スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

オウルテックのモバイルキーボード×3機種

オウルテックのモバイルキーボード×3機種

 オウルテックから発売されているワイヤレスキーボードを3機種買ってみました。モノとしては「OWL-BTKB6401 シリーズ」(製品情報ページ)、「OWL-BTKB7801 シリーズ」(製品情報ページ)、「OWL-BTKB6402 シリーズ」(製品情報ページ)です。

 共通する仕様としては、どれもモバイル向けのBluetooth(3.0対応)キーボードで、コンパクトに折りたためて、英語配列。対応OSも共通し、iOS 6.0以降、Windows 8.1以降、Android 4.1以降に対応します。

左は「OWL-BTKB6401 シリーズ」で、64キー、オウルテックダイレクト価格は税込6458円。右は「OWL-BTKB7801 シリーズ」で、78キー、オウルテックダイレクト価格は税込8618円。
左は「OWL-BTKB6402 シリーズ」で、64キー/エルゴノミクス、オウルテックダイレクト価格は税込5378円。右は各機種を折りたたんだ様子で、エルゴノミクスキーボードは2つ折り、そのほかは3つ折りにしてコンパクトに携帯できます。

 買った理由は……なんか年に数度「モバイルキーボード熱」がアガることがあるんですけど、そういうタイミングなのか「んむむ~試してみたい!」と思ったのでポチっとな。使ってみた結論から書くと、どれも十分実用的なモバイルキーボードで、打鍵感も良好、携帯性もナイス。ですが、それぞれにクセや難点なイマイチ点があったりもします。ということで、以降、それぞれのキーボードの使用感などを書いてみたいと思います。

良好なバランスの64キー・3つ折り

 まずは「OWL-BTKB6401 シリーズ」(製品情報ページ)から。3機種中、最もコンパクトなタイプで、3つ折りにできる64キーのキーボードです。オウルテックダイレクト価格は税込6458円。

64キー・3つ折りの「OWL-BTKB6401 シリーズ」。本体サイズは、折りたたみ時が横146×縦93×厚さ17mmで、展開時が横251×縦93×厚さ14mm。質量は185g。USB充電式(microUSB端子)で満充電からの連続使用時間は約84時間です。
片手で持てるサイズ感です。iPhone 7 Plusとだいたい同じ大きさというイメージで、携帯性は非常に良好です。
専用のケースが付属します。ケースはスマートフォン用のスタンドになります。写真はiPhone 7 Plusを立てたところですが、10.5インチiPad Proを縦置き・横置きにしても安定感があるスタンドとして使えます。
キー配列は英語配列ですが、数字キーやファンクションキーがまとめられており、部分的に変則配列です。キーピッチは17mmで、標準的なキーよりも2mm程度間隔が狭くなっています。右写真上のキーボードは後述の「OWL-BTKB7801 シリーズ」で、キーサイズやキーピッチは標準的なキーボードとほぼ同じです。
展開時の裏面。底面の左右端付近は机面から浮いた状態になり、そのままでも使えなくはありませんが、打鍵圧によってはキーボード全体が傾くことも。付属のゴム足を貼るとその問題は解消されます。

 大雑把な使用感から書きますと、押下感がしっかりありつつグラつきも少なく、打鍵感は好印象。キーボード全体の剛性もまずまず高く、安定的にタイプしていけます。キーボード底面は4点(折りたたみヒンジ両端2点ずつ)が机面に接するだけですので、キーボード両端付近はやや剛性が足りず「グニグニ」とした感じで歪みます。ただし、付属のゴム足を貼ればこの剛性感不足は完全に解消されます。ゴム足を貼った状態でもケースに収納できました。

 ほか、3つ折りにできるわけですが、折ったり展開したりする感触もカッチリしていてイイ感じ。キーボード面も裏面も安っぽさはあまりなくて好印象です。実用性の高いケース兼スタンドが付属することまで含めて考えて、納得できる使用感および価格だと感じられました。

 ただ、コンパクトな分、すこ~しキー間隔が狭いこと、部分的にキー配列が変則的ことなど、独特のクセもあります。キー配列は、標準的なサイズのキーボードからこのキーボードの切り換えたとき、最初少々慣れが必要という感じ。でもまあ、極小というわけでもなく、わずかに小さいキーというイメージなので、慣れられる範囲かと思います。

 キー配列ですが、キートップの赤字はWindowsマシンでの入力文字を示していて、Windowsと組み合わせて使うにはより変則的なキー配列になると思います。個人的には多用するBackspaceキーが小さすぎたり、右Shiftキーの小ささが気になったりしましたが、iOS端末で使う3つ折りキーボードとしては「かなりマトモなほう」だと感じられました。十分大きめな上下左右カーソルキーなんかは使いやすいですし、Fnと同時押しですがDeleteキーも用意されています。

 iPhone 7 Plusとだいたい同じサイズ感(折りたたみ時)で、打鍵感もキーボード剛性もイイ感じで、iOS端末で使うには配列も比較的に素直。なかなか使いやすいコンパクトキーボードなので、携帯性重視の方はぜひチェックしてみてください。

たためる&標準サイズキーの78キー・3つ折り

 続いて、「OWL-BTKB7801 シリーズ」(製品情報ページ)。3機種中で最も大きなキーボードになりますが、それでも3つ折りにでき、わりとコンパクトに持ち歩けるモバイルキーボードです。オウルテックダイレクト価格は税込8618円。

78キー・3つ折りの「OWL-BTKB7801 シリーズ」。本体サイズは、折りたたみ時が横166×縦120×厚さ15mmで、展開時が横291×縦120×厚さ13mm。質量は286g。USB充電式(microUSB端子)で満充電からの連続使用時間は約84時間です。
折りたたみ時、片手でまあまあ掴めるくらいの少し大きめのサイズです。iPhone 7 Plusと並べてみても、ちょっと大きいという気がします。とは言っても携帯性の高いキーボードです。
これにも専用のケースが付属します。ケースはスマートフォンやタブレット用のスタンドになります。写真はiPhone 7 Plusを立てたところ。10.5インチiPad Proを縦置き・横置きにしても十分な安定感があるスタンドとして機能します。
キー配列は英語配列で、主要なキーは標準サイズのテンキーレスキーボードと同じサイズ/キーピッチ(19mm)です。赤の刻印はWindowsマシンと組み合わせたときの入力を示しますので、Windowsマシンと組み合わせたときは変則的な配列が目立つかもしれません。
写真は3EのBluetoothキーボード「3E-BKY1」(3E刻印のあるもの)と並べた様子。「3E-BKY1」のレビュー記事はコチラ。「OWL-BTKB7801 シリーズ」と「3E-BKY1」は、ハードウェア的には非常によく似た製品に見えます。打鍵感も酷似しています。ただし、一部ハードウェア仕様や、機能やキー割り当てが違うので、ツールとしては別モノと考えたほうがいいでしょう。前述の「OWL-BTKB6401 シリーズ」と3Eの「3E-HB066」(公式ページ)も同様の関係かもしれません。

 大まかな印象から書きますと、折りたたみ時はそーんなにコンパクトにはならないものの、展開時(使用時)に「標準サイズのテンキーレスキーボードに近いサイズ」になるのがナニカと快適でイイです。「デスクトップPCからこのキーボードに切り換えても、いきなりタッチタイピングできる!」みたいな感覚でスンナリと使えます。

 打鍵感は前述の「OWL-BTKB6401 シリーズ」とよく似ていますが、コチラ「OWL-BTKB7801 シリーズ」のほうがシッカリ感があり、「モバイルキーボードだから」的な違和感が非常に少ないです。キーボード自体の剛性感が高く、折りたたみヒンジ部4点以外にキーボード両端でも机面と接するので、キーボードが歪むとか強く打鍵したときにガタつくといったこともありません。

 キー配列、キーピッチ、キーサイズともに十分に余裕があり、打鍵感も剛性感も良好。表面も裏面もキレイなつくりで、デザイン的にもクセがなくてイイ感じ。値段は税込8618円ですが、標準的なテンキーレスキーボードを折りたたんで携帯できると考えると、何だかんだで魅力的なキーボードだと感じられます。

 ただ、折りたたんでも少し大きめ。iPad miniよりはコンパクトですが、iPhone 7 Plusよりは大きいので、「携帯できる」とは言えますが「携帯性が良好」かどうかは、けっこー微妙なところ。でも、打鍵感やつくり、金属質感の良さや、悪くない携帯性など、良い要素を複数備えている製品です。3機種中では「キーボードとしての実用性」がいちばん高いとも感じられますので、この製品もぜひチェックしてみてください。

モバイルでもエルゴノミクス、64キー・2つ折り

 最後に、「OWL-BTKB6402 シリーズ」(製品情報ページ)。2つ折りにできるエルゴノミクスキーボードです。ワイヤレスでモバイル指向のエルゴノミクスキーボードって珍しいかも~、という好奇心で購入してみました。オウルテックダイレクト価格は税込5378円。

64キー・2つ折りの「OWL-BTKB6402 シリーズ」。本体サイズは、折りたたみ時が横169×縦102×厚さ12mmで、展開時が横328×縦102×厚さ6mm。質量は170g。USB充電式(microUSB端子)で満充電からの連続使用時間は約40時間です。閉じた状態ではキーボードの2つの面がマグネットで軽く吸着しますので、そのまま携帯するのも現実的です。
薄くて軽いので、折りたたみ時はメモ帳を持っているような携帯感です。ケース無しでiPhone 7 Plusと重ねてみましたが、そのまま両方を持って歩けるようなライトな携帯感。
透明の専用カバーが付属します。カバーは2つ折りにしたキーボードの片側だけを覆う形状。カバーを装着した状態でもUSB充電できます。ケースはスマートフォンスタンドとして使えます(縦置きでも横置きでもOK)。
キー配列は英語配列で、キーピッチは17mm。部分的に変則的な配列となっていて、さらに左右が分離され両手首に合わせて傾いたエルゴノミクス配列。「標準サイズより小さめ狭めでありかつエルゴノミクス」という点で、使用感の良し悪しについては個人差がかなりあると思われます。このキーボードも、Windowsとの組合せでは、配列がより変則的になってしまいます。

 ザックリとした使用感を書きますと、キーボード背面全体が机面に密着しますので、剛性の面では問題は感じられません。打鍵感は、キー入力時のクリック感がわりと明確で、ストロークも浅過ぎず、前述の2機種のキーボードと近い快適さがあります。こういう打鍵感がありつつ、展開時6mm/折りたたみ時12mmという薄さがあるのは、「あら凄い!」という印象。

 ただ、キーが小さめでキーピッチも狭めで、さらにエルゴノミクス配列なので、まずは「正しいとされている運指ではないユーザー」を拒むキーボードだと思います。十分タッチタイプできる人でも、小さめキーで狭めキーピッチでありかつエルゴノミクスだと、けっこー戸惑いつつ、慣れるのにある程度の時間がかかると思います。あと、部分的に変則的な配列だとか、キーが一部キーが小さいという特殊要素もあります。でもまあ、慣れてしまえば、両手を無理な角度にしたりせず、ラクにタイプしつつ、キーボードの携帯性も非常に良いということで、魅力のあるキーボードだとは思います。

 しかし、「小さめキー&狭めキーピッチ+エルゴノミクス配列に慣れる」という、何と言うか「二重のプチ苦難」に敢えて立ち向かうほど、この「OWL-BTKB6402 シリーズ」に魅力を感じるかどうかは、ビミョーなところ。もちろん人によるわけですけどネ。

 率直なところ、「このキーボードにすっかり慣れるとフツーのキーボードに違和感を感じる」という新問題が生じるかもしれません。というか、ワタクシの場合はそうなりました。このキーボード、15分も使うとスムーズにタッチタイピングできるようになるんですが、その直後にデスクトップPCの標準キーボードを使うと、けっこー強めの違和感。素直に前述の「OWL-BTKB6401 シリーズ」や「OWL-BTKB7801 シリーズ」を使う方が無難かな、という結論に至りました。

 でも超薄であり携帯性が良く、打鍵感も剛性感もシッカリしているというあたり、魅力ある製品です。試しに触れたら「意外にも自分にマッチした!」ってコトもあるかもしれません。「エルゴノミクスもいいかもな」と思う方は、一度チェックしてみるといいかも、です。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。