本日の一品

700円の激安デジタルノギスを試してみる

税抜700円の激安デジタルノギス

 バイク乗りにとってノギスという工具は不可欠なアイテムである。なぜならフロントフォークの突き出し量を測るのに、ブレーキディスクの厚みをチェックするのに、他車種のパーツを流用できるかどうか確認するのに、正確な長さ、幅、深さを知る必要があるからだ。え? そんなことしない? まあ、そういう人もいるだろう。とにかくノギスは便利なのだ。

 そんなノギス使いにとっての憧れが、デジタルノギスである。いちいち目盛りを読むことなく、数字で把握できるデジタルノギスは、だいたいがアナログな工具類のなかにあって、異質な存在でもある。かつては有名どころのメーカー製しかほとんど目にすることができず、いわゆるフツーの金属製のノギスが数千円だとすれば、デジタルはその10倍の値段はするのが当たり前で、いつもガラスのショーケースの中に入っているのを見つめるだけ。トランペットが欲しい少年みたいな感じである。

 しかし、時代は変わり、最近ではデジタルノギスなのに数千円とか、はたまた1000円前後のものまで登場するようになった。秋葉原を歩いていた時にたまたま見つけたこのノギスは、なんと税抜で700円という激安叩き売り価格。見るからにいろいろ不安になりそうなところもあるが、これまたバイク乗りにとっては特別な意味をもつ素材の1つ、カーボンが使われているというのだから見逃す手はない。

カーボンコンポジットである

 そんなわけで購入してみたデジタルノギス、電源のオン・オフボタンとゼロリセットボタン、表示単位をmmとインチとで切り替えるボタンだけを備えるシンプルなものだ。最大150mm、8インチまで計測でき、最小読み取り値は0.01mm。器差は外側がプラスマイナス0.5mm、内側とデプスがプラスマイナス0.3mmとなっている。

ボタンは3つ。交換用のボタン電池(LR44)が付属する

 700円だけあって多くを望めないのはわかってはいるが、ロック機構がないのがまず致命的といえば致命的かもしれない。たとえば外形測定で深く差し込む場合は、その差し込んだままの状態で読み取る必要がある。測定場所によっては引き抜いてから数値を見たいときもあるわけだけれど、正確にまっすぐ引き抜かない限り(物理的にまず不可能)、確実により大きな値になってしまう。

 カーボン入りをうたっているとはいえ、力を入れれば簡単にたわむプラスチックであることには変わりないので、測定時はできるだけ力を入れず、そっと押し当てる感じが良いだろう。このへんの扱いは基本的には他のデジタルノギスも、通常のノギスも同じだとは思うけれど、それでもたわみによる誤差は他よりずっと大きそうな感じだ。

 実際どれくらいの精度があるのか、新潟精機製のステンレスノギス「SK-M100」と比較してみよう(最小読み取り値は0.05mm)。ステンレスノギスを50.00mmにセットし、デジタルノギスでその長さを測る、という形にしてみた。

 念のため補足すると、校正に出したことはないので、SK-M100が必ずしも正確な値を示しているとは限らない。だから、どちらが正しい、とは言えないのだが、バイクのパイプハンドルの外径(仕様では22.2mm)を測ってみたところ、SK-M100は正しく22.20mmを示し、今回のデジタルノギスは22.35mmを示したことはここに記しておきたい。

内径測定ではマイナス0.34mm
外径測定ではプラス0.17mm
デプスはマイナス0.41mm

 仕様にある器差の範囲内か、それに近い値ではあるので、おおよその長さをとりあえず気軽に知りたい時や、複数の長さを(相対的に)比較するような場面でなら、問題なく使えるはず。デジタル表示でちょっとプロっぽく、カッコよく長さを測っているアタシ、みたいな雰囲気を見せつけるのにも活躍してくれそうだ。

バイクのフロントフォークの突き出し量を測ってみた。デジタルノギスは7.25mmを示したが、ステンレスノギスでは7.45mmだった。左右のフォークとも同じノギスで測れば問題ないので、それほど気にならないところだけれども……
製品名購入先購入価格
カーボン製 デジタルノギスあきばお~5号店700円(税抜)