iCloudが感動的な件
■iCloudが感動的な件
発作的にアップルのiPhone 4S(キャリアはau)を購入してから、約1カ月が経過する。で、現在、iPhone 4SなどのiOS 5搭載デバイスにおいて、俺がいちばん感激しているのがiCloudである。
アップルのiCloudはiOS 5搭載デバイスユーザーのためのクラウドサービスだ。iPhoneやiPad、iPod touchで利用できる。設定は非常に簡単な部類だろう。 | PC上のデータをiCloudに「上げて共有」することも可能。PCとiOS 端末がシンクロナイズするわけですな。画像はWindows PC用のiCloudコントロールパネル。 | ブラウザ上で使えるiCloudウェブクライアントからもデータ閲覧や入力が可能(特定のデータに限られる)。カレンダーへの予定追加や削除、編集も行える。 |
iCloudはアップルが提供しているクラウドサービス。iOS 5搭載デバイスのためのサービスで、現在はiPhone 3GS、iPhone 4と4S、第3世代と第4世代の iPod touch、iPadとiPad 2で使える。
何ができるかは、いっぱいデキまくりなので一口では言えないが、複数のiOS 5搭載デバイス間で予定や連絡先や写真などを共有できる。データ種類によっては、MacやWindows PCにもその共有範囲が広がる。
できることを具体的に例えれば、iPhoneで撮った写真がすぐにiPadやPC上に出現したり、iPadで入力した予定がすぐさまiPhoneやWindows PC上(のウェブブラウザやOutlook)に現れたりする。デバイスからの入力がすぐiCloudにアップロードされ、そのデータをiCloud対応各端末/ソフトウェアで即共有できるってわけですな。
それから、iPhoneでアプリを買ったら、そのアプリが自動的にiPad上に現れたりなんかもする。iOS 5デバイスの自動バックアップ(Wi-Fi)経由も可能で、バックアップからの復元も行える。
予定に連絡先に写真などなど、さまざまなデータを保持させられるiCloudだが、クラウドサービスとしての使用料や容量は? 容量5GBまでは無料で使える。それ以上は、15GBが1700円、25GBが3400円、55GBが8500円(それぞれ1年間の料金)となる。
え? じゃあボクのiPhone 4は16GBで、アプリもけっこう入っているから、iCloudにバックアップして安心感を得るためには容量15GBコース(年間1700円)あたりが必須? とか考えがちだが、そういうわけではない。実際の話、俺の場合はiPhone 4S(容量64GB)とiPad 2(容量64GB)のバックアップをiCloud上に取っているが、iCloud上でのバックアップ合計容量は700MB以下程度で済んでいる。詳しくは後述するが、基本、多くのユーザーは無料のままiCloudを活用できると思う。
iCloudについてイキナリ細々したことから書き始めてしまったが、以降、その使い心地を中心に俺的印象などを述べてみたい。が、ひとつの俺的結論を言えば、iOS 5対応デバイスなのにiOS 5へのアップグレードを行っていない&iCloudを利用していないのはモッタイナイと言えよう。iCloudを使うと、これまでの細々したiOSデバイスにおける「ムズムズ」や「イライラ」がスカッと解消されるケースが多いからだ。
■全部フォトストリームになぁれ~♪
まず、iCloudを使い始めるのに必要なモノあたりから。要るのは、基本的にはiOS 5搭載デバイスとApple IDだけ。設定方法はココにありますな。iOS 5対応デバイスにまだiOS 5を導入していない場合、デバイスをPCに接続してiOS 5へとアップグレード(無料)する必要がある。
それから、iCloudの利便の多くは「複数のデバイス間でのデータ共有」にあったりする。複数のiOS 5搭載デバイスを平行利用していたり、iOS 5デバイスとPCを使っていたりしないと、iCloud全体の良さを実感しにくいわけですな。フォトストリームやバックアップ機能あたりはiOS デバイス1台利用中って場合でも役立つんですけどネ。
さて、俺の場合、iPhone 4S、iPad 2、それからWindows PCをガシガシ利用中。この環境でiCloudを使い始めた。そして最初にビビったのがフォトストリーム。趣味においても仕事においても生活においても「これまでの面倒が激減」し「デジタル写真/画像がより身近に」なった。同時に「全てのデジカメはフォトストリームに対応しやがれ」とか激しく思った。
フォトストリームは、Wi-Fi/Ethernet接続されたiOS 5搭載デバイスやPCなどの間で、画像をサクッと共有する機能。いろいろな利用パターンがあると思うが、使用イメージは「iPhoneで撮った写真がすぐ各機器上にも現れる」というもの。たとえばiPhoneで撮影すると、撮った写真が(iPhoneのカメラロールに残ると同時に)iCloud上へ送られ、すぐにiPadやiPod touchやApple TVで写真を見られるようになる(写真をプッシュ送信する)。なお、フォトストリームは動画の同期には対応していないようだ。
フォトストリームは撮った写真をiCloudへ自動送信する機能。超便利っすヨ!! | 写真はWi-Fi/Ethernet経由で送受信される。3G回のみ接続時は送受信されない | iCloud上の写真はフォトストリームアルバムで見られる。ほかデバイスも同様 |
カメラロールへ保存される写真は全てフォトストリーム(iCloud)に送信される | Windows PCの場合、iCloudコントロールパネルでフォトストリームを利用可能 | 画像のPCへのプッシュ送信、PCからiCloudへの画像自動転送にも対応している |
俺的に感激したのは、フォトストリームはPCにも画像をプッシュ送信すること。また、PC上の写真を容易にiCloud上へ自動転送できることだ。なお、PC上でのフォトストリーム利用は、MacならiPhotoまたはApertureから、Windows PCの場合はiCloudコントロールパネルがインストールされている必要がある。
たとえばiPhone 4Sでフォトストリームを使うと、撮った写真がiPad上でも見られるようになるほか、PC上の専用フォルダにも写真がプッシュ送信される。ので、たとえば「後日にiPhoneなどで撮った写真をPCに転送して整理整頓」する手間が激減する。何しろ転送が自動なので「カメラ付きiOSデバイスで撮った写真はいつもPC上に全部ある」という状態になるのだ。
それともうひとつ。フォトストリームでは「カメラロールに保存された写真は全部iCloudに送信」するようだ。つまり「iPhoneなどでスクリーンショットを撮ればPC上のフォルダに自動でそのスクリーンショットが現れる」のだ。仕事的に超大助かり!! これまでは、スクリーンショット後にいちいちiPhoneなどとPCをケーブル接続して画像を転送していたが、その手間一切ナシとなり物凄くラク~♪
ただし、フォトストリームにはいくつか制限がある。ひとつはWi-FiもしくはEthernet接続経由でないと画像のiCloudへの送信やiCloudからのプッシュ送信が行われないこと。たとえばiPhoneやiPadが3G接続のみの場合は「即時的な画像共有ができない」のだ。3G接続環境しかない場所で写真を撮った場合、Wi-Fi接続されてから画像の送信やプッシュ受信が行われる。
それから、iCloud上に送信された写真は30日間だけ保存される。それを過ぎたら削除されちゃうんですな。また、iPhoneなどiOSデバイス上のフォトストリームアルバムには、最新の1000枚までの写真が送信/表示される(PC上へは全ての写真が送信される)。
ちなみに、前述の「自動バックアップ」や「無料だとiCloudの容量が5GBまで」の件だが、その容量とフォトストリームは関係ナイ。フォトストリームで何枚写真が扱われようと、iCloud使用容量は変化しない。ただし、通常はフォトストリーム利用時はカメラロール内の写真も増える。カメラロール内の写真もバックアップ対象にしている場合、iCloud容量を圧迫することになりがちなので注意が必要ですな。
にしても、フォトストリーム、写真との付き合い方が大いに変わったりする。フォトストリームにより、iOS 5搭載デバイスにおいては「撮った写真は各機器ですぐ見られるもの」ということが既に常識化しつつあるかもしれない。フォトストリームは、誰にとっても容易なデジタル写真ハンドリングという点において、ひとつの理想形だと思えるのであり、前述の「全てのデジカメはフォトストリームに対応しやがれ」はマジである。
■Outlook2010とiOSデバイスが一発同期!!
iCloudは、iOSデバイスのカレンダー、メール(iCloud付属の無料me.comメール)、iOSデバイスの連絡先、リマインダー、ブックマーク、メモなどのデータをすべて一括管理する。つまり、これらデータがiCloud上に置かれるようになり、iPhoneからでもiPadからでも、いつも同じデータを編集/閲覧できる。
たとえばiPhoneで入力したメモは、自動的にiPad上にも現れる。iCloudウェブクライアントなどから入力した連絡先は、やはりiPhoneやiPad上に現れる。メールはme.comメールを使う必要があるが、各デバイスなどえ共有できるようになる。iCloudを核とした共有がなされるわけですな。
ちなみに、設定はiOSデバイスの[設定]→[iCloud]で共有させたい項目をオンにするだけだ。
iPadでiCloudの設定をしているところ。項目を共有したい各iOSデバイス上で設定をオンにする必要がある | iPadでメモ書きをしているところ。大きめ画面&ソフトウェアキーボードでのメモ書きは意外に快適なのだ | iPadで書いたメモがすぐにiPhone上に!! iPhoneで加筆修正するとそれがすぐiPad上に反映されたりもする |
iCloudウェブクライアントから予定を入力したところ | これもまた、すぐにiPad上のカレンダーに現れるのだ | もちろんiPhone上にも。非常に快適なクラウドである |
個人的にはメモアプリの実用性アップが好印象。これまでiOSデバイスのメモ機能は覚え書きやテキストの一時貼り付け先程度にしか利用していなかったが、iPhoneやiPadの間でメモが同期されるとなると非常に活用幅が広い。また、me.comメールアカウントを利用していれば、iOSデバイス上で書いたメモがiCloudメールのNotesに現れるので、実質iOSデバイス以外の多くのデバイスでメモを読むこともできる。なお、試してみたところ、メモはWi-Fi経由でも3G回線経由でも同期可能のようだ。
それから俺の場合、痛快だったのがiCloudとMicrosoft Outlookとの同期。Outlookのメール、アドレスデータ、カレンダー、タスクを自動的にiCloudと同期してくれる。……同期ってよりはOutlookのデータファイルがiCloud上に置かれるという印象で、OutlookがiCloudのクライアント化するという雰囲気ではある。が、ともあれこれもまた苦労することなく、Outlook/iOSデバイス間で各データを楽勝にて共有できるようになる。
Windows PC用のiCloudコントロールパネル。アドレスやカレンダーなどの同期の対象がOutlookとなっている | OutlookのアドレスやカレンダーのデータがiCloud上に統合される。iCloud上にデータファイルを置いたようだ | たとえばOutlook上で入力したタスクはすぐiOSデバイスのリマインダーアプリ上に現れる。逆も然り。便利♪ |
Outlookと各種モバイルデバイスとのデータ同期にはいつも苦労してきた俺なんですけど、最もスムーズに使えるのがiCloudだと感じた。iOSデバイスとiTunesのWi-Fi同期が可能となった現在、iOSデバイスとOutlookもまた無線で各データを共用するようになって、ホントに手間や面倒が激減したと感じている。
ただ、ひとつ問題が。試した結果から言えば、Google Calendar SyncによるOutlook/Googleカレンダー間の同期が超面倒になった感じ。
iCloudでOutlookの各データを扱うようになると、データの実体はiCloud上に統合されるもよう。なので、Google Calendar SyncでOutlookの予定表をGoogleカレンダーと同期させる場合、iCloud上のデータとは別に、Outlook上に予定表データを用意する必要がある。たとえばiCloudデータ内の予定を、Outlookデータファイル内にコピペするなどだ。Outlook上で作業は完結するが、コピペ自体に手間がかかる。これは連絡先についても同様だ。
この点、iOSデバイスユーザーでありかつ、Android端末ユーザーでもある俺にとってはビミョー。Googleカレンダー、各所で多数ユーザーが個人的~共有して活用している。iCloudは便利だが、iCloudの利便とともにGoogleカレンダーのデータを扱いたい人は少なくないように思う。どうにかiCloudとGoogleカレンダーが同期できるようになればと思う。
ちなみに俺の場合、メールはGmailを中心に活用中。ずいぶん以前からPoboxというメール転送サービスを使っているのだが、最近ようやくGmailをどこから使っても返信先をpoboxドメインにする設定が完了したのだ。具体的には……ていうか長くなるのでこの件はまたの機会に。
iCloudにより、iOSデバイスの各機能(連絡先、カレンダー、メモ、リマインダーなど)の実用性がかな~り高まった気がしまくる。とりわけビジネスツールとして手間がかからずわかりやすく、活用幅が広くなったと思う。スマートフォンに次いで、そのうち多くのビジネスマンがタブレット端末を多用するようになるような気がしている俺だが、iCloudによりiPadがズギャッと先行したような気がする。
■ユー!! iCloud使っちゃいなYo!!
iCloudを使い始めると、そのいろいろな機能に対して都度「へぇ、いいねえ」という発見をするようになる。
たとえば、友達を探すアプリを使えば友人や家族の居場所を(相手の認証を受けたうえで)探せる。Documents in the Cloudを使えば、iCloud対応アプリの書類を全てiCloud上に置くことができ、各デバイスで共有できる。まだ対応アプリが少ないが、GoodReaderのiPad版とiPhone版の間で超楽勝にてファイル(PDFやテキスト)を共有できたときには比較的に震えた。
そのほかにも便利だったり新体験だったりする機能と多々出会えるiCloudだが、ナニゲにバックアップ機能が便利ですな。文字通りiOSデバイス上のデータをiCloud上へバックアップしてくれる機能で、バックアップは手動でも自動でも行える(Wi-Fi接続環境で充電状態にあると自動バックアップ)。
iCloudへバックアップされるデータは「ダウンロードした音楽、アプリケーション、本、カメラロールにある写真とビデオ、デバイスの設定、アプリケーションデータ、ホーム画面とアプリケーションの配置、メッセージ(iMessage、SMS、MMS)、通知音」となっている。自分でリッピングして入れた楽曲や動画などを除けばほぼ全部のデータですな。もちろん、バックアップからの復元も可能だ。
iOSデバイスの[設定]→[iCloud]→[ストレージとバックアップ]でバックアップを設定する | [iCloudバックアップ]をオンにするだけでよい。ただし、後述の容量関連の設定には要注意 | iCloudに何がバックアップされているかは各iOSデバイスからチェック可能。容量もわかる |
ただ「自分のiPhone/iPadだと容量が大きくてバックアップが不安」というユーザーが多かったりする。これは、iCloudを使い始めて最初にバックアップを取るとき、多くのユーザーが設定変更ナシでバックアップを取り、無用にiCloud上の容量を使ってしまうためだと思われる。
この場合、アップルから「iCloudの無料保存容量は5GBです。現在xxGBを利用中であるため、iCloudストレージの使用量がほぼ上限に達しています。ストレージが一杯になると、iCloudでのご利用のデバイスのバックアップ、またはアプリケーションで作成した書類の保存が不可能となります」的な不穏なメールが届く。そして「え~ダメじゃん使えないじゃん」とか「むむむ、有料ストレージを買わせる策略か?」などと、iCloudバックアップを敬遠したりなんかもする。
が、大半のケースでiCloudの無料保存容量の5GBでバックアップを行える。というのは、iCloudではiOSデバイス上の全てのデータをコピーしてバックアップしているわけではないからだ。たとえばアプリは丸ごとバックアップしているのではなく、アプリのインストール関連情報やそのアプリに保存されたデータのみがバックアップ対象となっているようだ。
バックアップによってiCloud上の容量を極端に減らさないためのポイントはいくつかあるが、多くのユーザーに共通するのはカメラロールをバックアップ対象にしないこと、バックアップ容量の大きなアプリはバックアップ対象から外すことなどがある。
アプリ内にキャッシュやファイルを保存するタイプだと、バックアップ容量が大きくなりますな | 内部にファイルやキャッシュをあまりためないアプリの場合、バックアップ容量もかなり小さい | アプリのなかにはiCloudバックアップ時に容量を一切消費しない(データなし)ものもあるようだ |
てな感じ。なので、iCloudバックアップを使い始める前、たとえばカメラロール内のファイルをPCに転送/バックアップしてしまい、以降はフォトストリーム経由で写真をPCに転送するようにし、カメラロールをiCloudバックアップ対象から外せば、iCloud容量をだいぶ節約できる。同時に、バックアップ容量がミョーに大きなアプリはiCloudバックアップ対象から外したり、あるいは断捨離的な気分で思い切って削除&整理するといいだろう。
さて、後半やや込み入った話になってしまったが、iPadや新しめのiPhone/iPod touchユーザーにとって、とにかくiCloudってヤツはも~非常に役立つサービス。iCloudを使うためだけにiOS 5対応デバイスに乗り換えるってのもアリだと思う。クラウドサービスでここまで喜べたのは初めての俺である。アップルに感謝。マジでホントに、ゼヒ一度、iCloudに触れてみてほしい!!
2011/11/14 06:00