IXY 1の無線LAN機能がイイ感じ♪

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


IXY 1の無線LAN機能がイイ感じ♪

 このニュースを読んでキヤノンのIXY 1を購入した。IXY DIGITALシリーズはマジで超使ったんであり、その最初のモデルの雰囲気を醸し出しまくりだったので、思わず衝動買い。

キヤノンの「IXY 1」。Wi-Fi対応で光学12倍ズームレンズを搭載する有効画素数約1010万のコンパクトデジカメ。2012年4月現在の実勢価格は3万円前後

 購入直前、IXY 1とIXY 3ののどちらにするかプチ迷ったが、無線LAN対応ということでIXY 1にした。「まあ無線LANでスマホ連携とかあったほうが便利だしネ」てな軽い気持ちであったが、予想以上にイロイロできる無線LANデジカメことIXY 1なのであった。

 というわけで、以降、IXY 1の無線LAN機能を中心にレポートしてみたい。なお、IXY 1とIXY 3の違いは、IXY 1のみが無線LAN対応&タッチパネル採用となっており、ほかの機能は共通している。ので、画質や機能に関してはコチラにあるIXY 3のレポートをご参照いただきたい。


使いやすいタッチパネルと豊富な実用機能

 まずはIXY 1をしばらく使ってきての印象から。

 特徴の多いデジカメだが、やはり最大の特徴はその外観。印象は人それぞれだと思うが、洗練された美しさがあると感じる。サイズは、俺の手にはちょっと小さいが、タッチパネルの操作感やUIが思いのほか良好。なので、サイズからくる使いにくさはほとんど感じられない。裸では持ち歩きたくないキレイな作りのデジカメなので、専用ケースを追加購入したが、このケースに入れた状態でも携帯性は非常に良い。

サイズは幅85.8×高さ53.5×奥行き19.8mmで、撮影時質量は約163g。タバコの箱に収まったりするポケットサイズのカメラですな。専用ケースのIXC-480に入れた状態でもポケットサイズ

 タッチパネルは抵抗膜方式らしく、たとえばiPhoneなどの静電容量式パネルと比べるとややスムーズさに欠ける印象となる。やや強めに押すなどしないと反応しにくいのだ。が、慣れると誤操作しにくく、ややラフに操作できる感覚は悪くない。もちろん一般的なスタイラスペンでも操作できる。

 UIなども好印象。キヤノンのコンパクトデジカメを使ったことのあるユーザーなら「いつものボタン」を画面上にすぐ発見でき、指先の操作で直感的に使っていける。ただ、メニューを指先で選んだりする操作は、指で表示が隠れてやや煩雑な操作感になることがある。また、当然ではあるが、画面が指紋で汚れる。

 しかし指での操作が快適だと感じられる機能もある。画面タッチ&リリースでシャッターを切れる「タッチシャッター」機能、指で触れた部分にピントや露出を合わせる機能、タッチ&ドラッグで露出補正できたりもして、なかなか便利。前述のように「やや強めに触れる必要があるタッチパネル」なので、画面タッチ時に操作ミスが起きにくかったりもする。

タッチパネルとそのUIは予想以上に良くできていて扱いやすい。ボタン位置の容易なカスタマイズも可能。スタイラス操作もできた

 それと、再生時に本体の左右を指先で軽く叩く(タップする)と、表示される写真の送り戻しができる「アクティブ再生」という機能。使い始めは「ユニークな機能だ」程度にしか思わなかったが、タップ操作に対してわりと鋭敏に反応し、速度的レスポンスも良い。撮影時の指の位置を変えず写真のブラウズができるのも快適。使い始めてしばらくして、実用的な機能だと感じるようになった。

 あと、「ジオラマ風」や「トイカメラ風」などを始めとする撮影モードや、スローモーション映像を撮れるハイスピード動画もおもしろい。っていうか個人的にはこういう撮影モードはあまり使ってこなかったが、トレンドでありメーカーが本腰入れて作ってるモードなので、使ってみるとその完成度の高さに驚く。「ジオラマ風動画」あたりはかなり愉快だ。

 懐かし(!?)のIXY DIGITAL風ボディに今時の機能がビシッと詰め込まれたデジカメですな。タッチでの操作感やUIにも見どころが多いので、IXY 1の機能や操作感はぜひ実機に触れて確認してほしい。


IXY 1の無線LAN機能、ナニがデキる?

 個人的には「無線でスマホに写真を送れればいいや」程度に考えていたIXY 1の無線LAN機能だが、なーんか全体的に完成度が高いという印象になった。平易に使えるわりには、けっこーいろいろデキる、みたいな。さておき、IXY 1の無線LAN機能ではナニがデキるのかを見ていこう。

 まずIXY 1とスマートフォンをつないで、IXY 1→スマホへと写真やムービーを転送できる。たとえば、IXY 1で撮った写真をスマホに送り、スマホ上のアプリでその写真を活用できるわけですな。なお、このとき使用するスマホ用アプリは「CameraWindow」で、現在のところiOS用のみ用意されている。Android端末対応は2012年4月末に予定されている。

 それから別のカメラ(無線機能を持つキヤノン製カメラ)とつなぎ、カメラどうしで写真やムービーを送受信できる。たとえばIXY 1とIXY 420Fの間で画像をやりとりできる。

 PCとの無線接続も可能。無線LANルータなどアクセスポイントを経由し、IXY 1を同じローカルネットワーク内のPCへ接続できる。接続して行えることは、PCとIXY 1をUSB接続したときとだいたい同じ。PCへの画像バックアップなどをワイヤレスで行えたりする。

 IXY 1上の写真やムービーを、IXY 1から直接、SNSやCANON iMAGE GATEWAY上に転送して公開することもできる。定型文を付加しての公開なども可能だ。

 このうちカメラ同士を無線接続するパターンは、対応カメラがなく使用していない。ほかは全て使用しているので、以降、その使用感などを見ていこう。


IXY 1とスマートフォンの連携

 まずはIXY 1とスマートフォンの無線LAN接続から。ここではスマートフォンとしてiPhone 4Sを使った。IXY 1とiPhone/iPadとの接続にはCanon CameraWindowアプリが必要になる。

 なお、以降、各接続パターンについて事前に若干の設定などが必要になるが、その詳細は割愛する。設定などの具体的な手順について詳しくお知りになりたい方は、IXY 1のカメラユーザーガイドの215ページ以降をご参照いただければと思う。

 さて、IXY 1とiPhoneの接続は2パターンある。IXY 1/iPhoneを直接無線LAN接続するアドホックモードと、無線LANルータを介してIXY 1/iPhoneを接続するインフラストラクチャーモードだ。どちらで接続するかは、IXY 1上で選択する。

 それから、IXY 1からiPhoneへの画像転送は、IXY 1で転送したい画像を選ぶことも、iPhone上でダウンロードしたい画像を選ぶこともできる。この転送方法の切り替えはiPhone側で行う。

 ここでは単純に、どこでもIXY 1/iPhoneを接続できるアドホックモードを使い、写真の選択やダウンロードをiPhone側で操作するスタイルで使ってみた。以降、その流れを写真で見ていこう。

IXY 1を再生モードにし、画面左上の無線アイコンにタッチするどの接続パターンにするかを選ぶ。ここではスマホアイコンを既に設定された接続先が表示される。ここではiPhoneを選ぶ


このような表示に。これに従って接続先にiPhoneを接続iPhoneのWi-Fiネットワーク設定で、IXY 1を選んで接続次いで、iPhone上でCanon CameraWindowアプリ起動する


接続可能なカメラを検索中。十数秒~数十秒程度かかる接続完了。IXY 1からiPhoneに画像を転送できる状態だIXY 1側はこんな表示に。送りたい画像を選ぶんですな


iPhone側で「カメラ内閲覧モード」にすると、IXY 1のなかにある写真をブラウズできる1枚表示にすることもできる。iPhoneへの写真保存は、1枚のみでも複数枚まとめででもOKiPhoneへの写真保存のほか、FacebookやYouTubeへの投稿、メールでの送信も可能だ

 写真の転送にかかる時間だが、IXY 1内の42枚の写真(計93.5MB)を送り終えるのに約2分かかった。1枚や2枚なら数秒~十数秒で終わる感じですな。「IXY 1で撮った写真を何枚かスマートフォンに転送してネットに投稿」という使い方なら十分クイックだと思う。

 上の画面表示などを見て、あるいは、無線関連の設定が「面倒そう」と思う方があるかもしれない。もちろんある程度は知識があったほうがスムーズだと思うが、上記リンクのカメラユーザーガイドにあるとおりに設定すれば難しいコトはナシに設定を完了できると思う。


PCとのWi-Fi接続

 次にPCとIXY 1の無線LAN接続。無線LANルータなどを介して同じLAN内のPCとIXY 1を無線接続するわけですな。

 これを行うと、PCとIXY 1をUSB接続したときとだいたい同じような操作ができるようになる。たとえばPCへの画像転送や、PCから(CameraWindowユーティリティを使って)IXY 1のいくつかの設定を行えるようになったり。

IXY 1を再生モードにし、左上の無線アイコンにタッチ。次いで接続先(PCアイコン)を選び、登録されたPCを選択する


以降、IXY 1が登録済みアクセスポイントに自動接続し、さらに登録済みPCに接続。そしてPCがIXY 1を認識し、自動再生ウィンドウが開く


ファイルエクスプローラでIXY 1内の画像にアクセスできるCameraWindowを使えば無線接続中のIXY 1に各操作を行えるたとえば、カメラ内の画像を手早く容易に取り込むができる


CameraWindowを閉じるとImageBrowser EXが自動起動したりもカメラ内の画像の整理。画像のプロテクトや回転などが可能だPC上の画像をIXY 1に書き戻し、お気に入り写真の携帯も可能


YouTubeへの画像アップロードや、カメラの一部設定の変更も行える。余談だが、カメラから直接、各SNS(Facebook/Twitter/YouTube/特定メールアドレス)に画像を投稿する設定もCameraWindowから行う

 ちなみに、環境にもよると思うが、写真の転送にかかった時間をご参考までに。IXY 1内の42枚の写真(計93.5MB)をPCに転送し終えるのに約1分かかった。USB接続よりは遅いが、まあまあ待っていられる感じ。待ち時間云々より、いちいちIXY 1にUSBケーブルをつなぐとか、microSDカードを挿抜するとか、そういう手間が全部なくなるのは痛快だ。

 なお、PCとIXY 1の無線LAN接続設定だが、前述のスマホ連携時の設定よりちょっと面倒かもしれない。Windows側のセキュリティ関連の設定を変更する必要があるからだ。また、接続可能なPC環境(OS)が限られてもいる。詳細は、IXY 1のカメラユーザーガイドの239ページ以降をご参照いただきたい。


カメラから直接ネットに投稿

 最後に、IXY 1からネット上の各種サービスに対しての画像投稿機能。IXY 1上の画像を、IXY 1から(無線LANアクセスポイントを経由して)直接的にネットにアップロードできるんですな。利用できるサービスは、CANON iMAGE GATEWAY、Facebook、Twitter、YouTubeとなっている。

 ただし「ネットに投稿できる」と言っても、IXY 1上の画像にコメントを加えてSNS上にペタリと貼る、というイメージではない。具体的には、IXY 1上の画像が自動的にCANON iMAGE GATEWAY(キヤノンのオンラインアルバムサービス)へとアップロードされ、その画像を示すURLが自動的にSNSなど指定サービスに書き込まれる。

 ので、この機能を使うためにはまずCANON iMAGE GATEWAYのアカウントを取得(無料)する必要がある。また、前述のCameraWindowユーティリティを使って、IXY 1に各SNSなどのアカウントを登録しておく必要もある。

設定はCameraWindowから行う。まずはCANON iMAGE GATEWAYのアカウントを取得する。CANON iMAGE GATEWAYに画像をアップロードすると、SNSなど各種Webサービスを経由して共有できるようになる


URLや動画の投稿時に自動付加されるコメントも設定できる。メールによるオンラインアルバム招待にも対応している

 この機能、CANON iMAGE GATEWAYを積極的に使うユーザーには便利ですな。IXY 1からCANON iMAGE GATEWAYへ直接画像をアップロードすることもできるので、たとえば「旅先でCANON iMAGE GATEWAYへ画像をバックアップ保存する」というような用途にも向く。

 ただ、SNSなどでの画像投稿は、多くのユーザーにおいて既に常用しているクライアントアプリや画像共有サービスなどがあると思われる。ので、「おもしろい写真撮れたからtwitterにアップ♪」てなときには、この機能ではなく、スマートフォンとの連携機能を利用することになりそうだ。IXY 1とスマホを無線接続して画像を転送し、常用のクライアントアプリにメッセージと写真を入れて投稿、というのがフツー的な使い方だと思う。

 ともあれ、IXY 1の無線LAN機能、どの機能も実用的。無線LAN対応デジカメを探しているなら要チェックの実力派だと言えよう。

 ……ただ、このデジカメでもやはり、バッテリーの保ちが気になるところ。スマホ連携機能なんかは非常に便利であり、PCとのWi-Fi接続もかなり実用的。なのでついつい使いまくるわけだが、そうすると電池の減りも早いわけですな。さらに残念なことにこのカメラ、USB充電には非対応。カメラからバッテリーを抜き、付属のチャージャーを使って充電するしかない。まあ予備バッテリー買えば済むことですけどネ。


2012/4/2 06:00