スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhoneと好相性の高音質カメラ「Q2n」
2017年10月23日 06:00
iPhoneと好相性の高音質カメラ「Q2n」
ZOOMから発売されている音楽収録向けの高音質ビデオカメラ「Q2n」(公式ページ)を買いました。ZOOMからは「Handy Video Recorder シリーズ(公式ページ)として、音質を重視したビデオカメラが3種類発売されていますが、そのうちで最もシンプルで安価なのが「Q2n」です。音楽を収録するという目的ではないんですが、このカメラ、取材などで「会話や状況映像を残すためのカメラ」として使えそう!? ということでAmazonにて1万8144円で購入。
購入理由を少々説明しますと、取材時に「動画メモ」を残すための小型ビデオカメラを探していたんです。取材時は静止画を撮影しつつ、先方担当者の話を伺いつつ、ときにはプレゼンテーションを受けたりも。先方からの話を正確に残すためにICレコーダーを使ったりするわけですが、筆者の場合は以前から動画で残していました。ICレコーダーと同様に会話が音として残せるのに加え、動画なら現場の状況や人の身振り手振り表情までわかるので、何についてどういうニュアンスで会話しているのかを比較的に克明に記録できます。
スチルカメラ+ビデオカメラでの取材、メモを取る必要が減りつつ、後から動画で会話などをチェックできるので「テープ起こし」的な作業の効率も高まり、かなりオススメ。なんですが、上のキヤノン「iVIS mini X」は生産完了品。そろそろ代替の小型ビデオカメラを見つけないとなあ……と探していて、目的にマッチしたのがZOOM「Q2n」だったというわけです。
で、実際に取材に「Q2n」を使ってみたんですが、結果はOK! 満足! 撮れる動画も音声も十分な品質で、それから機材としてのハンドリングも良好。取材時の使用感は本稿の最後に述べるとして、以降、ZOOM「Q2n」の機能や使用感についてレポートします。
「Q2n」ってどんなビデオレコーダー?
まず「Q2n」の概要からですが、スペック(公式ページ)からもわかるように、シンプルな高音質サウンドレコーダーに動画録画機能が追加されたというイメージです。ビデオカメラとしては、レンズは固定焦点で視野角160°(5段階のデジタルズームでズームアップ撮影も可能)、最高画質でフルHD/30fpsまで。今時的なデジカメからも見劣りする? くらいの性能です。
しかし音声は24bit/96kHz、24bit/48kHz、16bit/44.1kHzで録れて、立体的なサウンド録音を期待できる120° XYステレオ方式のマイクを内蔵。プラグインパワーの外付けマイク対応だったり、イヤホンを接続して録音をモニターできたり、入力ゲインをボリュームツマミで調節できたり、レベルメーターやピークインジケーターが表示されたりと、応用の利く作り込みがなされています。ビデオレコーダーではありますが、機能的な重点を高品位サウンドレコーダー側に置いているというわけです。
単体で使えるほか、PCやiOS端末と組み合わせても機能します。具体的には、PCとUSB接続するとWebカメラとして使えるほか、USBマイクとしても使用可能です。
iOS端末ともUSB接続でき、その場合は「Lightningto USB Camera Adapter」や「iPad Camera Connection Kit」が必要。それらアダプター経由で接続すると、「Q2n」をiOS用カードリーダーやiOS用USBマイクとして使うことができます。
iOS用カードリーダーとして使った場合、「Q2n」内のmicro SDカードにあるファイルを読み込み可能。「Q2n」で撮った動画をiOS標準「写真」アプリに保存して再生することができます。
iOS用USBマイクとして使った場合、マイクを使用するアプリにて「Q2n」をマイクとして使えることが多く、より高音質での録音が可能になります。「Q2n」側の録音プリセット設定やローカットフィルター、ダイレクトモニター機能、レベルメーターやピークインジケーターなども利用可能です。
てな感じで、PCやiOS端末とのUSB接続まで考えると、レコーダーとしてなかなか汎用性があります。筆者の使い方ですと、「Q2n」で取材中の動画メモを撮影し、取材後にその動画をiOS端末に転送してチェックできるあたり、かなり実用的だと感じられます。
「使えばわかる」というイメージの操作系
こういう小型軽量でありかつ多機能気味な製品は、えてして操作性が独自であり、さらに取っつきにくいUIで使いにくいということが少なくありません。「まあしょうがないから慣れるよう頑張ろう」みたいな気分で使い続けるようなことも。
この「Q2n」についても、最初に電源を入れたときは「あーなんか変態な感じのUIかも」と感じました。が、間もなく理解できつつすぐ慣れられて、とてもスムーズに使えると感じています。まあまあ多機能ですが、機能のカテゴリー毎に設定変更用ボタンが分かれているUIで、「ちょっと使えばすぐわかる」という操作系だと思います。UIを操作する様子を写真で見れば、「なるほどネ」と理解できるのではないでしょうか。
全体的にこんな調子。画面左右にある6つのボタンで、主だった6つのカテゴリーの機能設定を変えていきます。実際に使っていくと、そのシンプルさは「迷いようがない」という感じです。
より細かな機能設定は、少し複雑さが増しますが、扱うボタン数やページ数が少し増える程度。やはりすぐ理解でき、スムーズに扱えると思います。これも写真で見てみましょう。
てな感じで操作・設定していけます。一度使えばすぐわかり、その後は説明書不要になるという感覚。特殊な機材ではありますが、意外なほど迷わずシンプルに使い進めていけます。
なお、音質や画質は「Q2n」公式ページのサンプルをご参照いただきたいのですが、動画画質はそーんなにキレイって感じではなく、必要十分に撮れるというレベルだと思います。映像は、レンズがパンフォーカスなのでクッキリって感じではないですが、そこそこキレイ。現場の雰囲気や状況を撮るには十分でしょう。
音はクリアで左右の分離も良好。音楽を撮るとステレオ感が十分あるサウンドが得られると思いますが、人が話している様子を録画しても、どちらの人が話しているかよくわかる立体感があります。録音についても録画についても、それぞれシーンプリセットがあるので、「Q2n」にだいたいお任せというスタイルの「お手軽収録」も現実的だと思います。
取材に使ってみて
筆者の場合は「Q2n」を取材用の「動画メモ撮り」に使っているわけですが、その使用感は上々。小型軽量なので、スチルカメラの上部ホットシューに装着しても重さを感じませんし、圧迫感もありません。クリップオン・ストロボを装着している程度なので、機材としてもわりと違和感がなく、行動に不自然さが生じにくくて良いです。
細かい話ですが、前後に長さがあるビデオレコーダーをスチルカメラ上部に装着した場合、ビデオレコーダーの後方への出っ張りによってスチルカメラに接眼しにくくなります。スチルカメラの液晶モニターを見て撮影してもいいんですが、明るい屋外などでは接眼したいところ。「Q2n」だと後方への出っ張りが少ないので、容易に接眼できて便利です。後方に出っ張るビデオレコーダーだと、アームを追加するなどして本体を前方へ移動させる必要があり、機材全体がすこし大げさになり、重くもなります。
さておき、この状態で取材を開始して、まずは「Q2n」で録画開始。手にカメラを持って歩き回りつつ取材する場合、自分が顔を向けているほうにいつもカメラを向けるようにすれば、取材中の視野はだいたい動画に収められます。また、「Q2n」は音をかなりしっかり拾うので、取材中の会話なども問題なく録れました。
個人的な印象では、「Q2n」で撮りっぱなしで行動する場合、1時間半を目安に電池を交換したほうが「気分的に安心できる」という印象です。1時間程度撮り続けると電池残量表示が半減し、そこからちょっと「電池保つかな」とハラハラし始める感じ。「Q2n」の場合、USB給電による動作が可能なので、1時間をオーバーするような「連続撮影」が見込まれる場合、単3形電池ではなく、長時間USB給電可能なモバイルバッテリーと併用すると良いと思います。
あと、iOSデバイスとUSB接続して、「Q2n」をカードリーダーとして使える点もナイスでした。要は「Q2n」で撮った後、iOSデバイスとUSB接続する程度の手間で、撮った動画をiOSデバイス上に転送して再生が可能ということです。長時間撮影していると合計ファイルサイズも大きくなって転送にもそれなりの時間はかかりますが、取材直後に「動画メモ」をチェックできるので、万が一の「撮り直し」もより可能性が高まって安心感が高いです。
動画の再生は「Q2n」本体でもできますが、iOS標準の「写真」アプリで再生した場合は送り戻しも容易ですし、動画の拡大もできますので、効率良くチェックできて便利。同時にスチルカメラの静止画をiOS端末に転送すれば、その日の取材で得た画像素材などを現場で総チェックできて効率的です。
といった感じで、かなり気に入れたZOOM「Q2n」。動画のiOS端末への転送も容易になりましたので、今後はスチルカメラ・「Q2n」・iOSデバイスの3点セットが取材の主力機材になりそうです。「Q2n」は手軽に使える高音質ビデオレコーダーとして幅広く役立つ製品だと思いますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。