スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

かな~りイイ感じに進化した「iVIS mini X」

かな~りイイ感じに進化した「iVIS mini X」

 2014年10月2日に発表されたキヤノンの「iVIS mini X」を「ガスッと予約」し、2014年10月16日に購入しました。それから約1カ月程度使いましたので、その使用感などを書いてみたいと思います。

キヤノンの「iVIS mini X」。自由な撮影スタイルでフルHD動画や静止画を撮影できる新機軸カメラです。ポケッタブルなサイズで、バリアングル液晶や自立スタント、大口径ステレオマイクを内蔵。新型バッテリーにより約2時間40分の連続撮影が可能になっています。実勢価格は3万3500円前後。

 2013年9月2日に発表された従来機種こと「iVIS mini」は、超広角レンズを搭載し、演奏やダンスなどを「自分撮り」するというコンセプトのデジタルビデオカメラでした。で、その後継機種が「iVIS mini X」というわけですな。

 なかなかユニークな従来機種「iVIS mini」でしたが、細かな使いにくさがけっこーありました。たとえばバッテリー。「連続使用時間が約65分/実使用時間約45分」てな感じでした。長時間撮るようなスタンスでは使えないんですな。ワタクシの場合、「iVIS mini」を取材目的で使ったわけですが、この電池の保ちの悪さはを克服すべく「電源ケーブルの自作」をするハメに。

 あるいはボタン類の使いにくさ。静止画撮影は本体横のボタンで、動画撮影はタッチパネル上の録画開始ボタンで、みたいな感じでイロイロとチグハグ感がありました。電源オフの状態から再生ボタンを押すと即起動して映像を観られたりしましたが、このボタンを不意に押してしまってムダに電池を消費してしまうというビミョーな問題もありました。

 ちなみにこの再生ボタン問題は「iVIS mini」のファームウェアアップデートで改善されます。ので、「iVIS mini」ユーザーの方はサクッとアップデートを。

 さておき、細々した使いにくさがあった従来機種「iVIS mini」でしたが、何かと便利で、何しろ「取材には超便利」だったので使い続けました。そして新型「iVIS mini X」が登場。

 新型「iVIS mini X」は「約2時間40分の連続撮影が可能」ということで、この時点で購入をキメました。ワタクシにとって何だかんだ言って超便利だった「iVIS mini」。その最大の弱点であるバッテリー持続時間が大改善された!! ってコトで大歓迎激購入ってわけです。

 購入後、早速使用を開始しましたが、相変わらずの便利度。また機能・性能の追加や洗練があり、従来機からかな~りイイ感じで進化しています。てなわけで以降、ワタクシが「iVIS mini X」をどんなふうに使っていて、どう感じているかなどを書いてみたいと思います。なお、「iVIS mini X」の画質や音質や新機能などについて、小寺信良氏の「週刊 Electric Zooma!」にも詳しいレポートがありますので、そちらもゼヒ!!

やっぱり取材や会議にはコレ!!

 まず仕事の動画メモに「iVIS mini X」を使ってみた感触から。打ち合わせで使ってみたんですが、相変わらず最高に便利ですな、動画メモは。使い方としては、「iVIS mini X」で打ち合わせの様子を全部丸ごと動画で撮影。その結論から言ってしまうと「いちいちメモ書きしなくて良い」というのがラク。非常に重要なことのみ書き留めれば大丈夫です。

 結局、「コレがコッチとつながるから」とか「こういう位置関係なんですよ」みたいな、ICレコーダーで言葉だけ録音した場合だと内容が明確にわからないことも、動画ならわかっちゃうわけです。「コレ」とか「コッチ」と指さすから「つながり」が即わかります。「こういう位置関係」を動画で捉えていますから、やはり見るだけで理解できます。

 ちなみに、「iVIS mini X」は超広角撮影ができます。具体的には記録モードがAVCHDのときは対角画角約150度、MP4のときは対角画角約160度と、前方の視野がほとんど収まる画角。なので、会議などでありがちな状況である、数人の人、テーブル、ホワイトボードなどを全て収めつつ撮影することができます。

 それと「iVIS mini X」の電池の保ち。約2時間40分の連続撮影が可能ということで安心して使うことができました。バッテリーは脱着可能な「バッテリーパック NB-12L」で、容量は1910mAh。一応予備を1本持ち歩いていますが、まだその予備が必要になるシチュエーションには遭遇していません。

 また、AC給電も試しましたが、カメラが動作している間はカメラ内のバッテリーは充電されません。カメラをオフにすると充電されます。この仕様は従来機種と同じですな。AC給電中には、本体を駆動しつつ、バッテリーも充電してほしいところです。

 もうひとつ、市販のUSBバッテリーと「iVIS mini X」を「自作ケーブルで接続しての給電や充電」も試しましたが、これもOKでした。もちろん自己責任となりますが、ケーブルを作れば、「iVIS mini X」をモバイルバッテリーで駆動させたり、USBカーチャージャーから充電することができますな。

 そうそう、「iVIS mini X」には専用ACアダプターの「コンパクトパワーアダプター CA-110」が付属します。「iVIS mini」でも使えます。メーカー希望小売価格8000円のACアダプターで、実勢価格は4000円前後。「iVIS mini」にはACアダプターが付属せず残念感が強かったんですが、付属品となったことでお金をかけずに「iVIS mini X」を長時間駆動させられますな♪

 あと、音もかなり良くなっているようです。会議などの話し声なら、デフォルトの設定で使っていても十二分に高音質で聞きやすいです。「iVIS mini X」には大口径ステレオマイクが搭載され、外部マイク端子も加わりましたので、音質重視の用途にもよく向きますな。

 ちなみに録音モード(オーディオシーン)は、カメラ任せの「スタンダード」、演奏や歌声収録向けの「音楽」、野外音楽イベント向けの「フェスティバル」、声の集音力が高まる「スピーチ」、複数の声を聞き取りやすくする「ミーティング」、自然の音の広がりを鮮明にする「森と野鳥」、風や自動車の騒音を低減する「ノイズカット」の7種類から選べるほか、自分で細かく設定できる「カスタム」があります。細かな設定としては、ウィンドカット、アッテネーター、マイク指向性、リミッターやコンプレッサー、さらにはマイクの周波数特性まで選べたりして、かな~り凝った仕様だと感じられます。

遠隔操作も可能

 スマートフォンやタブレットなどモバイル端末からのリモートコントロールもデキる「iVIS mini X」です。できることは、ライブビュー映像の視聴、ビデオカメラやモバイル端末への録画操作、セルフタイマー撮影といったところです。

 このリモートコントロール機能を使うには、まずモバイル端末側に「CameraAccess plus」アプリをインストールしておきます。iOS版Android版の両方が用意されています。もちろん無料。

 そして「iVIS mini X」側でライブストリーミング機能を立ち上げます。ここでまずモバイル端末と「iVIS mini X」の接続方法を選びます。

 モバイル端末と「iVIS mini X」の接続方法は「宅内モード」と「宅外モード」の2種類。「宅内モード」は、モバイル端末と「iVIS mini X」を直接Wi-Fi接続する方法です。「宅外モード」は「iVIS mini X」をWi-Fiルーターに無線接続し、モバイル端末はLTE/3Gなどの通信網につなぐ方法です。「宅外モード」だと、たとえば家の中にある「iVIS mini X」を出先からリモートコントロールできるわけですな。

「CameraAccess plus」アプリを使っている様子。「iVIS mini X」側で設定した「接続モード」と同じものを選んで接続します。中央のスクリーンショットは宅内モード、右は「宅外モード」。

 中央のスクリーンショットは宅内モードのもので、モバイル端末と「iVIS mini X」を直接接続するモードですな。この場合は録画を「iVIS mini X」もしくはモバイル端末に保存できます。

 スクリーンショット右は「宅外モード」のもので、屋外のモバイル端末で「iVIS mini X」に接続している状態です。この場合、録画は「iVIS mini X」本体内にのみ保存可能です。

 なお、どちらもライブビュー映像を視聴できます。タイムラグは回線の状態にもよると思いますが、2~5秒という感じ。若干リアルタイム性に難がありますが、「タイムラグが少しある」と意識していれば実用に足ると思います。

 ともあれ、わりと簡単な操作で「iVIS mini X」のリモートコントロールが可能なわけですな。また、「宅外モード」を使えば「iVIS mini X」をIPカメラ的に利用できます。いつでも自宅の様子などをモニターできる監視カメラにも使えるというわけです。なお、この機能は従来機「iVIS mini」にもあります。

取材もこなせる監視カメラ!?

 興味本位で別売アクセサリーの「カメラパンテーブル CT-V1」も買ってみました。実勢価格は8000円前後です。

 コレ、キヤノン製ビデオカメラでWi-Fi対応機種で使えるアクセサリーで、カメラのパン(左右への首振り)をリモートで行えるというものです。チルト(上下への首振り)にも対応していますが、チルト角度は固定式。角度調節はできますが、スマートフォンからのリモート操作はできません。

 なお、「カメラパンテーブル CT-V1」のパン動作範囲は左右約200度(左右それぞれ約100度ずつ)。チルト動作範囲は上下約40度(上下それぞれ約20度ずつ)。電源は単3形電池(アルカリ乾電池/ニッケル水素充電式電池)×2本もしくは「コンパクトパワーアダプター CA-110」です。

別売アクセサリーの「カメラパンテーブル CT-V1」。上に対応ビデオカメラをセットすれば、スマートフォンからの「パン動作の遠隔操作」などを行えます。雲台内部にはビデオカメラと接続するためのUSBコネクタと電源コネクタがあります。
こんな感じで左右方向に約200度の範囲で「電動パン動作」を行えます。
チルトは固定式。上下約40度の範囲でチルトします。角度を決めてチルトロックつまみを締めるとチルト角度が固定されます。

 では、具体的にどう使うのか? 「iVIS mini X」と「カメラパンテーブル CT-V1」を接続し、スマートフォン上で「CameraAccess plus」アプリを操作すると、前述の「iVIS mini X」のリモートコントロールに加えて「カメラパンテーブル CT-V1」の制御もできます。「カメラパンテーブル CT-V1」の底部には三脚ネジ穴がありますので、テーブルなどの上に置くほか、三脚の上にセットして使うこともできます。

「カメラパンテーブル CT-V1」に「iVIS mini X」をセットした様子。三脚の上に取り付けることもできます。
「iVIS mini X」と「カメラパンテーブル CT-V1」を接続している状態だと、「CameraAccess plus」アプリ上の表示にパン操作ボタンが加わります。画面上部の「L」や「<」、「R」や「>」がそうですな。

 てな感じで、アプリからパン操作まで含めたリモートコントロールができるようになります。ちなみに、パン速度は2種類あり、「ゆっくりめ」と「かな~りゆっくりめ」という感じ。以下にパン速度と、パンしながら撮れた映像を並べてみます。

【動画1】通常速度で電動パン操作をしている様子。
【動画2】通常速度で電動パン操作をしながら撮った映像。
【動画3】低速で電動パン操作をしている様子。
【動画4】低速で電動パン操作をしながら撮った映像。

 電動パンなわけですが、動作音は非常に静かですな。スピードもイイ感じです。ただ、僅かに引っ掛かりがあって滑らかさにやや欠けるかも。

 でもコレ、もはやカンペキに監視カメラとして機能する組合せですな。「iVIS mini X」に実勢価格8000円前後の「カメラパンテーブル CT-V1」を追加するとかなり高画質な監視カメラとして使えるようになるというのは、なかなか魅力的だと思います。

日常をちょこちょこ撮ると楽しい♪

 最近わりとクセになっているのが、日常の何でもない動画の撮影です。何となく撮る感じで、日常のとくに意味もないような断片を撮っています。後からそういう映像を観ると、「こんなコトがあったっけ~」的な楽しさがあったりします。「これは珍しい光景だから」と感じて撮った映像は、後から観ても「ああアレか」程度に思うワタクシですが、意図せず何となく撮った映像だと、後から観て「ええっ、何コレ?」みたいな予期せぬ楽しさがあって愉快です。

 そういう映像を「iVIS mini X」で撮ってみましたので、下に簡単な説明とともに並べてみます。画質や音質のご参考までにどうぞ。

【動画5】出張のとき、時間を持て余したので何となく新幹線を撮ってみました。手持ちで撮影。「iVIS mini X」の広角撮影では電子手ブレ補正が効かないので、やや揺れた映像に。
【動画6】歩きながら撮ってみました。画像は手ブレしがちですが、音質はかなりクリアだと感じられました。
【動画7】こちらも歩きながらの撮影です。音質もよく、空気感のようなものも伝わってきます。
【動画8】大阪で串かつで一杯、みたいな動画。「iVIS mini X」テーブルの上に置いて撮っています。
【動画9】猫の食事風景。手前の猫の間近に「iVIS mini X」を置いています。フードを食べる音が克明に記録されています。
【動画10】食事後の毛繕い風景。猫真ん前に「iVIS mini X」を置いています。毛繕いの音も聞こえますな。
【動画11】こちらも食事後の毛繕い風景です。この猫はカメラ類を若干意識して嫌うんですが、「iVIS mini X」はあまり気にしませんでした。

 使っていてイイと感じたのは、電源スイッチをスライドさせるだけで、すぐに撮れることです。本体がコンパクトで、モニターがバリアングルなので持ち方も自由。非常に手軽に撮影できます。電源をオフにすればレンズ面はカバーされますので、そのままポケットに収納。「何となく気ままに撮影する」において、面倒も煩雑さもなく使えて非常に好印象です。

 それと電池の保ちもバッチリ。撮ろうと思ったときだけ電源を入れるスタイルで使えば、1日シッカリと電池が保つイメージです。長回し(長時間の連続撮影)するとその限りでもないですが、「動画のスナップ」的にちょこちょこ使うなら予備電池は不要かもしれません。

ドライブレコーダーとしてはどうか?

 以前にドライブレコーダーを使った件をレポートしましたが、そのとき改めて思ったのは「走行中の映像って後から見てもなかなかおもしろい」ということです。そこで「iVIS mini X」をドライブレコーダー風に使ってみました。どんな感じで撮れたのかを、以下に。

【動画12】夕方に国道を走行中の様子です。「iVIS mini X」はダッシュボード上に固定しています。
【動画13】画角も十分広く音もよく拾います。臨場感のある走行中映像が得られますな。
【動画14】夜間走行。十分に明るい映像として記録されました。
【動画15】コインパーキングから出るところ。音が非常に克明に記録されています。
【動画16】ダッシュボード上の「iVIS mini X」をこちらに向けてみました。窓の外の景色もよく見えて愉快かも。
【動画17】駐車場に入るところ。それなりに振動も拾います。

 長時間録画しっぱなしで使うにはバッテリー的に無理がありますが、「このへんの風景は撮っておこう」とか「走行中の景色も入れての自分撮り」なんかもオモシロいですな。

 てな感じでイロイロな使い方ができる「iVIS mini X」。実勢価格は3万3500円前後は、ちょっと高い印象があるものの、ほかのカメラにはない活用法やオモシロみがあります。興味のある方はぜひ一度チェックしてみてください。

【編集部より】YouTubeにアップロードしたストリーミング動画では元画質より画質が落ちるため、元画質を確認したい方は以下から各動画ファイルをダウンロードしてローカル環境で再生していただくようお願いいたします。

ivmx_c11.avi(15MB)
【動画1】通常速度で電動パン操作をしている様子。
ivmx_c12.mp4(14MB)
【動画2】通常速度で電動パン操作をしながら撮った映像。
ivmx_c13.avi(47MB)
【動画3】低速で電動パン操作をしている様子。
ivmx_c14.mp4(48MB)
【動画4】低速で電動パン操作をしながら撮った映像。
ivmx_d01.avi(17MB)
【動画5】出張のとき、時間を持て余したので何となく新幹線を撮ってみました。
ivmx_d02.avi(15MB)
【動画6】歩きながら撮ってみました。
ivmx_d03.avi(20MB)
【動画7】こちらも歩きながらの撮影です。
ivmx_d04.avi(17MB)
【動画8】大阪で串かつで一杯、みたいな動画。
ivmx_d05.avi(29MB)
【動画9】猫の食事風景。
ivmx_d06.avi(22MB)
【動画10】食事後の毛繕い風景。
ivmx_d07.avi(26MB)
【動画11】こちらも食事後の毛繕い風景です。
ivmx_e01.avi(25MB)
【動画12】夕方に国道を走行中の様子です。
ivmx_e02.avi(27MB)
【動画13】画角も十分広く音もよく拾います。
ivmx_e03.avi(20MB)
【動画14】夜間走行。十分に明るい映像として記録されました。
ivmx_e04.avi(24MB)
【動画15】コインパーキングから出るところ。
ivmx_e05.avi(26MB)
【動画16】ダッシュボード上の「iVIS mini X」をこちらに向けてみました。
ivmx_e06.avi(26MB)
【動画17】駐車場に入るところ。それなりに振動も拾います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。