムIEM」という、それなりにこだわった環境だけに「便利だけど、音はちょっと…」というApple Musicへの不満がWF-1000XM3では解消された。
さらに圧倒的に快適だと感じたのが「ノイズキャンセリング」だ。
こちらも周囲の音をしっかりカットしてくれることで、リスニング中の音楽に集中できる。それも電車に乗っているのか、自分が静止しているのかなどを自動的に判断しノイズキャンセリングのモードを切り替え、最適化してくれる。
この機能自体はソニーのノイズキャンセリングヘッドホンでは標準の機能ではあるのだが、フルワイヤレスで高音質なWF-1000XM3とApple Musicの組み合わせで、気軽に好きな曲に没頭して聴けるということに価値があると考えている。
また、WF-1000XM3では接続したスマートフォンから、左右両方のイヤホンへ同時に音声を送っているため、再生中に音が切れるようなことが従来機種と比較して減っているという。
これは実際に使ってみても「途切れなくなった」と感動するくらいに違いが感じられる部分だ。
外出先での音楽試聴といえば「予め、聴きたい曲を持ち歩けるようにする」だったのが、この数年で「聴きたいときにダウンロードやストリーミングで聴く」が当たり前になってきた。
予め用意しておくのであれば音源の質にもこだわれるが、ストリーミングサービスではそうもいかない。気軽に聴きたいけれど、音にはこだわりたいという需要を満たせる気軽に使えるヘッドホンかどうか、これが今後のヘッドホン選びでは重要になるのかもしれないと、そう考えさせてくれるのがWF-1000XM3ではないだろうか。