スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

画面折りたたみ式パソコン、Lenovo「ThinkPad X1 Fold」を試す

世界初の画面折りたたみ式パソコンなのに、完成度がイキナリ高いッ!!!

 チョ〜気になっていた新型パソコンを借りてみた♪ モノはLenovo「ThinkPad X1 Fold」である。

 短期間の試用なのでジ〜ックリとは試せなかったが、ザッと使ってみた俺的印象を言えば、「完成度、高っ!!!」という感じ。いや〜ツッコミどころが多々ありそうな気がしていたが、その予感は完全に裏切られ、いわば「抜け目」が全然ナイ。

 画面の折りたたみ機構が非常によくできていて、広げた時には「どこが折りたためる部分?」とわからないほど平面。画面自体の剛性感もバッチリ。また、キーボードもよくできていて、サブノートパソコン的に使った時でも違和感がない。細かいところではUSB Type-Cポートの位置も「ですよね!!!」と激しく同意できる位置にあったり、とても使いやすい。携帯品としての高級感も非常に良かったりする。ホント、完成度が高い。「次にWindowsパソコンを買うなら絶対これにしよう♪」と思ったほどである。

 ともあれ以降、ThinkPad X1 Foldのレビューをば。詳細等は公式サイトを見ていただくとして、ここでは「実際に触れてイジってみての印象」を中心にお届けしたいと思う。

ThinkPad X1 Foldはどんなパソコンか?

 まずはThinkPad X1 Foldの概要から。13.3インチの有機ELディスプレイを搭載したモバイルパソコンで、OSはWindows 10(64bit)を搭載。

 プロセッサーはIntel Core Processor with Hybrid Technology(LakeField)で、オンボード8GBのRAMと256GBのSSDを本体に搭載している。ディスプレイは13.3インチの有機EL(2048×1536ドット)で、タッチ操作および付属デジタルペンによる手書き入力が可能。

 また、Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax対応で、Bluetoothは5.0に対応。本体にはUSB Type-C(3.1 Gen 1)ポートを2つ備えている。メーカー公称バッテリー持続時間は11.7時間。

 ThinkPad X1 Fold本体の主な付属品は、専用キーボード「Lenovo Fold Mini キーボード」とデジタルペン「Lenovo Mod Pen」(4096段階筆圧感知対応/充電式)と充電器(USB Type-C給電/65W)&ACケーブル。キーボードやデジタルペンは本体にセットした状態で携帯可能だ。充電器も比較的にコンパクトなので、ThinkPad X1 Fold一式をまとめて携帯してもまずまずスマートにモバイルできるだろう。

 なお、今回使用した実機(Wi-Fiモデル)の質量は964g(実測値)。付属キーボードは177g(実測値)で付属デジタルペンが16g(実測値)。本体+キーボード+デジタルペンの合計質量は1157gとなった。充電器&ACケーブルが263g(実測値)なので、全付属品をまとめて携帯した場合の合計質量は1420g。

ThinkPad X1 Fold本体の付属品は、専用キーボード、デジタルペン、充電器(USB Type-C給電/65W)&ACケーブル。充電器には充電ケーブルを巻き付けられるのでコンパクトに携帯可能
ThinkPad X1 Fold本体にキーボードをマグネットで吸着させたうえで折りたためる。キーボード左側にはファブリックのループがあり、そこにペンを保持しておける

 肝心のお値段は、直販モデルの価格は39万9300円(税込、以下同)~。だが、原稿執筆現在(2020年11月28日)だとクーポンによる割引があり、これを適用すると32万7426円~となる。

 さて、ThinkPad X1 Foldはディスプレイが折りたためる。ということで、13.3インチのタブレットパソコンとして使えて、ディスプレイを折り曲げるとノートパソコン的に使える。さらに、ディスプレイを完全に折りたたむとA5サイズ程度(10インチ程度)の大きさにして持ち運べる。

広げて13.3インチタブレットパソコンとした状態。サイズは約299.4×236×11.5mm
少し折ってノートパソコンのようなスタイルにした状態
付属キーボードをセットしてノートパソコンと同様に使うこともできる
完全に折りたたんだ状態。この時のサイズは約158.2××236×27.8mm

 変形機構♪ ソソられるゼぇ〜。そしてタブレットパソコンとしてもノートパソコンとしても、また今まで見たことのないノートパソコンっぽい全画面パソコンとしても使える。う〜ん、とりあえず欲しい。そして5Gモデル(4G運用も可能)も選べたりする!!! SIM挿せるって、スゲく実用的な感じ♪

 なお、ざっくり使ってみての処理速度的使用感は、まあフツーで問題ナシという印象。ThinkPad X1 FoldのプロセッサであるLakefieldは省電力がウリのチョイ特殊なプロセッサであり、オンボードRAMが8GBということもあり、ThinkPad X1 Foldは高いパフォーマンスを求めるパソコンではない感じ。あくまでもモバイルパソコンという立ち位置だと思われる。

用途が広がる折りたたみ式ディスプレイ

 ThinkPad X1 Foldの美点は、ディスプレイを自由な角度に折って使える点。ディスプレイは本体と一体化しているので、全面ディスプレイの本体を自由な角度に折れる。13.3型タブレットを折れる、というイメージだ。これにより、ThinkPad X1 Foldを様々なシチュエーションに適したカタチにして利用可能。

本体を完全に広げた「ポートレートモード」。タブレットパソコンとして使う感じっスね
本体背面にはキックスタンドが折りたたまれていて、これを開くと完全に広げたThinkPad X1 Foldを横向きに自立させられる。ポートレートモードにした状態のThinkPad X1 Foldには、端末短辺と長辺にそれぞれUSB Type-Cポートがあるので、給電・充電しながらでも使える
自立させた状態の「ランドスケープモード」。ちなみに付属の専用キーボードはBluetoothキーボードで、ThinkPad X1 Foldがどのモード(形状)でも使用できる
少し折った状態が「ミニクラムシェルモード」。前方の画面と手前の画面を使い分ける、ちょっと新しい使い方が可能だ。例えば前方画面でテレカン用アプリを開き、手前画面でメモを取るなど、これまでにはない便利な使い方を探っていける
ミニクラムシェルモードの時にキーボードを手前画面に乗せると、キーボードがマグネットで吸着され、手前画面にあった表示が前方画面に自動的に移動する。ミニクラムシェルモードとノートパソコン状態を手早く切り替えて使うこともできるというわけだ
ミニクラムシェルモードを90°回転させると「ブックモード」に。電子書籍などをより自然なスタイルで楽しむことができる

 こんなふうに形状を変えて使っていて、けっこう驚いちまうのがディスプレイの完成度の高さ。どーしてもディスプレイのヒンジ部(曲がる部分)に注目してしまうが、凄いのが完全に広げた時の「平らさ」である。画面点灯時は見つけようとしなければヒンジ部がわからないくらい平ら。全然違和感なく使えるのだ。

ポートレートモードでディスプレイを点灯させて使っている時は、ヒンジ部も真っ平ら。違和感なく使える
ディスプレイを消灯するとヒンジ部のごく微妙な歪みを、ほ〜んの少し見つけやすくなる
ミニクラムシェルモードでは、照明器具の位置によってはヒンジ部に若干の映り込みが見えたりする

 それからこのディスプレイの表面、一般的なタブレット端末と同様に硬質。指でけっこう強めに押しても色が滲んだりはしない。ディスプレイ表面の剛性が高いので、デジタルペンや指先でのソフトウェアキーボード操作をより躊躇なく行えてイイ感じ。なお、ヒンジ部も同様の剛性感がある。

 表示全般もイイ感じ。コントラストも発色も良好で、それにコレって筆圧4096段階対応のデジタルペンに対応している。13.3インチで筆圧対応デジタルペンが使えるタブレットパソコンなので、描いたりする用途もの向くのかもしれない。

 なお、付属デジタルペン「Lenovo Mod Pen」の書き味だが、若干の抵抗があり、紙に書いているような感触にわりと近い。ツルツル・コツコツ系の書き味ではなく、ヌルヌル・タッタ系という感じだが、擬音語で言われてもわかりにくいと思うので、気になる方はぜひ実機に触れてみてほしい。

使用感に携帯感に細部の作り、知るほどに欲しくなる一台

 ThinkPad X1 Foldを試用していてヤバいのは、アレコレ試すにつれてどんどん欲しくなること。試用開始してしばらくは「次にWindows パソコン買うなら絶対これにしよう♪」という気分だったが、返却期限ギリギリまで試用していたら「この年末の自分への贈り物はーッ!!! 超魅力的なThinkPad X1 Foldなのかもしれないーッ!!!」と熱くなっている俺なのである。その魅力は、折りたたみ式ディスプレイの利便はもちろんとして、ThinkPad X1 Foldの様々な部分の完成度の高さであろう。

 たとえば前出の専用キーボード。個人的には「これの英語配列版があれば!!!」とプチ残念ではあるが、他は全部スゲ〜く完成度が高いと感じられる。

極薄のBluetoothキーボードだが、意外なほど剛性感があり、クリック感のある打鍵感も好印象。ThinkPad X1 Foldにマグネットで吸着した場合、ThinkPad X1 Fold側の電池残量が十分あれば、このキーボードが無線充電される

 このキーボードをThinkPad X1 Foldにセットするとノートパソコン状態で使えるようになるが、その状態で画面を完全に折りたたむことができる。そこで「あら凄い!!!」と感じたりする。

 キーボードをセットしたThinkPad X1 Foldを完全に折りたたむと、横から見ても隙間のないキレイな箱型になるのだ。こういう超細かいところまで完璧主義っていうか、なんかこう日本人の「ここちょっと気持ち悪い」と察知するような繊細さを見越して設計されている、と思わせるマシンだ。

キーボードを挟まずに完全に折りたたんだThinkPad X1 Fold。ちょっと隙間ができて、な〜んか気持ち悪い
キーボードを挟んで完全に折りたたんだThinkPad X1 Fold。きれいな箱型になった。気持ちイイ〜♪

 キーボードの左側には付属デジタルペンをホールドさせておけるファブリックのループがある。で、ここにデジタルペンを挿してみると「あらま!!!」と思ったりする。

 というのは、ペンの長さが折りたたんだ状態のThinkPad X1 Fold本体短辺と同じなのだ。あらま〜キレイ。しかも長さ的に使いやすいペン。このパソコン、こういう細部まで「作りが完璧」って感じが、まあホントに清々しい!!! のである。

 レザーカバーも好印象。最初は「あ〜このお値段するパソコンだからレザーカバーなのね〜はいはい」とか思った。が、使ってみると実用性に直結しているレザーカバーであった。

 すなわち、まず完全に折りたたんだ時に手に持ちやすいこと。机上に置いてある状態からでも、レザーカバーの丸い端の部分(ヒンジ部)を掴みやすい。レザーカバーは滑りにくいので、そのまま掴んで持ち上げやすい。こんなに「落下の不安感」がないモバイルパソコンはちょっと珍しいと思う。

 また、そんな滑りにくさがあるので、ノートパソコン状態で使う時にも、机上での安定感が非常に高い。前後左右に滑りにくいし、ガタツキも皆無だ。「レザーカバーはカッコツケじゃなくて、こういう実用性のためだったんスね」と考えを改めた俺なのであった。

 他にもいろいろ美点があるThinkPad X1 Fold。イジって触っているうちに、税別36万3000円からって……そんなに高くないんじゃ? みたいな気分になってくる。それほど魅力に溢れつつ実用性の高いマシンなので、興味のある方はぜひ実機に触れてみてほしい!!! 俺は買いたくてたまらねえので、もうちょっと激悩みしてみるゼっ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。