スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

かな~り楽しい「STYLUS TG-850 Tough」

かな~り楽しい「STYLUS TG-850 Tough」

 今回のネタはオリンパスの防水デジカメ「STYLUS TG-850 Tough」スタパブログにも書いたが、いろいろと興味を惹かれる防水デジカメだったのでポチッと購入。ネット通販で2万9790円だった。

オリンパスの「STYLUS TG-850 Tough」。防水10m・耐衝撃・防塵設計といったタフ性能に加え、超広角レンズや可倒式液晶などを搭載した特徴溢れるコンパクトデジカメだ。ホワイトとブラックがあり、実勢価格は2万9000円前後

 このカメラ、防水デジカメとしては10m防水。夏のレジャーに使うなら問題ナシな防水性能を持つほか、耐衝撃2.1m、耐低温-10度、耐荷重100kgfといったタフな性能を備える。

 それだけではなく、超広角からのズームレンズを搭載する。35mm判換算で21~105mm相当のレンズだが、広角側が21mmだと風景をかな~り広々と写せるし、車内やテント内など狭い空間での撮影にも有利だ。

 また、液晶画面は可倒式で、180度まで跳ね上げられる。水中撮影もラクそうだし、前述の21mmという画角があるので液晶画面を自分に向けつつの自分撮りも容易にできそうだ。

「STYLUS TG-850 Tough」の液晶モニターは可倒式。上部がヒンジ(蝶番 )で、そこを軸に180度跳ね上げることができる。21mm相当の広角レンズと可倒式液晶により、自分撮りもラクにできる

 そのあたりまでを知って「おっコレでいいじゃん防水デジカメ」とか思った俺なんですけど、さらに見ていくと「STYLUS TG-850 Tough」の楽しげな機能性能をもっと発見。たとえばフルHD(1920×1080)の60P動画が撮れたり、毎秒120コマや240コマのハイスピードムービー(つまりスローモーション動画)が撮れたり。あー水中でイロイロな動画も撮れるのか~、と。

 防水デジカメ欲しいナ~と考えた理由が「釣り」だったので、水に強く水遊びをより楽しくしてくれそうな「STYLUS TG-850 Tough」を思わず購入したのであった。そして早速、このカメラを持って釣りに出かけてみた。

 てなわけで以降、「STYLUS TG-850 Tough」の機能や使用感についてレポートしてみたい。が、とりあえず結論から言っちゃうと、スゲくラクに水中撮影できてグレイト。さらに水中の動画も簡単に撮れてナイス。かな~り楽しく使える防水デジカメだと感じ、非常に満足している。

水辺での撮影がラク&安心♪

 水辺に到着し、とりあえず「STYLUS TG-850 Tough」(以下、TG-850)を水に浸けて撮ってみて感じたのは、180度回転できる可動式液晶モニターの利便。わりと浅めの清流で水中撮影を試みたが、画面を自分に向けつつ撮影できるので、姿勢的にヒッジョーにラク。

 画面を覗き込んで無理な格好をしたり、液晶モニターを見ずに(ノーファインダーで)勘で撮影するような苦労も不要。水辺で手を洗うような姿勢で、ビシバシと水中撮影ができるのだ。

左は水面ギリギリでカメラは水に入っていない状態で撮った写真。広角レンズで水面の写真を撮ると涼しげですな~。右はカメラを水中に浸けての撮影。液晶画面を顔に向けて撮れば、ラクな姿勢でライブビューを確認しつつ水中写真を撮れる

 TG-850の水辺での使用感も上々。防水性能(10m)に加え耐衝撃性能も防塵性能も高いので、水の近くでも安心して使えるのはもちろん、前述のとおり可倒式液晶モニターによりラクな姿勢で撮影できる。通常撮影時でも、たとえば液晶モニターを映り込みが少ない角度に調節して撮れるので、とりわけ晴天屋外での撮影がしやすい。また、21mm相当の超広角レンズと可倒式モニターのおかげで、自分撮りもラクにこなせた。

釣った魚を速攻で撮影……というシチュエーションでも、「カメラが落ちて水に浸かっちゃっても無問題」という安心感があるので、気楽に撮れる。可倒式液晶により自分撮りもラク。構図を確認しつつ無理のない姿勢の自分撮りができる感じ

 それとこの液晶モニター、けっこー頑丈に作られているっぽい。またタッチパネルではない。ので、片手で液晶モニターの額縁あたりをつまんでもう片手でシャッター周辺を持つ、というホールドができる。この点についても水中撮影をはじめとした撮影全般がラク。

 ボタン類も押しやすく、誤押下しにくいので、操作面でのストレスも少ない。不意には回りにくいモードダイヤルや、うっかり押しちゃいにくい動画撮影ボタンもイイ感じ。最近使ったオリンパス製のカメラは全部誤操作しにくく、ボタン類の操作感は共通して好印象である。

 唯一残念なのは、超広角レンズを搭載しつつ、レンズが本体端にあること。ホールドしたとき左手が来る側にレンズがあるわけだが、ホールドのしかたによっては、レンズ脇に置かれた指が映り込むことがある。気を抜いていると画面左下に指の影が入った写真が撮れてしまう。まあ、これは気を付けるしかないですな。

いろいろな撮影が水中でもデキる

 TG-850は、今時的コンパクトデジカメなので、いろ~んなコトができる。たとえばシチュエーションに合わせた撮影モード(シーンモード)が19種類用意されている。そのなかには水中での撮影に適切な4つのモード(水中スナップ/水中ワイド1/水中ワイド2/水中マクロ)も含まれている。状況に合わせて最適な写真を撮れるのだ。

 あるいは、オリンパス製デジカメの多くで使えるアートフィルターもある。具体的には、ポップアート/ファンタジックフォーカス/デイドリーム/ラフモノクローム/トイフォト/ジオラマ/ドラマチックトーンの7種類。アートっぽい写真をお手軽に撮れるわけですな。

 動画も撮れる。最高で1080/60P(1920×1080ピクセル/フレームレート60P)のハイビジョン動画が撮れるほか、120fps(640×480ピクセル)や240fps(432×324ピクセル)のハイスピードムービーも撮れる。実際の動きを1/8倍や1/4倍に遅くしたスローモーション映像が撮れるわけですな。

動画撮影機能により、川の様子を撮影。こんな場所ですな
通常のハイビジョン撮影をしたところ。もちろん音も入る
120fpsで撮影。速度は1/4倍のスローモーション動画になる
240fpsで撮影すると1/8倍の迫力のスローモーション動画に

 でも、これらの撮影機能、大雑把に言えば「ほかのデジカメでもできるようなコト」だったりする。のだが、TG-850の場合、防水デジカメ。つまり、上記のような撮影を水中でも行えるのだ。

 まあ、水中で使ってもしょうがない撮影機能もあるが、それはさておき、たとえば水中での動画撮影はかな~り楽しい♪ それをスローモーション映像として撮ったりすると、もっと楽しい!!

動画撮影機能により、水中のハイビジョン動画を撮ってみた。なかなかキレイ。
1/4倍速つまり1/4の速さの水中のスローモーション動画。あらなんかステキ♪
1/8倍速すなわち1/8のスローモーション映像。流水は躍動感があってナイス!!

 てな感じで、撮って楽しく観て癒される感じの水中動画なので、な~んかムダに撮影しまくっちゃいますな♪ ちなみに、TG-850で撮った各種動画は本体内でトリミングできる。つまり動画の不要な部分をカットし、観たい/見せたい部分のみを保存できるので便利。動画の一瞬から一枚の写真を抽出することもできる。

気になった点なども少々……

 TG-850の画質だが、撮像素子に1/2.3型のCMOSセンサーを採用したコンパクトデジカメってコトで、あ~んまりよくない。が、前述のように防水&機能豊富なデジカメなので、非常に楽しめるという点で満足できる。「楽しいから、まあ画質はこんなもんでもOKとしよう♪」的な。

プログラムオートで撮影。左が全体を縮小したもので、右がドットバイドットのトリミング。良好な画像と思えるが、細部をよく見ると小型撮像素子特有の解像感不足が見えてきたりする
こちらもプログラムオートで撮影し、全体を縮小したものと、ドットバイドットのトリミング。ディテイルがのっぺりしてしまっている
これは動画(1080/60P)から1コマを切り出した静止画。左は静止画全体を縮小したもので、右がドットバイドットのトリミング。細部に精細さは感じられない

 写真全体を見ると、発色もコントラストも良好に感じられる。が、やはり撮像素子が小さいので、どうしても細部が潰れたりして破綻してしまっているようだ。まあ、コンパクトデジカメの画像をドットバイドットレベルで精査するのは、超高画素時代の現在においてあまり意味のあることだとは思えないスけどネ。コンパクトデジカメとかは「パッと見てだいたいキレイならいいや」くらいなスタンスで使っている俺である。

 画質を含めてのバランスという意味で、全体的に満足できているTG-850だが、機能の細かな部分に違和感があったりする。たとえば動画撮影モードの切り替えだ。

 TG-850の場合、静止画撮影モードと動画撮影モードをダイヤルで変更するといった手間は不要。動画撮影ボタンを押せば動画撮影が始まるお手軽設計だ。

 が、どういう動画を撮るかの設定変更がちょっと面倒。設定変更は、普通のハイビジョン動画を撮るか、スローモーション動画を撮るか、といった場合に設定を変更する必要がある。

 その設定変更手順、具体的には、[MENU]ボタンを押し、4方向ボタンを5回押し、さらに数度4方向ボタンを押して[OK]ボタンを押し、[MENU]ボタンを押せば完了、てな感じ。ほかの方法もあるが、これでもわりと指を動かさずに操作した例だ。

 文章で書くとまどろっこしいボタン操作に見えるが、そうなんですよ、実際ヤッてもまどろっこしいんですよ!! 的な。メニューのかなり深い階層まで行かないと、動画撮影モードを変えられないんですな。

 じつは「STYLUS SH-1」にもTG-850と似た動画撮影機能があるが、「STYLUS SH-1」のほーは、もっとずっとスムーズに設定を変更できる。そういうコトを知っていると、やはりこのTG-850の動画設定変更のUI、ぜひ改良して欲しいところだ。

 余談だが、TG-850の場合、[MENU]ボタンを押すと、イキナリ、[リセット]や[カード初期化]といった項目が現れる。[MENU]ボタンを押すと、撮影モードなら[リセット]、再生モードなら[カード初期化]、が、選ばれた状態で表示されるのだ。次いで[OK]ボタンを押したりすると各処理の最終確認表示が現れる。[MENU]ボタンを押すたびにドキドキするので、ぜひこのサプライズな仕様も改良してほしい気分。

 それから、条件付きでのWi-Fi接続機能。スマートフォンとの簡単接続機能ですな。結局のところ、TG-850はWi-Fi機能非搭載で、東芝のFlashAirを使わないとスマートフォンとの簡単接続機能は使えない……というか「OI.Share」アプリがFlashAirに対応しているという話ですな。

 TG-850は、フツーのデジカメじゃ撮れない水中写真や水辺写真をガンガンに撮れるカメラ。人に見せたくなる写真なんかも多く撮れるハズだ。そうなるとやはり、スマートフォンにサクッと転送してネットで公開したりしたいものですな。Wi-Fi非搭載(FlashAirやEye-Fiカードを使えばWi-Fiで通信可能)という仕様は残念。

 とか言いつつ、細かいながらもちょっと気に入っている機能をヒトツ。TG-850には「ワンタッチライト」という機能があり、[INFO]ボタン長押しで内蔵フラッシュ右側にある「LEDランプが光る」のだ。明け方や夕方の手元~足元照明として便利っす。もちろん撮影時にも使える。近接撮影時にこのLEDランプが補助光としてかなり威力を発揮する。

 てな感じの、TG-850。全体的にグレイト感が高いものの、細かい難点があったりするので、一度実機に触れてみてほしいところ。でもまあ、やっぱり防水性能と可倒式液晶モニター、そして動画を含めた撮影機能の豊かさ、そしてこれらの合わせ技がヒッジョーに愉快。これからの季節を存分に楽しめる防水デジカメなので、ぜひチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。