FlashAirでデジカメが無線LAN対応♪
■FlashAirでデジカメが無線LAN対応♪
今回のネタは東芝のFlashAir。一言で表せば「無線LAN通信機能搭載のデジカメ向けSDHCカード」だ。仕事で試用し、ヒッジョーに便利なのでサクッと購入した。2012年3月にAmazonで7980円で購入したが、2012年4月現在は6980円になってますな。
東芝の「FlashAir」。8GBのSDHCメモリカードで、無線LAN機能を内蔵する。Amazonにて7980円で購入。2012年4月8日現在は6345円で売られているようだ |
FlashAirを使うと何ができるようになるのか? 大雑把に言うと、SDHCメモリカードを使えるデジカメが無線LAN対応になる。具体的には、FlashAirが「カード内の画像などのファイルをウェブサーバーで公開できる無線LANアクセスポイントになる」のだ。
FlashAirは8GBのSDHCカードで無線LAN対応。デジカメに挿して使えば当然写真を記録できる。そしてさらに、PCやスマホなど「無線LAN対応でありかつウェブブラウザーが使える端末」で「FlashAir内の画像ファイルなどを参照~ダウンロードすることができる」のだ。たとえば、デジカメ内の写真を、スマホなどから直接見て、スマホへダウンロードしてSNSへ投稿などして活用できる。当然、デジカメで撮った写真をその場で皆に無線で渡すという使い方もできる。
ただ、現在のところ、全てのSDHCカード対応デジカメで使えるというわけではないようだ。東芝のサイトにはFlashAir動作確認機器一覧が掲載されている。
ちなみに、FlashAirは「SDアソシエーションが策定したWirelss LAN SD準拠の無線LAN機能搭載SDHCメモリーカード」である。この先、この規格に対応したデジカメが登場すれば、「FlashAir対応機器同士での画像データ転送」「特定サーバー(サービス)への画像転送」なども実現されていくそうだ。
さておき、以降、FlashAirの使用感などをレポートしてみたい。
……あとですね、いきなり余談ですけど、FlashAir、俺が最強に愛用&多用しているソニーNEX-7だとエラーが出て使えなかったんですよ。でも、アレコレ試したらフツーに使えるようになったので、その方法も(自己責任的なやり方ではありますが)本稿の最後に書いてみたい。
■カメラをオン→スマホからアクセス
FlashAirの使い方は比較的にシンプル。基本は「FlashAirを挿したカメラの電源を入れ、スマホなどからFlashAirにアクセスするだけ」で良い。
具体的には、FlashAirが通電されると、FlashAir内に無線LANアクセスポイントが立ち上がる。デフォルトのSSIDは「flashair_(カードのMACアドレス)」で、アクセスするためのパスワードは「12345678」となっている。また、FlashAir上には「http://flashair/」という「カード内のファイルを一覧できるウェブサーバー」が立ち上がる。
ので、まずはスマホなどからそのアクセスポイントに接続する。次いでスマホなどでウェブブラウザーを起動し、URL入力欄に「http://flashair/」を打ち込んでアクセス。するとウェブブラウザー上にFlashAir内のフォルダ/ファイルが表示される。
iPhone 4SからFlashAirにアクセスする様子。FlashAirを挿したカメラの電源を入れると、無線LANアクセスポイントが立ち上がる。この場合は「flashair」。そこに接続したらブラウザーを起動して「http://flashair/」(実際は「flashair」だけでOK)にアクセス。するとFlashAirカード内の各フォルダ/ファイルを見られるようになる |
このようにFlashAirカード内のファイルが全部見えちゃうわけですな。当然ではあるが、UIは単なるブラウザーなので、自動的に画像だけ表示してくれるような機能はない。デジカメ画像なら「DCIM」フォルダ以下を探していくことになる。
写真が入ったフォルダを開くと、各画像がサムネイル表示される。サムネイルからひとつをタップすれば画面いっぱいに表示される。そこで画像を長押しすれば画像の保存やコピーができ、共有ボタンをタップすればプリントなどの各種アクションを行える(が、常時接続しているサーバーではないので共有ボタンの機能にはあまり意味がない)。
サムネイル表示から1枚表示にし、画像をFlashAirカードからiPhone 4Sのカメラロールに保存したりコピーしたりできる。共有ボタンからの機能も使えるが、一時的に接続しているサーバーなので機能的な意味はあまりナイですな |
てな感じで使える。扱う画像にもよるが、サムネイル表示や画像1枚のダウンロードなども軽快で、「この1枚の写真をスマホにダウンロードしてSNSにアップしよう」というような使い方なら速度的な不満は出ないと思う。
また、FlashAirアクセスポイントへは複数のスマホなど端末を同時に接続可能。速度的に実用範囲の接続台数上限は3~4台ということだが、たとえば撮った写真をその場の数人でシェアするような使い方にはよく向きそうだ。
ただ、撮った写真全部をスマホへダウンロードするような場合、1枚ずつのダウンロード操作となるので非常に面倒かもしれない。現状、デジカメ画像のスマホなど端末へのバックアップなどには向かないFlashAirである。
でもまあしかし、SDHCカード対応の多くのデジカメで利用でき、クライアント側も無線LAN対応&ブラウザー使用可能ならOKという汎用性は有り難い。FlashAirカードを使うだけで「デジカメ専用機の高画質写真を、手っ取り早くスマホなどに転送して活用できる」のは、多くの人が求める必要十分な機能かもしれない。
なお、前述のアクセスポイント名やパスワードなどは、もちろんユーザーが自由に変更できる。初期設定なども含めてスマホなどのブラウザーから行えるが、FlashAir設定ソフトウェアのFlashAirTool(Windows用)で行うとよりわかりやすいと思う。
Windows用設定ソフトの「FlashAirTool」。FlashAir内のセットアップファイルからインストールできる。東芝のウェブサイトからダウンロードすることもできる |
このソフトでFlashAirの無線LAN設定を行ったり、挙動を変えたりすることができる。また、誤ってFlashAirを各機器上でフォーマットしてしまった場合、巧く動作しなくなることがあるが、その場合もこのソフト上でカードの初期化を行えば問題を解決できる。
■静止画以外のファイルはどうよ!?
FlashAirをデジカメに挿して使うと、撮影した静止画がDCIMフォルダ内にたまっていく。スマホなどからFlashAirにアクセスすれば、ウェブブラウザーでそれら画像を閲覧できるわけですな。
しかしFlashAirで閲覧できるファイルは静止画だけではない。基本的にはどんなファイルでもFlashAir上に置いて良い。ただしそれを閲覧できるかどうかは、スマホなどのクライアント側のウェブブラウザーや、ウェブブラウザーからファイルを共有できるアプリ次第だ。
ここでは、iPhone 4Sの標準ウェブブラウザー Safariだけで、どんなファイルを閲覧できるのかザザッとテストしてみた。試したのは、Microsoft Wordファイル(.doc)、Microsoft Excelファイル(.xls)、PDFファイル、テキストファイル(.txt)、QuickTimeムービー(.mov)、MP3ファイル。ムービーは、iPhone 4Sで撮ったものをいったんPCに転送し、これをFlashAirにコピーしたものだ。テキストはShift-JISフォーマットのものを使った。
FlashAir上に[DOCUMENT]や[MUSIC]などのフォルダを作り、そこに適宜ファイルを入れて試してみた | 静止画(.JPG)はサムネイルで一覧表示されるが、それ以外のファイルだとサムネイル表示はされない | Microsoft Wordファイル(.doc)はとくに問題なく表示できた。ほかの対応アプリで開くことも可能だ |
Microsoft Excelファイル(.xls)も開けた | 各種ドキュメントは拡大しての表示も可能 | PDFもとくに問題無く表示することができた |
テキストファイル(.txt)も表示できた。エンコードがShift-JISだが問題ナシ | QuickTimeムービー(.mov)はiPhone 4Sで撮ったものなのだが再生できなかった | 音楽(MP3ファイル)は再生できた。しかしバックグラウンド再生には非対応だ |
どのファイルが開けるかは、まあSafariの対応ファイル次第ではある。が、対応アプリがインストールされていれば、たとえば上の写真のうちMicrosoft Wordファイル(.doc)を開いたときのように、ほかのアプリで開くこともできる。
てなわけで、FlashAirに各種ドキュメントを入れ、それをデジカメに挿せば、わりと汎用的なファイルサーバーとしても使える感じですな。電源としてデジカメが必要な無線LAN対応の読み出し専用ファイルサーバーってのもなんか奇妙ではあるが、工夫次第でいろいろ活用可能なFlashAirだ。
FlashAir、前述のとおり実勢価格は7000円弱。デジカメを無線LAN対応させる手軽なカードとしては機能的にも使用感的にもかなり魅力的だと思う。
ただ、FlashAirは8GBのカードしかない。より大容量だったり高速だったりするカードの存在を考えると、「FlashAirを使うと容量と速度に縛りが生じる」とも言えたりする。そのあたりをどう捉えるで、FlashAirの価値が微妙に変わってくるかもしれない。
でもまあ、SDHCカード対応デジカメなら多くの機種で「FlashAirを使うだけで無線LAN化が可能」ってのはやはりスゲく大きな魅力。手持ちのデジカメを手っ取り早く無線LAN対応にしたい人はぜひチェックしてみてほしい。
■FlashAirをソニーNEX-7に挿すとエラーが出る件
単純明快に使えるFlashAir。仕事で軽く試した途端にかなり気に入ったので、前述のように購入したわけだが、FlashAirをぜひソニーのNEX-7に挿して使いたいと考えていた。
が、なんかFlashAirをNEX-7に挿すとエラーが出るというウワサであった。また、東芝のサイトにあるFlashAir動作確認機器一覧のなかには、NEX-7は掲載されていない。
……でもこの表のなかにはNEX-5とかNEX-3Aとかあるし、どーにかなるだろうと「見切り発車」でポチッとな。しかしFlashAirがNEX-7で動かなかったら残念感満載だなぁと思いつつネットで調べていたらFlashAirをNEX-7で動かしている人もいた(「FlashAir NEX-7」をキーワードに検索するとすぐ見つかると思う)。
で、結果だけ書くと、ネットで見つけた方法だとうまく行かなかった。ので、アレコレ試したところ、最終的にFlashAirとNEX-7の組合せで問題なく使えるようになった。その具体的な方法を以下に書くが、これはメーカーサポート外となると思われるので、試す方はあくまでも自己責任のもとで行ってほしい。
まず、ネットで見つけた(Kureha氏が書いている)方法。手順は以下のようになっている。
(1)PCでFlashAirをフォーマットする (2)NEX-7にFlashAirを挿して管理ファイルを自動生成させる (3)ソフトウェア更新ツール(こちら)でFlashAirを更新する (4)設定ソフトウェア(こちら)でFlashAirを再設定する (5)FlashAirをNEX-7に挿して使う |
俺の場合、このとおり試したものの、手順(2)でFlashAirをNEX-7に挿した直後、NEX-7が「メモリーカードを挿し直してください」てなエラーを出して先に進めなくなった。そこでアレコレ試行錯誤。その結果、このようにするといいかもしれないという方法が見つかったような気がする。具体的には以下の手順だ。
(1)PCでFlashAirをフォーマットする (2)ソフトウェア更新ツール(こちら)でFlashAirを更新する (3)コピーしておいたNEX-7管理ファイルをFlashAir上にコピー (4)設定ソフトウェア(こちら)でFlashAirを再設定する (5)FlashAirをNEX-7に挿して使う |
それぞれちょっとご説明。
(1)PCでFlashAirをフォーマットする
とりあえず不要なファイルを消しちゃってゼロから設定というニュアンスで。単純にFlashAir上のファイル/フォルダを全部削除するだけでもいいように思う。
(2)ソフトウェア更新ツール(ダウンロードはこちら)でFlashAirを更新する
FlashAirのファームウェアアップデートですな。最新ファームウェアにするとソニーのNEX-3AでもFlashAirが使えるようになるとある。NEX-7とは関係ナイかもしれないが、最新ファームのほうがいろいろ問題が少なかろうということで、とりあえず。
ちなみに、ファームウェアアップデート直後、NEX-7にFlashAirを挿すと「メモリーカードを挿し直してください」というエラーが表示されてしまった。
(3)コピーしておいたNEX-7管理ファイルをFlashAir上にコピー
ここがポイントだと思われる。
事前に「一般的なSD/SDHCカードをNEX-7に挿してフォーマットし、自動生成された管理ファイルをPCにコピー」しておく。この管理ファイルをFlashAirにコピーするという手順だ。
管理ファイルは「AVF_INFO」というフォルダ内にあるものだと思われるが、これとは別に「PRIVATE」というフォルダも作られる。またフォーマット後に写真を撮ると「DCIM」フォルダも作られる。
ともあれ「NEX-7でSD/SDHCカードをフォーマット後、カード内に生成されたファイル/フォルダを丸ごとPCにコピー」しておけば問題無いので、全部コピー。そしてコピーしておいたファイル/フォルダ類を全部、FlashAirにコピーすれば良い。
この時点で、NEX-7はSDHCカードとしてFlashAirカードを認識してくれる。が、その前にFlashAirの無線LAN設定を行うので(4)に。
(4)設定ソフトウェア(こちら)でFlashAirを再設定する
FlashAir設定ソフトウェアである「FlashAirTool」を使い、FlashAirの無線LAN設定を行う。俺の場合は以下のようにしている。
FlashAirでは特定画像(「100_TSB」フォルダ内の「FA000001.JPE」ファイル)の保護のオンオフにより、無線LAN機能のオンオフを行えるが、カメラ機種によってはこの画像を表示できない=無線LANオンオフを切り替えられないので、「無線LAN起動画面」では画像を何も設定していない。
FlashAir設定ソフト「FlashAirTool」の表示例 | 「カードの設定」で「自動で起動する」に設定 | 「無線LAN起動画面」では画像を何も設定しない |
(5)FlashAirをNEX-7に挿して使う
あとはFlashAirをNEX-7に挿すだけ。
もしかすると、設定済みのFlashAirに手順(3)だけを適用すればNEX-7でもFlashAirが使えちゃう気がする。単にNEX-7の管理ファイルをFlashAirに書き込むだけでいいような気がしているのだが、手持ちのFlashAirカードはファームウェアアップデート済みだし、細かくは試していない。
なお、ここで使っているFlashAir設定ソフトウェア「FlashAirTool」はWindows用。PCからFlashAirの各種設定を行えるほか、誤ってフォーマットしてしまったFlashAirを初期状態に戻すことができる。また、ここで紹介している各方法はFlashAirをPCからフォーマットしてしまうので、その後にFlashAirを再度使用可能にするためにはFlashAirToolの使用が必須。
なので、そもそも自己責任のもとで行って欲しいことなのだが、さらにMacユーザーは「FlashAirToolを使える方法を確保したうえ」で「自己責任のもと」行って欲しい。とかって但し書きしまくりなんですけど、ん~やっぱり設定済みFlashAirにNEX-7の管理ファイル書き込むだけで(以下略)。
2012/4/9 06:00