ペットから来る癒し写メ「てれeにゃんこ」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ペットから来る癒し写メ、てれeにゃんこ

 おもしろそーなのでテレインフォの「てれeにゃんこ」というモノを借りてみた。コレ、ケータイやPCなどに対し、猫がメッセージとともに猫写真を送ってくれる的なハードウェア&サービスである。

テレインフォのてれeにゃんこ。サイズは幅140×高さ45×奥行き90mmで、マイコンやCMOSカメラを内蔵する。ペットの動きを感知すると静止画を撮影し、その写真にメッセージを添えてメールするというハードウェア&サービスだてれeにゃんこが自動撮影し、写真とメッセージを付加したメールがケータイに届いたときのイメージてれeにゃんこ本体のCMOSカメラは20万画素で、メールに添付される写真は320×240ピクセル。画像上に撮影日やペット名を埋め込むことができる

 てれeにゃんこは、マイコン+CMOSカメラ+PHS端末を組み合わせたハードウェアで、ペットの動きを検知して特定のメールアドレスにメールを自動送信するというもの。上の写真のような小箱を設置し、カメラ(小箱の丸い穴)がペットを感知すると、ペット写真+ペットの語り口風の癒しメッセージをメールする。

 例えば、家から出ているとき、ペットが家のなかで動くわけですな。それをてれeにゃんこが感知。写真撮ってメッセージ付けて、飼い主のケータイやPCにメール。そのメールにより、ペットがナニをしているか、無事かどうか、相変わらず可愛いニャとかイロイロ思って安心したりニヤついたりするわけですな。

 てれeにゃんこの使い方はカンタンで、基本的には本体にACアダプタを接続して設置するだけ。あとはペットがてれeにゃんこの前に来たりすれば、ペットからの癒しメールが届く。

 って、メールアドレスの設定とかは? てれeにゃんこは、ハードウェアをレンタルしてのサービスで、レンタル申込時にペットからの癒しメール送付先アドレスを(テレインフォ側に)知らせると、メーカー側で各種設定を済ませてくれる。ので、ユーザーとしてはレンタル契約を結べば、あとは設定などの手間はナシというわけだ。

 ちなみに、レンタル料金は12カ月レンタルで月額4980円、24カ月レンタルで月額3980円となり、申込時に初期登録費用として4800円がかかる。通信費用は料金に含まれる。メールアドレスは基本的には1件だが、配信先は追加かのうで、1件追加するごとに月額150円が加算される。

 さておき、てれeにゃんこを約半月程度使ってみたので、どんな感じで使えるのか、癒しメールが送られてくるとどんな気分なのかについて書いてみたい。



どんなメールが来るのか?

 てれeにゃんこは、要はペットの動きを感知し、写真を撮って、(あらかじめ用意された)メッセージとともに、画像添付メールを特定のメアドに送るというものだ。しくみ自体は平易だが、さて、どんなメールが届くのか? 以下に実際に届いたメールの一部を載せてみる。

ペットからのメールがauのMobile Hi-Vision CAM Woooに届いた状態を再現したもの。こんなふうにペットからのメールが毎日数通~十数通程度届く。メールの内容はテキストメールにJPEG画像が添付されたもの。画像などの表示のされ方は端末によって異なるが、だいたいこんな雰囲気に。メッセージ内容は意味深だったりお気楽だったり。メッセージは約1000種類が用意されているとのこと。
こちらはBlackBerry Boldでペットからのメールを受けたところ。BlackBerry Boldはやや特殊な端末のため、ペットからのメールがちょっと見づらいかも!?BlackBerry Boldの場合、十分大きなサイズの写真とメッセージを同時に見ることができなかったりする。

 てな感じになる。単なる画像添付メールだが、メールの件名や本文が、なんか意味ありげ。ときには癒し系の内容で、ときには哲学風味のあるものだったり。

 添付されるメールは、てれeにゃんこのCMOSカメラが捉えたものになる。てれeにゃんこのカメラが巧くペットを感知&撮影できれば、上のような写真になる。

 ちなみに、撮影やメールの送信タイミングは、てれeにゃんこの前でペットが何かしらの動きを見せたとき。てれeにゃんこ本体では、カメラが捉えた映像をほぼ継続的に解析しており、画像の25~85%の変化を「ナニカが動いた」と判断し、撮影&メール送信を行う(100%動いた場合などは本体が移動されたケースが多いため撮影などは行われない)。

 こういうシクミなので、ニャンコでなくてもペットでなくても、例えば人の足の動きを捉えたとか、落ちてきた洗濯物を捉えたという場合も撮影&メールすることがある。

 それから、てれeにゃんこが捉えた映像に変化がある都度メールするのかというと、そうはならない。最後にメールを送信してから1時間以内は、てれeにゃんこがナニカの動きを捉えても撮影やメール送信動作を行わない。この仕様は、恐らく、ペットなどがてれeにゃんこの前で動き続けているとき、メールを何通も送信しまく(ってスパム連続受信みたいな状況にな)ることを防止しするためだろう。

 ともかく、てれeにゃんこの前でナニかがちょっと動くと、上のようなメールが自動送信される。で、メール送信の頻度は、基本的に1時間に1回程度(かそれ以下)になる、というわけだ。

 ちなみに、てれeにゃんこは通信回線としてPHS回線(日本無線のBモバイル)を使うので、契約時は使用場所が通信可能エリアかどうかご確認を。



最初の数日はちょっと面倒

 てれeにゃんこを使いだしてからの数日、拙者はけっこー試行錯誤した感じ。てのは、てれeにゃんこ本体をポンと置いておくだけでは、うまく利用できないのだ。これはてれeにゃんこ側の問題ではなく、いわば撮影環境およびペットの生活エリアが関係する事柄だ。

 例えば、てれeにゃんこを光量の足りない場所に設置すると、てれeにゃんこ自体は一応ナニカの動きに反応してメールするものの、その写真は見られたモンではなかったりする。

 あるいは、カメラの向きがイマイチだと、当然ではあるが、ペットが写真に収まっていなかったりする。

 光量も十分あり、ペットの体全体が十分に写るような位置にセットしてもイマイチなケースがある。ペットがその位置に全然来なければメールの頻度が下がるし、その位置がペットの通り道だったりすると通過中の状態しか写らないことになる。

拙宅猫が頻繁に来るが昼も夜も少々暗い位置に、てれeにゃんこを設置した例。夜は暗くて全然写らないのであった。が、てれeにゃんこ自体は猫を感知している。同じく暗い場所。だが、日が出て明るくなると多少は内容がわかる写真になる。しかし、てれeにゃんこ本体(カメラ)と猫が近すぎて、イマイチよくわからない写真に。今度は昼間なら十分明るい場所に設置。しかし、この場所、猫が頻繁に通過する通り道なので、猫の姿は捉えられていない。
猫の昼寝場所を狙って設置した。が、この場所での昼寝前、敷いてある座布団上で猫がフミフミしつつウロウロするので、猫全体が写るケースが少なかった。猫頭とか猫胴体ばっかり。今度は猫のハンモックを狙った。が、カメラの向きが悪く、前足しか写っていない。猫が昼寝をしたり毛繕いをしたりする場所を狙ってセット。以降、良好な写真が撮れるようになった。

 てな感じで、使い始め、てれeにゃんこ(カメラ)セット位置を多少は試行錯誤する必要がある。ちょっと面倒といえば面倒ですな。

 ちなみに、使っていてわかったが、てれeにゃんこの電源を落として再度電源を入れる(ACアダプタ挿抜する)と、てれeにゃんこ内部で時刻調整を行うための撮影とメール送信が行われる。要はACアダプタを抜いて挿すと、撮影&メール送信されるわけですな。

 この挙動を利用すれば、ケータイなどに届く写真を見つつ、てれeにゃんこセット位置を調整できる。ただ、一日を通して光の状態がどう変わるかは、やはりある程度てれeにゃんこを使っていかないと把握できないだろう。

 こういった調整(!?)は、てれeにゃんこ使用開始当初にはきっと必要になると思うのだが、そこで感じたのが「てれeにゃんこ本体に画像確認用モニタが付いていればいいのに」ということ。超小型でもモノクロでも、てれeにゃんこ本体が捉えている映像を一時的に確認できれば、てれeにゃんこ設置が非常にラクになるだろう。

 なお、てれeにゃんこ本体下部には三脚用のネジ穴がある。また本体も軽量(質量約250g)なので、小型三脚と組み合わせて使えば設置の自由度がグッと高まる。



メールが届くとどんな気分?

 てれeにゃんこからの画像添付メールwith不思議メッセージが届くと、どのよーな気分になるのかについては、ユーザーごとに違うと思うが、拙者の場合はわりと愉快な気分に。

 拙宅は猫の2頭飼いだが、家を留守にしていたり、仕事場にこもっていたりすると、ときどき猫写真がケータイに届くわけですな。それを見ると「あ~本日現在もノンビリ昼寝してるな」とか「ウロウロしているらしい」とか「ケンカ中らしい!!」てな感じで、フッとストレスが抜けたりする。写真に猫の尻尾だけ写っているような場合でも「元気にしているっぽい」と安心したりする。

 送られてくるメールは、具体的には以下のようなもの。飼い主的に、こういったメールが届くと、センサが感知して機械が自動撮影してメールが自動送信されてくるとは知りつつも、やはり、和む。

件名は「あなたのともだちです。」で、本文は「どこまでもわたしはあなたのともだちです。」となっていた。猫は日向ぼっこ中。画質的にはイマイチだが、癒しメールと言えよう。件名は「笑顔があふれています。」で、本文は「あなたの顔には、すてきな笑顔があふれていますよぉ。私はいつも癒されてます。」だった。微妙に作為的なテキストに疑問を感じつつも、二匹の猫が平和に過ごしている写真がストレスを解消してくれる。件名は「おでこ。」で、本文は「あなたのおでこ大好きだよぉ。」となっていた。こういう素朴&単純な内容はイイですな。猫写真は昼寝から起きて伸びをしているところ。なかなかイイ!!

 拙宅の場合、猫が住む場所が仕事場所なので、ま、猫からのメールが届くからと言っても、日常が大きく変わる感じではない。猫~っ!! という気分になったら徒歩約5秒とかで猫を触りに行けるっていうか、いつも猫の近くに居るからだ。

 しかし、てれeにゃんこ、フルタイムで出かけて仕事してる愛猫家や愛犬家にとっては、けっこー大きな楽しみを作ってくれるような気が。ひとり住まいだったりすると、なお。

 拙宅のケースでは、てれeにゃんこからのメールは1日8~12通。昼間は1時間に1通のペースで、夜は(てれeにゃんこ設置環境が暗いので)ほとんど来ない。

 この環境のもと、愛猫なサラリーマンを妄想してみると……会社で働いていて、ときおり、愛猫写真がメールされて来たら、やっぱり、細々したイライラが消えたり、愛猫元気で安心って気になったり、いろいろな意味で精神的安定が得られるだろうな、とか思うわけだ。

 てれeにゃんこのような製品、他にはちょっとナイし、Webカメラとかで代用しようとすると技術的・設備的な苦労や面倒もある。また「それっぽいメッセージも添えたい」となるとさらに難しいだろう。その点、てれeにゃんこは前述のようにACアダプタをつなぐだけで良い。ペットを愛して止まない人にとっては、なかなかツボを押さえた製品/サービスだと思う。



多少の難点も

 てれeにゃんこ、他にはない製品/サービスということでおおむね満足できたし、機能的にもこれでだいたいイイんじゃないかとも思った。が、細々したところで、さらにブラッシュアップして欲しい点や、改善して欲しい点が見え隠れする。

 例えば、最初の設置時にカメラが捉える映像をもっと容易に確認できるようにして欲しいということ。前述のようにACアダプタ抜き差しで行えるものの、ケータイに届く画像をいちいち見てのカメラ向き(てれeにゃんこ設置位置)微調整は面倒だ。

 もっと言えば、カメラが被写体を自動追尾してくれたりなんかするとグレイト。でもまあ、そこまでヤルとハードウェア的に高価・複雑になり、開発もタイヘンであり、そこまで求めるユーザーも……って気もするが。

 それから、メール送信頻度が固定的である点。実質1時間に1通までというメール送信頻度となっているが、これ、ユーザーの好みで数段階に変えたいような気が。例えば15分に1通届いて欲しい人もいるだろうし、2時間に1通程度でイイって人もあると思う。ペットの動きとは無関係に、一定時間毎にメールが欲しいって人もあるだろう。こういった設定面での自由度を増して欲しい。

 てれeにゃんこを使っていて、楽しいんだけど強く気になりもした点は、メッセージの内容である。拙者的な結論を言えば、ユーザーが“メッセージの傾向やタイプ”を選べるようにして欲しい。

 例えば、てれeにゃんこレンタル契約時に、[こどもタイプ]、[学者タイプ]、[詩人タイプ]、[おばかタイプ]……みたいな選択肢からひとつを選ぶと、メールの件名や本文がある程度一定のキャラクターによるものに統一されるような。

 とか言ってるのは、てれeにゃんこからのメッセージ、ハッキリ言ってムラとバラつきが多いからだ。もちろん、なかには拙者好みのものも少なくないが、ぶっちゃけ、拙者的にとってイラッとするようなメッセージも少なくない。どれが好みでどれがイラッなのかはさておき、以下にメッセージの一例を並べてみた。



件名風のなか走りたい。
本文自転車に乗りたいな。あなたと風のなか走りたいな。
件名普通の感覚。
本文いつでも普通の感覚を失わなければ、困ることはないんだぁ。
件名無理しないでね。
本文自分の幸せに貪欲であって欲しい。「逃げない勇気」も「逃げる勇気」も持ち合わせた人になってるといいですよぉ。
件名大切にして欲しい。
本文好きなものを好きだと言い切れる気持ち、大切にして欲しい。
件名自分の好きなもの。
本文あのねぇ、「幸福になるのは、自分の好きなものを持っているからであり、他人がよいと思うものを持っているからではないと思います」
件名思う通りになる。
本文どうにもならないと思っている人にはどうにもならないが、思う通りになると思っている人には思い通りになる世界なんだって。
件名ほんとはね。
本文ほんとはね。君のことが大好きなんだ。いつも知らん顔してごめんね。
件名あなたを認めてます。
本文ひとは誰でも自分を認めてもらいたいものですよね。わたしは、あなたを認めてますよぉ。
件名外に出たい。
本文風がはこんできた、子供の声が聞こえるよぉ。外に出たいよぉ。
件名幸せになるように。
本文星が瞬く度に願い事を繰り返し過ごした夜がありますよぉ。あなたが幸せになるようにね(照)
件名私たちの絆。
本文矛盾だらけの毎日だけど、私たちの絆は変わらないんだよね。
件名傷つくことを恐れる。
本文一人では何もできない。寂しさに泣き、恐怖に震える。大切なものが奪われることを怖れ、傷つくことを恐れることがあります。
件名直感。
本文『あっちに行ったら得しそう』を選んではいけません。直感で『こっちは儲からないけど楽しそうだ』と思えるほうを選ぶといいですよぉ。
件名いま幸せ。
本文いつのまにか出逢ってしまいましたね(笑)。いま幸せな気分。
件名誰にでも過ちはある。
本文ひとである限り誰にでも過ちはある。自分の過ちや失敗の中から、未来に備えるための知恵を学び取るんだなぁ。
件名希望がある。
本文あなたと一緒に歩く春が大好き、春の向こうに希望があるんだね。
件名何にも求めない。
本文かねも名誉も地位財産も何にも求めないあなた。尊敬しています。
件名わたしの恩返し。
本文わたしはわすれない、あなたとの出会い。わたしの恩返しは黙って抱かれることなんだぁ。
件名幸せストーリー。
本文まずは行動しなくっちゃ始まらない。いくら悩んでいたって、頭の中だけでは誰にも伝わらない。あなたの幸せストーリーを始めてみようね。
件名ホントはね。
本文ホントはね。ギュッと抱きしめてほしいんだ。
件名無駄なことじゃない。
本文たとえ失敗したって、それはあなたにとって決して無駄なことじゃない。
件名苦痛になってきますよぉ。
本文勉強やりたくないなぁ。 仕事やりたくないなぁ。やらなくちゃいけないことと捉えると、だんだん苦痛になってきますよぉ。
件名ちゃんと伝えて。
本文ありがとう、大好きだよ、という気持ちをちゃんと伝えてくださいね。初めは照れくさいかもしれないけれど。
件名愛してます。
本文今度、愛してるって言ってください。私もあなたを愛してます。
件名どうするの。
本文爪のびちゃった。どうしたらいいの?
件名おでこ。
本文あなたのおでこ大好きだよぉ。
件名楽しい時間。
本文一番楽しい時間は、誰にも分からない二人だけの秘密や楽しみを共に語り合っている時だよね。
件名いい気になる。
本文わたしも、おだてられればいい気になるし、わるくちいわれりゃ落ち込みます(涙)
件名公園に行きたい。
本文あした公園に行きたいな(笑)朝早い方が気持ちいいね。
件名昔のまま。
本文あなたの笑顔、昔のままですね。安心です。
件名きっかけ。
本文「きっかけ」は、どこにでもある。 目の前の景色の中にも、会話の中にも、そして、自分の中にもね。


 こんな感じ。てれeにゃんこが送ってくるメッセージのごくごく一部だが、ぶっちゃけ、統一感がナイですな。ペットっぽいのもあれば、哲学風なのもあり、処世術みたいなのもあり。おみくじ的に受け取るメッセージとしてはオモシロげだ。

 が、ユーザーは“ウチのコの声”として感情移入しつつ読むテキストのはず。そういうテキストが、ときには子供っぽかったり、ときには上から目線の説教っぽかったり、あるいはメッセージによって文体のイメージが随分異なるってのは、どうなのだろうか? 神経質なユーザーにとってはクリティカルな違和感になるだろう。

 ともあれ、これまでになかなかナイ視点で製品化されているてれeにゃんこ、ハマる人にはビシッとハマるし、何より非常にカンタンに使えるので、興味のある方はその詳細を製品紹介ページにてチェックしてみてほしい。



2009/8/10 11:00