スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

SIM×2枚同時収納OKなモバイルルーター「Aterm MR04LN」を購入♪

SIM×2枚同時収納OKなモバイルルーター「Aterm MR04LN」を購入♪

 去年の夏に発売されて以来、「最強モバイルルーター」との呼び声が高い「Aterm MR04LN」。SIMロックフリーのモバイルルーターで、SIMスロットを2つ搭載しています。機能的には、LTE-Advanced(キャリアアグリケーション)対応で、Wi-Fiは11acにも対応していて、さらにBluetoothテザリングもできます。メーカーであるNECプラットフォームズの製品紹介ページはコチラですが、先鋭的な性能と全方向的な機能性を兼ね備えるモバイルルーターだと言えます。

 でもワタクシの場合、前機種の「Aterm MR03LN」を使用していたので手を出していませんでした。前機種もすんごく便利でツカエます。かな~り愛用しております。メーカーの製品紹介ページはコチラ

 しかし唐突に「あっSIMが2枚入ると凄く便利かも!?」と思い、Aterm MR04LN購入。しばらく使ったので、使用感等々をレポートしたいと思います。

NECプラットフォームズの「Aterm MR04LN」。2枚のmicroSIMを挿して使えるモバイルルーターで、WANはLTE対応でWi-Fiは11ac対応。ほかBluetoothテザリングやUSBテザリングでも使えます。別売のクレイドルを使えば手軽に充電を行えるほか、ブロードバンドルーターとも接続でき、ギガビット対応のWi-Fiホームルーター(Wi-Fiアクセスポイント)としても利用できます。単体購入での実勢価格は2万円弱。
サイズは短辺63×長辺111×厚さ11mmで、SIM×2枚およびバッテリーを含んだ質量は約109g(実測値)です。microSIMを2枚挿入できます。ただし同時使用はできず、切り換えてどちらか1枚のみ使用して通信できます。

 使用感的な結論から言ってしまいますと、前機種Aterm MR03LNを使っていた身からすれば「うっ、ココもソコもコッチも、かなり良くなっている……」みたいな。SIM×2枚という点を除いても魅力の大きい1台というか、ワタクシがこれまで使ったモバイルルーターの中でいちばん便利&使いやすいと感じました。Aterm MR04LN買って大満足です。前機種Aterm MR03LNが安く手に入るというなら、ソチラを選ぶのもイイ(前機種でも十分高性能なので)と思いますが、さらなる使いやすさを求めるならAterm MR04LNがオススメな感じです。

 SIM×2枚使用可能という点に惹かれてAterm MR04LNを買ったんですけど、その期待は軽く裏切られました。BIGLOBE LTE・3Gサービスの従量制&高速なSIMと、WirelessGate SIMサービスの激安&低速(常時最大250kbps)なSIMを切り換えて使おうと考えたんです。手軽に切り換えて使えるのは事実なんですが、切り換えに40秒ほどかかるので、ちょっと待たされる感じがあるんですな。また、状況によっては端末側が他のWi-Fiを掴んでしまうこともあるので、「2枚のSIMをサクッと切り換えて運用♪」というほどスムーズには行かない感じ。まあでも、実用性は十分あると思うんですけどネ。

 と、最初から細々したコトを書いてしまいました。ともかく、以降、Aterm MR04LNの使用感等々について書いてみたいと思います。

スイッと使い始められてラク~♪

 ワタクシの場合、そもそもネットワーク機器が苦手だったりします。Aterm MR04LNも立派なネットワーク機器。このテの機器を使い始めるときはいつも「ちゃんと設定できるかな?」的な不安がよぎります。

 で、Aterm MR04LNの初期設定ですが、非常にスムーズに済ませることができました。大雑把な印象を書きますと、「ネットワーク機器が苦手な人がハマりそうな部分について、メーカーが先回りして手軽な回避先を用意している」てな感じ。

 たとえば、初めて使うときなど、手っ取り早くてイイです。詳しくはメーカーが用意した説明書類にあり、公式リンク先はコチラですが、ほとんどのケースで「2ステップで完了」できると思います。

 具体的に書きますと……まず本体にSIMを挿して電源を入れると、「設定ウィザード」が起動します。手順としては、Aterm MR04LNと子機(スマートフォンなど)をWi-Fi接続し、SIMの設定(MVNOのAPN設定)を行います。行うと言っても、表示に従ったり、選んだりする程度です。実際にAterm MR04LNにBIGLOBE LTE・3GサービスのSIMを入れ、iPhone 6 Plusと接続しつつ初期設定を済ませる様子を見てみましょう(画面の一部表示は実際に運用中のものとは異なります)。

本体を充電してSIMをセット。起動すると設定ウィザードが立ち上がります。まずはAterm MR04LNと子機(スマートフォンなど)をWi-Fi接続する設定から。今回は「手動設定」で進めました。表示されたSSIDを子機から見つけて選び、子機に暗号化キーを入力します。
次はSIMの接続設定。複数登録されているAPNから、該当するAPNを選びます。セットしたSIMは「BIGLOBE LTE・3G」のものなので、それを選びました。その後、メンテナンスに関する許諾についてOKすれば、Aterm MR04LNが使えるようになります。
使える状態になりました。さらに子機を増やしてみました。接続している子機の台数は右上に小さく表示されます。この場合は2台。すぐ左にある「2G」は、Aterm MR04LNが2GHz帯のWi-Fiルーターとして機能しているという意味です。

 ちなみに、この原稿を執筆している時点では、APNのプリセットは13個入っていました。具体的には「b-mobile」「BIGLOBE LTE・3G」「hi-ho LTE typeD」「IIJmio高速モバイル/Dサービス」「mopera U」「NifMo」「OCN モバイル ONE(LTE)」「So-net」「U-mobileデータ専用」「ぷららモバイルLTE」「ワイヤレスゲートWi-Fi+LTE」「EMOBILE LTE」「ワイモバイル シェアプラン」です。これに該当しないSIMを使う場合、APNは手動で入力します。手動と言っても複雑なことはないので、問題なく設定できるでしょう。

 ともあれ、こんな感じで、Aterm MR04LNとスマートフォンがあれば初期設定はササッと完了しちゃいます。iPhoneはWPS非対応なのでWi-FiパスワードはiPhone側に手動入力することになりますが、WPS対応端末ならその手間も省けますな。

 他にも初期設定の手順はいろいろあります。たとえば「Aterm らくらくQRスタート」アプリを使えば、Aterm MR04LNに同梱されるQRコードなどをスマートフォンで読み込んで、クイックにWi-Fi設定を済ませることができます。

 それと、Aterm MR04LNとスマートフォンなど端末をWi-Fi接続できれば、「Aterm MR04LN クイック設定Web」にアクセスしてルーターの詳細な設定を行えます。Aterm MR04LN内にある、Aterm MR04LN設定用ウェブサイトのことですが、パソコンからでもスマートフォンからでも使えます。

「Aterm MR04LN クイック設定Web」にアクセスした様子。左がiOSタブレットのブラウザからアクセスしたもので、右はPC用Chromeウェブブラウザからアクセスしたもの。
スマートフォンやタブレットのウェブブラウザであれば、スマートフォン用の「Aterm MR04LN クイック設定Web」も利用できます。指でタップしての操作がしやすいUIになっていますが、内容はPC用もスマートフォン用も同じです。

 モバイルルーターの基本的な設定方法を心得ているなら、まずAterm MR04LNとスマートフォンやPCなどをWi-Fi接続して「Aterm MR04LN クイック設定Web」にアクセスし、そこで一通りの設定を済ませてからAterm MR04LNを使い始めるとイイかも。最初から好みのSSIDやパスワードを設定できますし、必要に応じてMACアドレスフィルタリングやネットワーク分離機能を設定できますので、一発っていうか一括で設定を済ませられ、手間を最小限に抑えられると思います。

実際の使用感

 Aterm MR04LNの使用感ですが、前機種Aterm MR03LNと比べると画面へのタッチ操作がより快適になりました。前機種はタップのみ対応で、画面スクロールはスクロールバー上下のボタンをタップして使ったので、若干の「今の時代にコレかぁ……」的な使いにくさがありました。ですが、Aterm MR04LNの場合はタップに加えてスワイプによる上下スクロールにも対応したので、よりスムーズに操作できるようになったと思います。

 少々前述しましたが、Aterm MR04LNのひとつのウリである2枚のSIMの切り替え使用は、フツーに実用的です。メーカーは「会社名義のSIMと個人名義のSIM」「海外用SIMと国内用SIM」「従量制の高速SIMと維持費の安い低速SIM」の使い分けなどを例に挙げていますな。SIMは排他利用となりますが、SIMの切り替えは3度程度のタップ操作で行えて手軽です。ケータイWatch読者様の場合、常用のSIMがあるのについウッカリと気の迷いで新たなSIMに手を出してしまうこともあると思われますので、そういう気の迷いSIMと常用SIMの使い比べをするのにも実用的かも、です。なお、SIMの切り換えには40秒程度かかりますが、2枚のSIMをモバイルルーターへの出し入れで切り換えることを考えれば圧倒的にお手軽です。

 バッテリーの持続時間ですが、スペック上では連続通信時間(LTE/3G)がWi-Fi接続で約12時間、Bluetooth接続で約24時間となっています。Wi-Fiでずーっとつなぎっぱなしだと、場合によっては一日の活動時間の終わり頃にはバッテリーが心細くなるか切れているかもしれません。ただ、そこまでハードに使うとPCやタブレットなど子機側も電池切れになりそうです。

 ワタクシの場合、Aterm MR04LNをノートPCと組み合わせて使うことが多いのですが、ハードに使っても通信時間は午前中に2時間前後、午後~夜に4~5時間という感じ。なので、Aterm MR04LNのバッテリー持続時間は十分だと感じております。

 ちなみにAterm MR04LNのバッテリーは容易に取り外し可能で、別売もされています。長時間使う必要がある場合、モバイルバッテリーから充電しつつ使うというテもありますが、別売の純正バッテリーならより薄く小さく軽く持ち歩けるというメリットがあります。

 また、メーカーが保証するところではないと思いますが、Aterm MR04LNと前機種Aterm MR03LNのバッテリーは、なんだか同じモノのようです。自己責任でバッテリーを入れ換えてみたところ、とくに問題なく使えました。

Aterm MR04LNのバッテリーは容易に交換できます。前機種Aterm MR03LNと比べると、裏蓋も外しやすいです。また、Aterm MR04LNとAterm MR03LNのバッテリーは、まったく同じもののように見えます。

 あと、Atermシリーズ全般に感じられることですが、ハードウェア面でもソフトウェア面でもユーザーインターフェースがわかりやすく操作しやすいです。最近はずーっとAtermシリーズ・ルーターを使っているワタクシですので、慣れもあるとは思いますが、Atermシリーズを使うと「自分のネットワーク機器に関するスキルが上がった」ような気分になりがち。

 たとえばAtermシリーズで共通して使える「クイック設定Web」は、項目のまとまり方や一覧性、あるいは設定方法やポップアップでのヘルプ表示が秀逸だと感じます。「クイック設定Web」を使って設定を進めていて迷ったとき、ポップアップ・ヘルプを読めば疑問が氷解することが多々。ヘルプ表示内容は比較的に平易な文章なので、「なるほど、探していた機能はココの設定でオンにできるのか」的に理解しつつ設定していけます。

 また、Aterm MR04LNのタッチパネル表示も、理解しやすい分類・表記で、タップやスワイプに対する反応も良いので、誤操作を抑えつつ快適に使っていけると感じます。ショートカット機能も実用的で、SIM切り換え、BluetoothやWi-FiやECOモードなどのオンオフをクイックに操作できます。

 やや話が逸れますが、他社製ネットワーク機器を使うと「若干ヘコむ」ようなことがあったりも。Atermシリーズほどわかりやすくも親切でもなかったりしつつ、慣れてもいなかったりするので、「やっぱり自分のネットワーク関連スキルは上がっていなかったのかも」と思ったりして。

 ともあれ、そういう経験もあって、ネットワーク機器が苦手なワタクシはAtermシリーズばっかり使っております。そんな観点から、Aterm MR04LNを見ると、コレもやっぱりわかりやすく使いやすい~♪ と感じます。ブレがないですな、Atermシリーズ。

ほか、細々したコト

 そのほか、細々したところでは、Wi-FiとBluetoothを同時に機能させることができます。つまり、Wi-FiテザリングとBluetoothテザリングを同時に使えます。同時に使うケースはあまり多くないような気がしますが、前機種Aterm MR03LNのようにWi-Fi/Bluetoothが排他利用でなくなりました。ので、たとえば「一時的にBluetoothを使う」という場合でもWi-Fiをオフにする必要がなくなり、複数機器をより高い自由度で接続できるモバイルルーターになったというイメージです。

 あと、データ通信量表示機能がちょっと愉快。これは各SIMについて「現在までの合計データ通信量」を表示する機能です。Aterm MR04LN画面上に現在まで使ったデータ通信量が表示されるほか、データ通信量の上限値を設定しておけば、その通信量に達した時点でデータ通信を停止することもできます。

現在まで使ったデータ通信量(SIM毎)を表示できます。上限値も設定可能。上限に達したら通信を停止するかどうかも設定できます。通信量累計の基準も月次や日など細かく設定できます。
こちらは「Aterm Mobile Tool」アプリの表示例。「メンテナンス」からデータ通信量をチェックすることができます。

 上のスクリーンショットにある「Aterm Mobile Tool」アプリですが、スマートフォンなどでAterm MR04LNの状態をチェックしたり、リモート起動/回線切り替えを行えるアプリですな。このアプリ、Aterm MR04LNをリモートで休止状態にしたり、そこから復帰させたりできて便利。このアプリを使えば、Aterm MR04LNに触れず、バッグに入れたままなどでも利用することが可能です。Aterm MR04LNをWi-Fiで使う場合でも、こまめに休止/復帰を制御でき、バッテリーの節約にもつながります。

 それと、これは前機種Aterm MR03LNにもあった機能ですが、マルチSSIDおよびネットワーク分離機能もちょいと便利です。Aterm MR04LNにはプライマリとセカンダリの2つのSSIDを設定でき、たとえばプライマリにAES対応無線LAN機器を、セカンダリにゲーム機などWEP対応機器をつなげるような使い分けができます。さらにネットワーク分離機能を使えば、セカンダリSSIDに接続した機器はインターネット接続のみが許され、プライマリSSIDに接続した機器へのアクセスをさせないというような制御も可能です。プライマリSSIDを自分の機器接続用とし、セカンダリSSIDを「誰かにちょっと回線を使わせてあげるためのアクセスポイント」として使い分けもできますな。

 ほか、ナニゲにAterm MR04LN本体のストラップホールが便利だとか、別売のクレイドルを使えば手軽に充電できるうえに自宅のブロードバンドルーターと接続して11ac対応の高速Wi-Fiアクセスポイントとしても使えるとか、このクレイドルに前機種Aterm MR03LNをセットしたら充電できた的な自己責任的半裏技があるとか、いろいろ見どころのあるAterm MR04LN。活用幅の広いモバイルルーターをお探しなら、ぜひチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。