本日の一品

昭和の名シャープペンシル愛用者を惹きつけるコクヨ「鉛筆シャープ」TypeM

コクヨ社が鉛筆シャープのラインナップに上位機種のTypeMとTypeMxの2モデルを追加した

 年々、シャープペンシルを含む鉛筆系筆記具よりその他の筆記具を使う割合が増えてきている筆者だが、最も歴史ある鉛筆系筆記具の世界は、バリエーションが豊富だ。それゆえ、マニアには程遠いが文具好きでかつ飽き性の筆者にとって極めて楽しい世界なのだ。

 そんな飽き性の筆者が未だに定番としてしつこく使っている鉛筆系筆記具のナンバーワンは「PRESS MAN 0.9」と呼ばれている0.9mm径の2B芯がデフォルトのシャープペンシルだ。1978年に発売され、既に40年を超える日本のシャープペンシルのベストセラーなのだ。

筆者は既に30年を超すPRESS MAN 0.9の愛用者
シャープペンシルは、長い歴史があり、芯の太さだけでも0.2~5.6mmまで数種類はあるバリエーションが楽しい筆記具だ

 一般的な鉛筆の重さは3g~10g近辺であり、「PRESS MAN 0.9」は実測で約8gと、ほぼ鉛筆と同等だ。そんな「PRESS MAN 0.9」大好きな筆者が、街で“鉛筆のようになめらかに書ける太芯シャープペンシル”という宣伝コピー文に惹かれて新しく発売されたコクヨ社の「鉛筆シャープ」と名付けられた太芯シャープペンシルを買った。

 同名の200円前後の廉価版商品はすでに何年か前に発売され、一時期、筆者も何本か使っていたが、全体を包むラバー素材にくっつく小さな塵や埃が嫌で、今は全く使っていない。今回発売された商品は、この同じ鉛筆シャープのTypeMと呼ばれる上位ニューモデルだ。

今回、ご紹介する鉛筆シャープのニューモデル1.3mm、2B芯が2本ついたグリーンカラー、ラバーグリップモデル
1.3mm径の2Bは思いのほか筆者の感覚とバッチリとミートした

 芯のラインナップは従来と同じ0.7mm、0.9mm、1.3mmの3種類。本体の六角グリップの使用素材によってラバーグリップモデル(TypeM)と金属グリップモデル(TypeMx)の2種類が用意されている。

 店頭で実際の商品を見た時、いつもの筆者なら間違いなく、豪華な塵や埃の吸着しない金属グリップモデルを買うはずだが、今回だけはなぜか両者を比較してみて安くて軽いラバーグリップモデルを速攻で買ってしまった。

 筆者の購入したラバーグリップモデル(本体色は緑、1.3mm 2B芯×2)で定価は550円。同じスペックの金属グリップモデルは1000円だった。長年飽きずに愛用している「PRESS MAN 0.9」の定価が200円なので、本来なら、鉛筆シャープもラバークリップモデルの0.9mm芯を買うべきだったが、他のメーカー製で使っている1.3mm芯がとても書き心地がよかったので、今回は2Bの1.3mm芯の入ったモデルを悩んだ末に買ってしまった。

30年来の付き合いのスタイリッシュな「PRESS MAN 0.9」(左)とよきライバルのコクヨ「鉛筆シャープ TypeM 1.3mm」(右)。メタルクリップは実用的だがかなりハードイメージ
本体軸も鉛筆シャープは太目。芯の0.9mmと1.3mmは見た目もかなり違うと実感

 たった550円のシャープペンシルを買うのに店頭でこんなに悩んだのは初めてだった。今回の鉛筆シャープTypeMとTypeMxの本体と芯のラインアップの6種類はなかなか悩み甲斐がある楽しい組み合わせだ。

 さてそんな日本を代表する伝統的な「PRESS MAN 0.9」と「鉛筆シャープ TypeM(1.3㎜)」を独断と偏見で比べてみた。まず全体像は圧倒的に「PRESS MAN 0.9」が良いと感じてしまう。全体が昭和レトロなプラスチック製で、素材に変化と工夫がないように思えるが、その分、全体のデザインはストレートで関西弁で言う“シュッとしてる”という表現がぴったりの形状だ。

 筆記時のグリップ感は、太くて六角軸ラバーを採用した「鉛筆シャープ TypeM(径10.5mm)」に軍配が上がるような気はするが、単なるプラスチックに滑り止めカットの付いた「PRESS MAN 0.9(径9.1㎜)」も決して悪くはない。“PRESS MAN 1.3”があれば状況はすぐに逆転するかもしれない。

ノックと同時に芯先ガードが出てくる鉛筆シャープ

 昭和レトロな「PRESS MAN 0.9」に比べて平成最後とはいえ元号の違う「鉛筆シャープ」は昨今のシャープペンシルらしく、収納式芯先ガードが標準装備で、堅牢な厚さのある金属クリップも特長だ。しかし、機能性が高い分、スッキリ感が犠牲になって“シュッとした”イメージがしないのは残念だ。

あくまで好みの問題だと思うが、ごつごつした男らしいイメージの鉛筆シャープ(左)とスリムで関西弁で言うシュッとしたいでたちのPRESS MAN 0.9(右)

 また筆者的には軽いラバーグリップの方を選択したつもりだが、それでも実測重量は12gあり、これは「PRESS MAN 0.9」より50%前後重い。ただし筆記具にはある程度の重量は必要であるので、あくまで個人の好みの世界ではある。

鉛筆シャープとは言え、メタル部品を豪勢に使っているので、一般的な鉛筆の重さの2~6倍くらいの重さがある

 実際には筆者は購入しなかったが、金属グリップモデルのTypeMxは握りの部分の金属グリップが低重心性を実現し重量は20g近い。しかし多少重くても安定した筆記が可能なようだ。重量は一般的な鉛筆の2~6倍の重さだが、それほど重量級ではないので、店頭で筆記してみる価値はありそうだ。

筆者的な用途なら0.9mmより1.3mm芯の方が使い良い感じだ

 鉛筆シャープTypeM(1.3mm、2B)を手に入れてから、ボールペンも万年筆もほとんど使わず、ひたすら「PRESS MAN 0.9」と「鉛筆シャープ」の両刀使いだけをやってる毎日だが、いまだに今後の筆者の“この一本”のシャープペンシルは決めかねている。

 今言えることは、1.3mmの2B芯は極めて筆者好みの太さと書き味ではあるが、個人的嗜好では圧倒的に「PRESS MAN 0.9」がスッキリ&シュッとしていると感じることだ。もし“PRESS MAN 1.3”が登場すれば間違いなくぺんてるを選択し、「鉛筆シャープ TypeM」がスッキリ&シュッとした外観なら間違いなくコクヨを選択するだろう。

さて、手帳やノートと一緒に持った時にどっちがビューティフルか? 、どっちがお好みか? で決めても良いくらい実力伯仲

 シャープペンシル以外では、すでに筆者の永久使用予定アイテムは決まっていて、ボールペンはパーカー社の「ジョッター」、万年筆はちょっと変だがルイ・ヴィトン(オマスのOEM)の「ドッグ・キュイール」。そしてシャープペンシルは、次の競合が登場してくるまでは現在のぺんてる「PRESS MAN 0.9」かコクヨ「鉛筆シャープ TypeM」のいずれかになるだろう。

鉛筆シャープは、筆者の三種の筆記具であるドッグ・キュイール、ジョッター、PRESS MAN 0.9の仲間に入るのか、置き換えるのか……結論までもうしばらく時間はかかりそうだ
製品名販売元価格
鉛筆シャープ TypeM 1.3mm PS-P401G-1Pコクヨ550円