スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

常時接続の外付けドライブを高速SSDにしていくッ!!!

 2024年の8月から9月にかけて、NVMe M.2 SSD(NVMe接続・M.2インターフェイスのSSD/おもにPC内蔵用SSDとして使われている)をMac Studioの外付けドライブとして使い始めた。外付けといっても、使うときだけ接続する使い方で、常に接続しっぱなしって感じではなかった。

こんなエンクロージャー(ケース)にNVMe M.2 SSDを入れて使っていた。MacとはUSB-C接続。

 上のエンクロージャーはACASIS「40Gbps ツールフリー M.2 NVMe Thunderbolt 3/4 USB 4 SSD エンクロージャ(TBU405ProM1/ファン内蔵)」というSSDケースで、Thunderbolt 3対応。ファン内蔵でSSDを効率良く冷やしてくれる。Amazonでは(先ほどは)1000円オフクーポンを使うと1万2599円で買える状態だった。

 このケースにSSDを入れ、外付けストレージとして使っていた。たまに使う画像保存用ストレージとしてだが、「使うときにいちいちUSB-C接続するの面倒だし、USB-Cのポートもケーブルも痛みそう」と思うに至った。さらに「じゃあもうほかの常時接続SSD(SATA)もこのケース使って激速にしてみようかな」と考えるようになった。

これまで使ってきたSATA接続SSDのベンチマーク結果。USB接続エンクロージャーにSATA接続SSDを入れ、ファイル保存のために使ってくきた。遅くなくフツーに実用的。ただMac StudioのThunderbolt 4ポートにつなぐ外部SSDとしては遅い部類で、Thunderbolt 4ポートがもったいない? 他方で、SATA接続SSDは大して熱をもたないので常時接続していても安心感がある。
これは同じポートに前出の“速いSSD”をつないでのベンチマーク結果。ケタ違いの速さだ。ただし“速いSSD”ことNVMe M.2 SSDは発熱がかなりある。

 そこそこ速くて熱をもたないSSDを常時接続して使うか? 爆速級SSDを上記ケースで冷やしつつ常時接続して……使えるのか?

 後者が現実的なら、とてもいい結果が予想される。というのは、読み書きとも速いので、ドライブ間のファイルコピーが非常に速くなるハズ。バックアップも速く済むと予想できる。

 常時接続SSDもバックアップ先のSSDも両方速いものを使うのが前提だが、バックアップにかかる時間もたぶん「ケタ違いと感じるくらい速いハズ」だ。

実験したらOKだった、でも狭い空間だと熱くなってしまう……

 2024年9月の上旬から「速いSSDをMac Studioに常時接続してどうなるか?」という実験を始めた。実験といっても、速いSSDをつなぎっぱなしにして、「熱くなってるかな?」と、ときどきケースに触れてみただけだ。

こーんな感じでSSDケースをつなぎっぱなしにして実験。
ケースの表裏。
ケースへのSSD着脱は工具不要。
ファン内蔵のケースで排熱効率がよくケースが熱くなりにくいが、底面がやや熱くなりやすいので樹脂の足で背を高くして排熱効率を高めた。

 ご存知のとおり2024年9月は真夏のように暑い日が続いた。ただ、実験のSSDは思ったほど熱をもたなかった。室温30度の日でも「人肌よりは熱いが、アチチって感じではない」という熱のもちかたで、「この熱ヤバくね?」とは思わなかった。

 ということで「まあ暑い日でこの程度なら、イケるでしょう」と結論づけて、速いSSDの常時接続運用を開始した。常時接続SSDを机上に出しっぱなしというのもアレなので、机の下に設置したMac Studioの上に置くことにした。

Mac Studioを机の下に吊るようにして使っている。Mac Studioと机面裏の間には35mm程度の隙間がある。前出の冷えるSSDケースの厚みは20mm程度なので、この隙間に余裕をもって収めることができた。スッキリ!

 上記写真の机天板とMac Studioの隙間に2台のSSDケースを入れて使い始めた。Mac Studio本体はほとんど熱をもたない静音爆速マシン(じつはスリープ中だとファンが動かないという理由で熱を少しもつ)。その上にSSDケースを置いても大丈夫だと考えたのだ。ファン付きSSDケースでよく冷えるし。

 しかし、このカタチで使い始めてSSDケースに触ってみたら、机上に置いたときよりも熱をもっていた。「もしかして?」と思ってSSDケースの裏面に触れたら、けっこう熱くなっていた。手に持っていられないってほどではないのだが、「この発熱でずっと運用は……どうなの?」「連続読み書きとかしたらもっと熱くなるだろうし」と少し不安になった。

 だが、SSDケースが熱くなっても「アチチチ!」ってレベルではないし、「きっと大丈夫」とは思った。モヤモヤしながら、であるが。

常時接続外付けSSDの類も、机の下に吊っちゃえ!

 俺内部では「まあこれから冬に向かって気温が下がるわけだし、とりあえずSSDケースの発熱は大丈夫ってコトにしよう」としていた。だが、室内気温40度とかの季節はまた来るのだ。その頃まで発熱問題を先送り……? とモヤモヤしていた。

 そんなとき単純なことを思いついた。机の下に網棚的なものを吊して、そこにSSDケースを置くということだ。↓こんなふうにした。

机の下に網状の棚を設置し、その上にSSD×2台とHDD×1台を置いた。
こんな感じで吊った。
真横から見た様子。アイリスオーヤマが販売しているスチール網棚の棚部分だけを使っている。

 結果、SSDはこれまででいちばん冷えた状態になった。室温が25度くらいだと触っても「人肌以下」という温度。室温が30度くらいでも「十分低温」と感じられる発熱しかない。

 そうなのか?。単純なモンですな。上下空間とも狭いと熱くなりがちで、上下空間とも広い(というか十分な空流が確保できる)と、SSDケースの冷却効率も高まるんスね。

 ちなみに、じつは網棚作戦を実行しても大して差がなかったら、外部ファンも追加して冷やし続けたりしようかな?、と考えていた。それがアイリスオーヤマのスチール網棚パーツだけで解決するとは!

 というわけで「もう常時接続もときどき接続も関係なく、Mac Studioの外付けドライブは全部速いSSDにしましょう?」ということになった。なお、Mac Studioへ常時接続しているドライブは上の写真のとおり、SSD×2台とHDD×1台だ。

大容量ファイルのコピーが快適、バックアップも短時間に

 常時接続の外付けドライブを速いSSDに換えたわけだが、Mac Studioを使って仕事をしているときは、その読み書き速さの恩恵をあまり感じなかった。また、まえのSATA SSDでも十分高速で不便を感じていなかった。刷新していない前の環境でも、速度は十分だったという感じ。

ご参考までに再掲。これまで使っていた常時接続SATA SSDのベンチマーク結果。フツーに速いっていうか遅くないので、通常の使用では不便はなかった。
こちらも再掲。新たに常時接続した速いSSDのベンチマーク結果。SATA SSDの5倍かそれ以上速い。

 ただ、動画などの大きいファイルを一括してコピーするようなときは、新たに使い始めた速いSSDの恩恵を感じる。キビキビとコピーする。「あらまぁ速い! ちょっと待ってホントにコピーしたの?」とか疑うほど超スピーディーにコピーが済んでしまう。

 また、こういう速さがあると、サウンドライブラリなどのわりと大容量のアーカイブを「このドライブからこっちのドライブへ」と移動してフォルダ構成を変えるようなときにはスゲく快適。効率がよくて気持ちイイ!

 まあでもこの気持ちよさ、たまにって感じなんスけどね。速さがあって助かるが、まあここまで速くなくても、少し待つ程度なので、いいかもしれない、みたいな?

 常時接続の外付けドライブを速いSSDにし、それらドライブのバックアップ先も速いSSDにした。結果、当然ではあるが、各ドライブのバックアップが短時間で済むようになった。これはバックアップのたびに快適さを痛感する。
 たとえば以前、常時接続ドライブもそのバックアップ先のドライブも、前出のベンチマークのSATA SSDを使っていた。そのときは、合計約1.2TB/約21万5000項目をバックアップ(コピー)するのに1時間半くらいかかっていた。それが速いSSDを使うようになったら約15分で済むようになった。

 ほか、合計約320GTB/約1500項目の画像ファイルのバックアップが約3分。合計約280GTB/約9万500項目のテキスト・画像ファイルのバックアップが約2分。これらは以前だと15?20分くらいかかっていた、と記憶している。

 こういうコピーが速いのはとても快適。速くない外付けSSDを使っていて、けっこう時間を無駄にしていたんだなぁ、と思う。

 まあでも速いSSDは、まだけっこう高価だし、快適に使うためのエンクロージャーも安くない。そこまでコストをかけて、上記のような速さを求めるかどうか? そのあたりはユーザーの価値観によって大きく変わる気がする。

蛇足/俺的バックアップ環境をご紹介

 各種データのバックアップ。コンピュータの各種設定やアプリやファイルのバックアップにはいろいろな方法がある。OSに標準搭載されている方法もあれば、ファイルの差分バックアップアプリなんかもある。皆さんはどのようにしているだろうか?

 俺の場合、これまではMac Studioの内蔵SSDだけをターゲットに、Appleのバックアップソフトウェア「Time Machine」を使っていた。Mac Studioに外付けしたストレージは、手動で丸ごとコピーしていた。

 俺的には、「Time Machineは、Mac内のファイルの部分復旧と、新しいMacへの環境丸ごと移行ができればいい」と考えていた。ていうか、考えることにしていた。

 Time Machineのバックアップ先ストレージに必要な容量は、バックアップしたい合計容量の2倍以上が必要となっている。「え?、たまにしか使わないけどバックアップしたいファイルも、Time Machineでバックアップしようとすると、必要なバックアップ用ストレージがかなり大容量になって……お金かかるんですけどぉ?」と。……まあそう思ったのはかなり以前だが。

 ただ、そういう使い方だとたまにヤラカシてしまう。たとえばヒマを持て余して酒を飲みながら「外付けドライブ内のファイル整理でもしよっかな」と始めると……。

 翌朝、「あれ? ……あぁ昨晩ファイル整理したんだっけ、そうそう」と思いつつ「あれぇ?昨晩の俺は大胆にもこのフォルダの中身かなり消したんだー」てなコトがある。さらに「ご丁寧にもファイルを消したうえにその状態でバックアップコピーを取ってる」ということも。

 まあクリティカルなヤラカシではないが、「あぁでもここにあった古いファイルは消さないほうがよかったのかなー」みたいな軽い後悔があったりする。Time Machineで自動バックアップされていたら、消したファイルは即復旧できたが、そうはしていない。

 その外付けドライブも丸ごとバックアップコピーを取っているので、バックアップドライブをつないでファイルを復旧することができる(こともある)。でもメンドクサイからいいや?。絶対復旧したいファイルってわけでもないし、みたいな?

 なのでもう、そういう軽度のヤラカシがあっても手軽にファイルを取り戻せるようにしちゃおうかな、と。そこで、「Mac Studio内」「常時接続外付けドライブに内」「たまにつなぐ外付けドライブ内」とやや分散させていたファイルをまとめた。「Mac内か常時接続全部外付けドライブ内にファイルを置く」という感じに。

 また、すべてのドライブをTime Machineバックアップのターゲットにした。どのファイルであっても、うっかり消去をすぐリカバリーできるようになった。

 ただ、合計約2.4TBくらいバックアップが必要なファイルがある。Time Machineバックアップ用ドライブとしてはその倍以上の容量のディスクが必要になる。なので、とりあえず6TBのHDDを使うことにした。

 新たなバックアップ環境を組むときに「6TBのHDDとか高そう……」と思ったら、「いまそういう値段なの?」と。Western DigitalのWD Blue 6TB(5400RPM)がAmazonで1万5120円だった。

 エンクロージャー(HDDケース)は玄人志向の「GW3.5AM-SU3G2P」で、これはAmazonで3000円だった。大容量ストレージ格安時代なのか……。

 ちなみにこのHDDとエンクロージャーの組み合わせ、コンパクトにまとまりつつ非常に静穏でありつつ発熱もほとんどなくてイイ感じ。1万8000円くらいで快適に使える6TBのHDDが手に入るって……。

 さておき、そんな感じでバックアップ環境を整えたら、当然だが安心感がUP。どのファイルを間違えて消しても取り戻せるようになった。

 最近では大容量HDDも高速・大容量SSDも、それらを収めるエンクロージャーもかなり値段が下がってきている。ストレージ容量使い放題……とまでは行かないが、わりと安価に十分な容量を使えるようになってきた、いい時代なのかもしれない。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。