スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「iPad Pro 12.9インチ(第2世代)」を1カ月使ってみて

「iPad Pro 12.9インチ(第2世代)」を1カ月使ってみて

 連日iPad多用中のワタクシですが、2017年6月発売の新型12.9インチiPadこと「12.9インチiPad Pro」(公式ページ)も予約購入しました。その後、1カ月以上使ってきましたので、その使用感などについて書いてみたいと思います。

2017年6月に発売されたアップル「12.9インチiPad Pro」。12.9インチのiPad Proとしては第2世代となるモデルで、第1世代モデルよりプロセッサやカメラなどが強化されています。外観はほぼ同じなので、イメージ的にはマイナーチェンジということになるのでしょうか。もちろんApple Pencilも使えます。第1世代モデルと比べると低価格になりました。購入したのはWi-Fi+Cellular/256GB/スペースグレイで、税別11万2800円。

 購入理由ですが、以前から12.9インチのiPad Proが非常に実用的だと感じており、この新型の処理性能や表示性能の強化に興味がありつつ、このサイズのiPadを家族が欲しているからなど、イロイロと。でもまあ、率直な話、ワタクシ的にかなり役立っている端末なので「こんなに使うんだから最新型買っちゃえ~」みたいな勢いで購入した感じ。

 その結果は? 購入前の期待感としては、旧機種と比べて高くなったCPU性能やグラフィックス性能、それから、ちょっと軽くなった質量あたりが気になっていました。ただ、これらについては「思ったほどでもナイ」というのが正直なところ。でもその一方、やや細かい部分ではあるものの、使いやすさに直結する性能UPも多々ありました。てコトで以降、最新型「12.9インチiPad Pro」の使用実感をメインに書いてみたいと思います。

処理速度UPや質量的携帯性UPは、イマイチ体感できず

 まずは期待外れだった要素から。アップルによれは、1世代前のiPad Proと比べると「CPUの速度が30%速く」なり「グラフィックスの処理速度が40%速く」なったということです。ベンチマークテストを行うとこういった公称値より高いパフォーマンスを発揮している、的な話もあったりしますネ。

 こういった処理性能UP、体感としてはどうなのかと言うと、ワタクシの使い方ではほとんど実感できませんでした。iPadで動画編集をしたり音楽制作をしたり高度な3Dゲームをしたりはしませんので、「うわっ速い!」的な体感がナイのは当然なのかもしれません。旧型も新型も快適に使えていて「遅い」と感じることはなかったのも事実です。

 ただ、よく比べると処理速度の差が感じられる部分はあります。たとえばアプリの起動は僅かに新型のほうが速かったりします。また、詳しくは後述しますが、画面のスクロールなども新型のほうがより滑らかに感じられます。

 それから重さ。Wi-Fi + Cellularモデルで新旧端末の重さを比べると、新型が692gで旧型が723g。31g軽くなっています。でもコレもイマイチ体感しにくい差だと感じました。700g前後重さがある端末は、ハッキリ言って重く、それに対して30g重いか軽いかは「どちらにしても重い」という印象が勝る感じ。軽量化は有り難いんですけどネ。

 というわけで、処理速度UPとか少々の軽量化については、体感に結び付きにくいレベル。順当進化ではあると思いますが、そーんなには嬉しい要素とはなりませんでした。

表示はワンランクUP、写真の精査もイイ感じ♪

 画面が大きな「12.9インチiPad Pro」なので、その画面サイズを活かした活用をしています……というか、大きな画面で写真や動画を見たりする場合には「12.9インチiPad Pro」ばかり多用するようになっちゃいました。そんな使い方をしているからか、新型の画面表示には、旧型と比べるとすぐわかる違いがありました。

 ひとつは明るさの幅の広さ(ダイナミックレンジ)や色の豊かさ(色域の広さ)です。新旧「12.9インチiPad Pro」を可能な限り同じ表示設定にして見比べると明らかで、新型のほうがより自然な発色をしますし、明部や暗部のグラデーションの滑らかさにも優れていると感じます。

 それから、画面表面の映り込みの違い。新型はより映り込みが少なく、画面を見にくくする反射が少なくなりました。映り込み・反射の明るさだけ比べると、新型のほうが絞り1段分くらい暗い? というイメージ。つまり、表示以外の余分な要素が少ないです。やや明るい室内で端末を使う状況では、映り込みや反射が少ない分、明らかに新型の画面のほうが見やすく感じられます。とりわけ暗めの静止画や動画を再生した場合は違いがよくわかり、画像をより快適に精査することができます。

 また、表示の明るさも新型のほうが少し上がっているもよう。設定を揃えて最大の明るさにして比べてみると、新型のほうが絞り1.5段分くらい明るいという印象です。明るい屋外で新旧端末の表示を比べると、新型だと「まずまず見やすい」と感じられ、旧型は「ちょっと暗め」と感じられるような、ハッキリとした差があります。

 そんな感じで良好化している新型の画面表示なので、デジカメとの相性もさらに良いと感じています。デジカメで撮影直後に画像をiOS端末に転送し、画像を精査&閲覧しがちなワタクシですが、撮った写真を十分大きな画面で精査できつつ明るさ的にも満足感の高い新型「12.9インチiPad Pro」だと思います。サイズ的には大きめ重めの端末ではあるんですが、前よりデジカメと組み合わせて使うケースが増えました。

デジカメで撮影した画像をiOS端末に転送して表示すると、しっかり拡大しつつ手ブレの有無やピントを精査できて便利です。iPhoneでも可能ですが、やはり精査には大画面が快適。新型「12.9インチiPad Pro」はかなり最強度合いの高い「デジカメ向けタブレット」かもしれません。

 もうひとつ、新型「12.9インチiPad Pro」のディスプレイがProMotionテクノロジーに対応している点。120Hzという、より高速なリフレッシュレートでの表示が行えるようになりました。ちなみに旧型iPad Proなどのリフレッシュレートは60Hzだと言われています。この数値が高い方が画面が高速に書き換えられますので、動きのある表示がより滑らかになるというわけです(フレームレートが低い動画などを表示させてもその恩恵はありませんが)。

 実際にどんな違いがあるかと言えば、たとえば地図やウェブブラウザなどのスクロール時に、表示のチラつきがより少ないのがProMotionテクノロジー搭載の新型です。「12.9インチiPad Pro」ではマップをかな~り多用するんですが、スクロール中に図形や文字を十分目で追える感じの「滑らかさ」は新型iPad Proの強みだと感じます。

 ちなみにこのProMotionテクノロジー、同時発売の新型「10.5インチiPad Pro」にも搭載されています。ワタクシの場合、「10.5インチiPad Pro」も使っていますが、「12.9インチiPad Pro」だとよりハッキリとリフレッシュレートの違いからくる快適さが感じられて軽くビックリです。まあ単に画面が大きく表示要素の図形や文字も大きいので、リフレッシュレートの違いがより目立つというコトなんでしょうけれど。ともあれ、イロイロと滑らかに表示されてイイ感じです♪

カメラやスピーカーもグレードアップ!

 カメラ性能にも明らかな違いが感じられました。新旧端末を比べると、アウトカメラが8メガピクセル→12メガピクセルになり、インカメラが1.2メガピクセル→7メガピクセルになり、カメラデバイス自体も変更になったようです。ともあれ、使い比べてみて「あっ全然違う!」と感じられたのがアウトカメラです。

 アウトカメラ自体の細かな仕様もイロイロ違うんですが、使って感じられるのは「画質が全体的に良くなった」「AF(オートフォーカス)が速くなった」といったあたり。誰が見ても使ってもハッキリ別モノと感じられるくらいの違いがあります。

新旧「12.9インチiPad Pro」を使い、なるべく条件を揃えて、同じ被写体を撮影してみました。左が新型、右が旧型による写真です。新型による写真のほうが良好な仕上がりに見えます。なお、新旧アウトカメラは画素数も違いますが、画角も少々異なり、新型のほうがより広角のレンズになっているようです。
上の写真のドットバイドット画像です。左が新型、右が旧型。
アウトカメラの形状は新旧で異なります。左が新型、右が旧型。新型は端末背面よりちょっと出っぱってしまい、使用スタイルによっては少し邪魔なアウトカメラになってしまいました。

 カメラ機能だけ見れば、ほかにも4K/30fpsの動画撮影に対応しているなど、新型のほうがかなり高性能になっています。でもまあ、このサイズの端末で、そーんなにカメラ機能を多用していないのが正直なところ。ナイスな性能UPですが、実利にイマイチ直結していないんでした。

 もうひとつ、明らかな違いとは言えませんが、スピーカー部も少し変わりました。スピーカー自体は変更があったのかどうか不明ですが、音が出る穴の位置や数が変わりました。それによるものなのかも不明ですが、新型はより中低音がよく出るようになり、高音とのバランスがより良くなったという印象があります。

新旧「12.9インチiPad Pro」のスピーカー部を重ねてみました。上側が新型、下側が旧型です。音が出る穴の位置や数がすこ~し変わっています。聞き比べると音質にも差がありました。

 旧型も「こんなに小さいスピーカーなのによく鳴る」という出音で、BGMとして音楽を聴いたり、動画コンテンツのサウンドを聴くといった用途に、けっこー役立ってくれました。個人的には、新型の「高音が目立ちすぎない、わりとバランスの取れた音質」のほうが好みです。こちらのほうが、映画など動画コンテンツを観ているときに耳障りと思うことが少なくて快適だと感じられます。

 といった感じの新型「12.9インチiPad Pro」。目立つ進化がいまひとつ……という感じではありますが、全体的に順当な進化を遂げており、旧型用のアクセサリー類を流用できる場合も多く、値段も実質的に下がって、なかなか買いやすくなった「いちばん大きいiPad」だと思います。携帯性という面では相変わらずイマイチなんですが、iOS端末のラクさを大画面で利用できるという魅力は大きいです。興味のある方は、ぜひジックリとチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。