DOSUNのLEDバイクライト3機種
■DOSUNのLEDバイクライト3機種
DOSUN(ドゥサン)のバイクライト(自転車用ヘッドライト)を3種類、発作的に購入してみた。DOSUNは台湾の自転車/アウトドア用ライトメーカー。購入した3種類は、S1-DELUXとA2、それからD1+(D1 PLUS)だ。どれも白色LEDを採用したライトである。
D1+を買った理由はスタパブログにも書いたが、「最強に明るい」というウワサを実際に体験したかったことが大きい。また、D1+のほかの2機種も購入したのは、エネループ対応で充電可能とか、自動照度調節機能といった新機能に興味を持ち、アッと思って、ウッとなって、衝動的に、ポチっとな。
てなわけで以降、これら3機種のバイクライトの機能や使用感についてレポートしてみたい。が、「ていうか結局ソレどんな感じで明るいの?」的な部分を、俺的結論を交え、とりあえず写真にてご覧いただきたい。
これらの写真はもちろん撮影条件を揃えて撮影した。条件は、レンズ絞り値f3.5、シャッター速度1秒、ISO1600、ホワイトバランス設定は太陽光(晴天)とした。
写真ではその明るさがなかなか伝わりにくいと思うが、S1-DELUXは小型のバイクライトとしては「まあまあ明るい」部類に入る製品だと思う。A2は「実用レベルで明るい」部類。D1+は「状況によっては過剰と言えるほど明るい」てな感じだ。ともあれ、以降、3機種それぞれについてレポートしてみたい。
■小型軽量で汎用性アリのS1-DELUX
まずは今回レポートする3機種中、最も光量の少ないS1-DELUXから。6825円で購入した。
S1-DELUXの明るさ(最大値)は130ルーメン。ルーメンについてはココに説明があるが、光源が発する光の明るさを示す単位ですな。スイッチは本体後部にあり、これを操作することで点滅/弱点灯/強点灯を切り替えられる。
電源は単三形アルカリ電池×2本か、単三形のニッケル水素電池×2本を使用する。ニッケル水素電池はエネループかエボルタが推奨電池となっている。また、付属USBケーブルを使えばエネループやエボルタをUSB充電することができる。
連続点灯時間は、容量2700mAhニッケル水素電池使用時で、点滅が20時間、弱点灯が6.5時間、強点灯が3時間となっている。
サイズは105×36×26mmで、質量は電池を2本入れた状態で150g。自転車への取り付けは付属の専用ブラケットで行う。ブラケットは2種類付属し、それぞれ25.4mmと31.8mmのハンドル径に対応するほか、ゴムスペーサー2種(1mm厚と2mm厚)も付属する。
130ルーメンの明るさを持つS1-DELUX。サイズは105×36×26mmで、質量は電池を2本入れた状態で150g | 本体後部に電源/発光パターン切り替えボタンがある。自転車に取り付けた状態で片手でも操作できる | 本体パッケージには自転車へ取り付けるためのブラケット類やスペーサー、USBケーブルが付属している |
電源は単三形アルカリ電池×2本か、単三形のエネループもしくはエボルタ×2本が推奨品となっている | エネループやエボルタをS1-DELUX本体から取り出すことなくUSB充電することもできる | 自転車への取り付けは付属ブラケットを使用。取り付け用ネジは指先で回せるタイプだ |
バイクライトとしての使用感は、俺的結論から言えば「真っ暗闇なら役立つが、街中など強い光がある環境下では頼りない」てな感じ。単三電池×2本を電源としたポケッタブルなバイクライトとしてはかなり明るいという印象ではあるが、街中なんかだと明るい光源なんかに目が順応しがちで、S1-DELUXが照らす路面は暗く見えがち。逆に、暗闇なら暗さに目が順応しつつS1-DELUXの明るめの照明により路面が見やすくなる。
それから1秒に2回程度明滅する点滅モードは、街灯などが少なくない環境下でもよく目立つ。自転車の存在を前方に知らせるためのフラッシュとしては実用的だと思う。
あとやはり、エネループやエボルタにも対応している点はイイですな。またS1-DELUX内に入れたエネループやエボルタをUSB充電できるのもナイス。ちなみにニッケル水素電池充電時間は、2700mAh容量×2本を90%まで充電するのに約4.5時間かかるとのこと。
ただ、エネループやエボルタを既に使っている人の場合、専用充電器なり急速充電器なりを持ってると思われる。ので、この充電機能はオマケ的な印象。やはり、通勤などで毎日使うバイクライトをランニングコストの低いニッケル水素電池で活用できるというメリットが大きい。フツーの電池にも対応するので、電池切れ時にはコンビニなどでアルカリ電池入手、みたいな安心感もある。
自車位置をアピールするフラッシュライトにもなり、暗闇なら実用的なバイクライトとして使えて、ニッケル水素電池にも対応してポケッタブル。徒歩で使うための懐中電灯として考えると、前方5m程度を十分明るく照らせたりもする。S1-DELUXは幅広く汎用できる小型LEDライトという感じですな。
■十分明るく高性能で省エネなA2
次にA2。旧機種となるA1は「わりと小型でかなり明るいLEDバイクライト」として定評があったが、そのA1にいくつかの新機能を搭載したのがこのA2だ。9660円で購入した。
A2の明るさ(最大値)は215ルーメン。スイッチは本体上部にあり、これを操作することで自動調光点灯/点滅/弱点灯/強点灯を切り替えられる。
電源は電池で、単三形アルカリ電池×4本か、単三形のニッケル水素電池×4本を使用する。ニッケル水素電池は、S1-DELUXと同様に、エネループかエボルタが推奨電池となっている。
エネループやエボルタを使った場合、これら電池をA2に入れたまま充電可能。充電には専用のACアダプタを使う。充電時間は、2700mAh容量×4本を90%まで充電するのに約6時間かかるとのこと
連続点灯時間は、容量2700mAhニッケル水素電池使用時で、自動調光点灯が5~15時間、弱点灯が10時間、強点灯が5時間、点滅が30時間となっている。
サイズは長さ120×径65mmで、本体はほぼ筒型。電池を4本入れたときの質量は225g。自転車への取り付けは専用のブラケットを使う(25.4mmと31.8mmのハンドル径用ブラケットと1mm厚と2mm厚ゴムスペーサーが付属)。ブラケットやゴムスペーサーはS1-DELUXのそれと同じもの。A2/S1-DELUXの装着に一応の互換性はあるが、自転車への取り付け時、ブラケットの取り付け方向が逆になるため「ひとつのブラケットでS1-DELUXとA2を取っ替え引っ替え使う」のは現実的でない。
A2の明るさは215ルーメン。サイズは長さ120×径65mm(筒型)で、電池込みの質量は225g。ポケットに入れるには大きい | スイッチは本体上部前方にある。その周囲はヒートシンク。またスイッチ右前方には自動調光点灯用のセンサーがある | 電池は単三形アルカリ電池×4本か単三形のニッケル水素電池×4本を使用。二次電池はエネループとエボルタが推奨品 |
本体取り付けハンドルにA2をセットしたところ。A2には写真のようなストラップが付属している。これを落下防止に使うといいかもしれない | 弱点灯にしたところ。10m程度先まで明るく照らせる。路面の視認性も良好。独自の配光で、前方と車輪直前を同時に照らせる | 強点灯にしたところ。15m程度先の路面や車輪直前を明るく照らせる。障害物などもよく見え、ある程度の速度を出して走れる |
バイクライトとしての使用感は、夜間にある程度スピードを出して走ってもわりと安心感があるということ。けっこー明るいっす。また、独自の配光により、自転車の前輪のすぐ前と、10~15mくらい前方の路面を同時に照らせる。前述のS1-DELUXだと「ママチャリ速度で走行中に路面の段差で前輪が跳ねてビックリ」てなことも少々あったが、A2だと手前も奥も十分よく見えるのでママチャリ速度よりも速く走れると思う。
が、たとえばロードバイクなど細いタイヤの自転車の場合、縦方向の溝などを踏む危険を考えると、A2使用時でも速度を抑えるべきだろう。明るいとは言っても、路面の詳細を一瞬で把握できるほどの視認性はもたらしてくれないからだ。
それから、街中での走行に好都合なのがA2の自動調光点灯。SAL(Self Adjustable Luminance)システムと呼ばれ、周囲の明るさに応じて光量を30~100%の間で滑らかに自動調節してくれる調光機能だ。この機能を使うと、街灯があったりなかったりするような明るさが不均一な夜道でも、適切な明るさで路面を照らせる。
てゅーか「明るさが均一な夜道」なんて都市部の一部道路に限られるように思う。フツーはまばらに街灯などがある道。そういった一般的な夜道をSALシステムを使って走ると、不安を感じることがより少なくなって快適だ。また「発光の強度を30~100%の間で自動調節する」ことは、電池寿命を延ばしてくれるという観点でもありがたい。
A2はわりとコンパクトで、巧くすればロードバイクのサドルバッグ内にも収まる容積だ。また前述のようにかなり明るく、夜間走行時の実用性が高い。エネループとかを使えるのでランニングコストも抑えられますな。てな感じで優れたバイクライトだと思うのだが、残念な点がひとつ。
それは「ハンドルに対しブラケットをわりと強固に固定しておかないと、走行時にA2が前方に傾いてしまう」という問題。前の機種であるA1にも同じ問題があった。これは、ブラケットにライトを取り付けたときに、A1やA2の重心がハンドルの2cmくらい前方に位置してしまうことからくる問題だと思う。
要は、場合によっては走行中にA1やA2が「前におじぎしてしまう」という症状ですな。どういう場合に「おじぎ」しやすいかと言うと、たとえばタイヤの空気圧を高めにしたロードバイクなどで、やや粗めの舗装路を走っていると、ハンドルに伝わる振動でライトが傾きやすい。試しにフロントサスペンション付き/空気圧低めのセミスリックタイヤのマウンテンバイクにA2をセットして走ってみたが、こちらのほうが「おじぎ」しにくかった。
これを防ぐには、ブラケット取り付けネジをかなり強く締める必要がある。が、そのネジが指で回して締めるタイプのネジなので、なかなか強固には固定できないのだ。良いライトなのに、ブラケットの取り付け方によっては問題発生。悩ましいトコロですな。
しかしこの点さえどうにかクリアすれば(テープやワイヤで固定するなどすれば)、A2は多くのライダーの要望を満たしてくれるバイクライトだと思う。
■強烈な明るさのD1+で別世界の入口に……
最後にD1+(D1 PLUS)。旧機種となるD1は「物凄く明るい!!」と、その明るさが「!!」付きで表現されるほどの製品だったらしい。が、価格が3万円オーバーだった。D1+はD1の付属品や一部機能を見直し、明るさを少しUP(500→513ルーメン/最大)しつつ、実勢価格を2万円少々に抑えた新型である。2万475円で購入した。
D1+の明るさ(最大値)は513ルーメン。ライト上部にふたつのスイッチがあり、これを操作することでレギュラーモードの弱点灯と強点灯、ブライトモードの弱点灯と強点灯を切り替えられる。点滅モードはない(恐らく点滅させると明るすぎる点滅で周囲に迷惑になるため)。
ちなみに、D1+にはCREE社のMC-E系LED───ひとつのLEDモジュール内に4つのLED素子が入ったデバイスを採用している。この4つのLED素子のうち、2つだけ光らせるのがレギュラーモードで、4つとも光らせるのがブライトモードというわけだ。
D1+の電源は付属の専用UP2リチウムイオンバッテリー(7.4V/3050mAh)。ライトとは別になっており、ライトおよびバッテリーから延びたケーブルを接続して使う。この電池への充電は付属のACアダプタで行う。充電時間は約6時間。
連続点灯時間は、レギュラーモード弱点灯で約7時間45分、レギュラーモード強点灯で約4時間30分、ブライトモード弱点灯で約5時間45分、ブライトモード強点灯で約3時間30分となっている。バッテリーは単体でも販売されていて、実勢価格は6600円前後だ。
それとこのバッテリー、ユニークなのが5VのUSBバスパワー出力がある点。一般のUSBケーブルをつなぎ、USB充電可能なデバイスに給電/充電を行える。のだが、説明書には「利用は自己責任で。輸入元も販売代理店も責任を負えません」的な一文が。
D1+のサイズは、ライト部が61×50×43mmで重量が90g、バッテリーが140×60×25mmで重量が200g。合計290g。ライト部は付属する2種類どちらかの専用ブラケットを使ってハンドルなどに装着し、バッテリーは付属の面ファスナーベルトで自転車のフレームなどに装着して使う。
D1+は最大513ルーメンという明るさを持つバイクライト。ライト部とバッテリー部はセパレートとなっている | D1+ライト部上後方にはふたつのスイッチが。左はLEDチップ点灯数切り替えで、右が電源/出力切り替えとなる | ライト部とバッテリー部を双方から延びるケーブルで接続した様子。合計ケーブル長は約36cm。扱いやすい長さだ |
専用バッテリーは専用ACアダプターで充電する。充電時間は約6時間 | 5VのUSBバスパワー出力も得られる。スマホとかを充電できるわけだ | D1+付属品一式。持ち運びや保管に利用できるバッグも付属している |
自転車のハンドルに取り付けるための樹脂製ブラケットは2種類付属している。ステム上にもハンドル左右にも取り付けられる | ライト部とブラケットは付属のネジで止める。ネジ止めしてもライトは左右に動かせるので、照射方向をほぼ自由に設定できる | ブラケットは付属ゴムバンドでハンドルに固定する。このゴムバンドが細めなことが不安だが、実使用上とくに問題はなかった |
ハンドル左右に固定する(短い)ブラケットを使ってライトをセットしたところ | ステムの上に固定する(二股の)ブラケットを使ってライトをセットしたところ | バッテリーは付属の面ファスナーベルトを使って自転車のフレームなどに装着 |
レギュラーモード(2個のLEDチップを発光)で点灯させたところ。左が弱点灯(出力60%)、右が強点灯(出力100%)。弱点灯でも10~15m先の障害物などをしっかり目視できる程度明るい。強点灯にすると、30m以上先にある標識まで十分目視できる |
ブライトモード(4個のLEDチップを発光)で点灯させたところ。左が弱点灯(出力60%)、右が強点灯(出力100%)。レギュラーモードと同様、独自の配光で手前から奥までを照らす。弱点灯でも30m以上先まで明るく照らす。強点灯は圧倒的明るさ |
バイクライトとしての使用感だが、D1+、夜道で使った瞬間ビビりましたよええ。原付バイクのヘッドライトより明るく、軽自動車のハロゲンヘッドライトより明るい感じで、道行く人のほとんどが「あれ、ナニ?」的にこちらを見るほど目立つ明るさである。対向車などの多い街中で、最も明るいブライトモード強点灯で使ったりすると、十分明るくて非常に役立つハズではあるが、光の向きを慎重に設定しないとトラブルのもとにもなりそうなくらい、チョ~明るい。
その配光も良い。前述のA2と同様、D1+も独自の配光で、手前と奥を同時に照らす。自転車にセットして走ると、まあ普通はいちばん弱い光であるレギュラーモード弱点灯でも十分だ。このモードでも、前述のA2の強点灯程度の明るさがある。また、このモードだと約7時間45分の連続点灯が可能だ。
このくらい明るく、手前から向こうまで奥行きのある配光だと、ロードバイクでの高速走行も可能だと思う。ライトとバッテリーの合計質量は290gと重いわけではないので、長距離=長時間走行するツーリングなどの装備としても良さそうだ。たとえばツーリング途中のトラブルなどで時間を食われ、帰途で日没となっても、このくらい明るく実用的なライトがあれば安全に帰宅できるのではないだろうか。
それから、D1+は今回レポートした3機種中、いちばんスマートに自転車へ取り付けらるようにも思う。ゴムベルトで装着するブラケットは強度的に少々不安(ベルト切れたらヤだなぁ的に)だが、実際はそういうことにもならなさそう。ライト部とバッテリー部がセパレートで軽く、ライト部が重くなく重心もほぼハンドルの真上にある。このためハンドル上でライト部が十分に安定しているようだ。また、フレームへのバッテリー固定は、付属のベルトの固定力/滑りにくさが良好なため、落下などの不安は感じなかった。
なお、D1+のバッテリーは前述のとおり5VのUSBバスパワーを出力できる=USB充電対応機器を充電できる。試しにiPhone 4とiPad 2にそれぞれ給電してみたら、両方とも充電できた。また、ライト(D1+)を点灯中でも充電できた。さらに、ACアダプタとバッテリーとを接続中でも充電できた。USB電源としてどういう仕様/性能でどういった制限があるのかは不明だが、ツーリング先でのスマートフォンやGPS機材などを充電可能な緊急バッテリーとしても利用できそうだ。
問題は価格ですな。前述のとおり2万円オーバーのD1+。物好きな俺の観点から見ても「自転車用ライトとしてはかなり高価」だと思う。
にしても、D1+、も~スゲく明るくて、実用性云々よりも「この明るさを真夜中のサイクリングロードで堪能したい!!」的な昂ぶりがある。そして実際に明るさを堪能!! 楽しい!! アガる!! これはもうバイクライトを試すためだけの夜間サイクリングっていうのがアリな気がする!!
とか思って超明るいLEDバイクライト方面をイロイロ調べたら、先人はとっくにそうしていたもよう。超明るいバイクライトの世界を、おもしろおかしく、夜な夜な、繰り広げていたのであった。また、余談ではあるが、D1+に勝るとも劣らないっていうかD1+よりもさらに明るいのに、D1+よりもずっと安いバイクライトも多々存在していた。個人輸入になっちゃうんですけどね。でも……この世界の魅惑的なライトにも手を出していきたいなぁ、とか思った次第である。
2011/11/7 06:00