本日の一品

モバイルバッテリーは超薄型かケーブルマネジメント型か!?

薄くてバッグでの携帯性に優れたモナリサ(左)と全スマホ対応ケーブルを内蔵したケーブルマネジメント・キングのモバイルバッテリーiWalk(右)

 筆者が初めて“本日の一品”にガジェット的な商品を紹介させていただいたのは2000年7月だった。単純に引き算をすると、なんとその時以来18年間もの間、自分でせっせと買ったガジェットの紹介記事を書かせていただいていることになる。

 自ら勝手に決めた筆者の主たる守備範囲は、文具やカバン、腕時計、そしてジャンル分けの難しいガジェット類、そしてICT系では唯一オツムをそれほど働かせなくても直感で好き嫌いのはっきりしたモバイルバッテリーなどだ。

 もはやライフワーク的な感じになってきた筆者のモバイルバッテリー好きだが、今月もまた新しいモバイルバッテリーを2つほど買ってみたのでご紹介したい。

 多くの読者にとってモバイルバッテリーは実用物であり、基本的にはアウトドアでのスマホのバッテリー欠乏時にヘルプするエネルギーのパワーステーションであるはずだ。それゆえ、一般的には“コスパ命”の分野の製品であると考えられる。

 そう考えれば、容量は多ければ多いほどグッド、値段は安ければ安いほどグッド、サイズはどちらかと言えば小さい方がグッドだが、価格には代えられない。現代技術では容量とサイズは正比例するはずだ。反比例を狙うとすればノーベル賞級の発明を待つか、ほんの少しの軽量化の為に大金を支払うこととなる。

 そしてスマホの充電には専用の充電ケーブルがつき物だが、スマホを買ったときに付属するケーブルで十分という人も多い。しかし昨今は純正付属ケーブルではなくおしゃれなカラーや素材、スペースセーバーな短いケーブルも人気で、売り場でもけっこうな面積を占めだしてきている。

 昨今はモバイルバッテリーの世界にも、バッテリー容量の大小と価格だけの“コスパ命”ではない世界の商品の登場も多い。今回ご紹介するモバイルバッテリーは明らかに“ユーザの使い勝手”にウェイトをおいた差別化の2商品だ。

 1つは、鞄への収納スペースをミニマムにする為に極限まで薄くしたモバイルバッテリー「MONALISA」(モナリサ)だ。その薄さ5㎜。筆者の愛用している世界最薄クラスのLightningケーブル内蔵のモバイルバッテリーである「eREC」の4.4㎜に迫る薄さだ。実際には判サイズが大きいゆえ、目の錯覚でより薄く感じてしまう。

モナリサの同梱品の全て。ケーブルは常時、付属品から自分のお気に入りを一緒に持ち歩く必要がある
確かに5㎜は極めて薄い。大判なのでちょっとまがる心配はある

 給電の為のコネクターポートは大昔の超小型パソコンの折り畳み式RJ11ジャックやRJ45ポートのように本体からむくっとリトラクタブルなスタイルで登場する。バッテリー容量は3400mAh、携帯重量は116gと比較的軽量だ。薄いモノ大好きな筆者は速攻でシルバーモデルを購入した。

20年ほど前のRJ11ジャックなどに採用されたリトラクタブルポートが生き返った
筆者の知る限り世界最薄の4.4㎜厚のeREC(手前)とモナリサ

 当然のことだが薄くても現代の最新スマホを1回充電するには3400mAh程度の容量は不可欠だ。そのため、バッテリー本体は薄いが、どうしても判サイズの大きな形状になってしまう。鞄などへの収納には便利だがスマホと一緒に握って充電しながら使用したい人にとっては不便な大判サイズになってしまった。

タブレットにも充電できる2.4A出力もサポートしている
大型のスマホ(HUAWEI P20 Pro)と比べても横幅は相当大きいモナリサ
充電スタイルはこういう感じ……鞄の中ならかさばらずに充電できる
スマホ+バッテリーの同時持ちはなかなかキビシイかもしれない

 残念なのはここまで薄くしたのに、充電用のケーブルは常時別途持ち歩かないといけない点だ。そして今回ご紹介するもう1つのモバイルバッテリーは、ケーブル問題を見事に解決したケーブルマネジメント優位のモバイルバッテリーである「iWALK」(アイウォーク)だ。

スマホへの充電ケーブル(3種類)を内蔵した画期的なiWALKモバイルバッテリー。付属の黒いショートケーブルはiWALKに充電するためのもの。
見た限りはごくありふれたモバイルバッテリーと変わらない

 商品のウリであるメッセージは“EVERYTHING YOU NEED IN A BATTERY”(必要なモノは全てはバッテリーに入っている)。というスマホへの給電に不可欠の充電ケーブルを完璧に内蔵し解決したモバイルバッテリーだ。

 バッテリー容量は1万mAh。当然それなりの厚さや重量はあり、厚さは前述のモナリサの5倍近い24㎜、重量は約2倍の200g(バッテリー容量も2倍なのでこれは問題ではない)しかしiWALKの最も優れた点は、現代のスマホワールドにおいて絶対に必要な充電ケーブルを複数、バッテリー本体に内蔵したことなのだ。

2A出力で……Type-Cの12V/1Aもサポートしている
背面を見ると2本のケーブルが内蔵されている(microUSBとType-C)
標準付属のLightning変換アダプターをmicroUSB端子に取り付ければiPhone対応となる。変換アダプターのせいで長さが伸びても本体に収まる設計が極めてまともだ

 出荷時のiWALKはmicroUSBケーブルとType-Cケーブルの2本が内蔵されている。Lightning端子の必要なiPhoneユーザなら、付属のLightningアダプターをmicroUSB端子に装着しても、ケーブル長が本体から溢れることなくiWALKのくぼみのところに綺麗に収まるように考えられている。

 また、本体のアクセサリーカバーを引き出すとスマホスタンドになる楽しさだ。バッテリー重量がバランスを取るのでかなり大型のスマホサイズでも転倒しない。また厚みは24mmほどあるが、判サイズは小ぶりなので、スマホに充電しながら両方を握って操作することも可能だった。

表面のゴールドプレートを引き出すとスマホスタンドに早変わり
6インチ程度のスマホなら重量で転倒することもなく安定したホールド感だ

 さてモバイルバッテリーの世界では、電池容量はその大きさに応じて重量も体積も原価も正比例して増えていく。サイズやデザインもユーザーの使い勝手に影響を与えるが、一番使い勝手に影響を与えそうなのは充電に絶対必要なケーブルの存在だ、と筆者は考えている。

判サイズがコンパクトなので充電しながらスマホと同時持ちも無理なくできる

 いつの日かiPhoneの全てが独自のLightning端子ではなくType-Cを標準採用することになれば、ケーブルマネジメントなどという難しい講釈をたれなくても、ほぼ全てのバッテリーメーカーはType-Cケーブルを標準搭載したモバイルバッテリーを発売するだろう。

 ユーザーがモバイルバッテリーの選択に悩むのは今日から来るべき時代までの短い間かもしれないが、面倒でもあり楽しくもある悩みだ。もちろん、MONALISAの薄さを実現した上で、ケーブルマネジメントがiWALK同様ならコスパなんて言葉は完璧に忘れて今すぐ買ってしまうだろう。

薄さかケーブルマネジメントの便利さを取るか……モバイルバッテリー選びもなかなか楽しい
製品名発売元実売価格
MONALISAフォースメディア3980円
iWALKiWALK2699円
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