法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

4Gの集大成でLife Upgradeを目指した「NTTドコモ 2019-2020冬春新サービス・新商品発表会」

 10月11日、NTTドコモは「NTTドコモ 2019-2020冬春新サービス・新商品発表会」を開催し、今秋から来春へかけて提供されるスマートフォン5機種、フィーチャーフォンとキッズ向け各1機種、AndroidTV端末1機種を発表した。本誌ではすでに発表会の内容をレポートしているが、今回はNTTドコモの発表内容と捉え方について、考えてみよう。

NTTドコモは2019-2020冬春モデルを発表

4Gの集大成

 現在、NTTドコモが提供するモバイルネットワークは「4G」になる。あらためて説明するまでもないが、「G」は「Generation(世代)」の略であり、携帯電話の通信技術として、「アナログ」「デジタル」「3G」に続く、4つ目の世代という意味を持つ。

 4Gの定義については、LTEを3.9Gとして区別するのか、HSPA+などの3Gを高度化したものを4Gに含めるのかなど、さまざまな解釈があるが、NTTドコモは2010年12月に「Xi」という名称でLTEサービスを開始し、2015年3月から上位規格であるLTE-Advancedを採用した「PREMIUM 4G」の提供をスタートしており、約10年近く「4G」「LTE」というキーワードの通信技術が進化を遂げてきたことになる。そして、ついに今年9月には、5Gプレサービスが開始され、来春には本格的な5Gサービスの提供が予定されている。

 こうした状況を踏まえ、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、今回の発表会の冒頭、「4Gの集大成」というキーワードを掲げ、ユーザーの生活をアップグレードするために、これまで培ってきた4G時代の技術やサービスをフルに活かしていくとした。一般的には、次世代の技術である5Gへの期待が高いが元々、日本は4Gネットワークが広く展開され、スマートフォンなどの一般的な用途には十分なパフォーマンスが得られていることもあり、当面は4Gネットワークを活用し続け、5Gへの移行はやや緩やかになると言われている。こうした対応を採ることで、新しい通信技術の初期段階に起こる通信の不安定さや端末の消費電力増といったマイナス要因を回避する狙いがあると見られる。

4Gの集大成として、「Life Upgrade」を謳うNTTドコモ

 すでに、5Gサービスがスタートした海外の記事などでは、数百Mbpsというダウンロード速度を目にするが、一般的なスマートフォンの利用で数百Mbpsという速度が求められるケースはほとんどなく、日本のユーザーとしては5Gサービスへの移行を冷静に待つことが賢明と言えそうだ。

 こうした状況を踏まえ、NTTドコモは今回、スマートフォン5機種を含む合計8機種を2019-2020冬春モデル、既存サービスの拡充を含む新サービスについて、発表した。

 端末については、スマートフォンが5機種と、やや少ない印象もあるが、これは10月1日に改正電気通信事業法が施行され、販売方法が大きく変わることが背景にある。NTTドコモはすでに今年5月で「月々サポート」(端末購入に伴う月額割引)を廃止しており、2019年夏モデルから実質的に値引きのない状態で端末を販売している。

 そのため、一部の機種を除いて、2019年夏モデルも継続して販売されるため、今回発表されたスマートフォンが5機種に抑えられたと推察される。もちろん、これらとは別に、5Gプレサービス向けにも販売こそしないものの、端末を調達しているため、端末調達の予算をある程度、バランスさせたかったという思惑もありそうだ。

 発表されたスマートフォン5機種については、ハイスペックモデル3機種、スタンダードモデル2機種という構成だが、端末購入補助が制限される10月1日以降の状況を考えると、やはり、スタンダードモデルが気になるところだ。

「Galaxy A20 SC-02M」を手に解説するNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏

 シャープの「AQUOS sense3 SH-02M」はもはや定番中の定番とも言えるシリーズの最新モデルだが、戦略的な価格設定が注目されるのがサムスンの「Galaxy A20 SC-02M」だ。サムスンはこれまでもNTTドコモ向けに「Galaxy Feel」などの普及モデルを提供してきた実績があるが、今回は他事業者向けも含め、普及モデルにかなり注力してきた印象で、NTTドコモ向けについてはドコモオンラインショップで1万9440円という価格が設定されている。

ハイスペックモデルにはIFA 2019で発表されたばかりのXperia 5 SO-01Mもラインアップ

 ハイスペックモデルについては、すでにグローバル向けに発表されていたサムスンの「Galaxy Note10+ SC-01M」とソニーモバイルの「Xperia 5 SO-01M」に加え、発売のタイミングが少し遅くなるが、出荷時にAndroid 10を搭載した「AQUOS zero2 SH-01M」も扱われる。Galaxy Note10+ SC-01MはこれまでもNTTドコモで人気を得てきたシリーズの最新モデルであり、予定通りという印象だが、Xperia 5 SO-01Mは好調のXperia 1と並ぶもうひとつのフラッグシップモデルであり、市場での反応が期待される。AQUOS zero2 SH-01Mは従来のAQUOS zeroがソフトバンク向けとSIMフリーのみが販売されていたモデルの後継機種であり、軽量というコンセプトがNTTドコモのユーザーにどのように受け入れられるのかが注目される。

ライフアップグレードを目指すサービス

 一方、サービスについては2019年夏モデル発表時に明らかになっていた「d払い」の「ミニアプリ」が正式サービスとして発表され、このほかに東京海上日動火災保険との協業による「AIほけん」と「ネットトラブルあんしんサポート」、現在提供中のAIエージェント「my daiz」による音声ナビゲーション機能が発表された。

 d払いのミニアプリについては、d払いアプリ内に各サービス提供会社のメニューを用意し、決済サービスを連携させるサービスになる。スマートフォンが普及したことで、さまざまなサービスを利用できるアプリが登場してきたが、ユーザー視点で考えると、店舗ごとやサービスごとにアプリを起動するのは面倒でしかなく、サービス提供会社側としても決済サービスの部分は、セブンイレブンの7Payの例を見るまでもなく、リスクが大きい。

d払いのミニアプリはさまざまなサービスと連動が可能。会場では吉野家に牛丼をオーダーするデモが行なわれていた

 そこで、決済の部分はd払いが請け負い、サービス部分は各社がミニアプリとして提供するわけだ。今回の発表では具体的な事例のひとつとして、d払いアプリから吉野家のテイクアウトを注文し、d払いで決済しておくことで、あとは店頭で品物を受け取るだけという流れが紹介された。この他にもJapanTaxiやドコモバイクシェア、ローソンなどのミニアプリも提供を予定しているとのことで、dポイントの利用を含めた今後の拡大が期待される。

 東京海上日動火災との協業による「AIほけん」については、スマートフォン上で簡単な質問に答えると、自分に適した保険が提案され、スライダーを動かすことで、予算を調整できるというサービスになる。保険サービスへの加入は、かつて対面が中心だったが、現在はオンラインに移行しているものの、どういう保険に加入すればいいのかがわからない人が増えていることもあり、こうした取り組みをはじめるという。

簡単な質問に答えるだけで、最適な保険が提案される「AIほけん」

 保険に限らず、金融サービスなども企業とのタッチポイントが減ってきている状況を鑑みると、ひとつのアプローチ方法として、有効だと見られるが、そもそもの話として、保険サービスに入ることの意義(意味)をもう少していねいに説明しなければ、なかなか若い世代のユーザーは開拓できないのではないだろうか。そういった面も含め、NTTドコモがもっと見せ方、伝え方を工夫していく必要があるように見える。

ステージ上でNTTドコモの吉澤社長と握手を交わす東京海上日動火災保険株式会社 取締役社長の広瀬伸一氏(右)

 また、もうひとつの安心サービスとして、「ネットトラブル あんしんサポート」というサービスが月額500円が提供される。こちらはネットトラブルについての知識を提供することに加え、いざというときに専門スタッフに相談でき、決済サービスの補償範囲も拡大するという内容になる。つい最近、筆者の周りでも仕事とはまったく関わりがないことで、SNSで注目を集めてしまったケースがあったが、スマートフォンやネットサービスが欠かせない時代だからこそ、こういう安心サービスはもっと検討されるべきなのかもしれない。

音声ガイダンスにより、画面を見ずにナビゲーションが利用できる「my daizの新感覚ナビゲーション」

 「my daiz新感覚ナビゲーション」はNTTドコモが昨年から提供している「my daiz」の新サービスで、ZENRINの地図情報を使い、音声ガイダンスによって、ナビゲーションを実現するというものだ。Bluetoothイヤホンなどで音声ガイダンスが流れるため、歩きスマホを解消するという狙いもある。プレゼンテーションで流されたデモ映像を見る限り、一般的なカーナビゲーションと同じように、目印となる建物や商業施設などを読み上げているため、ナビゲーションに限れば、音声ガイダンスのみで目的地にたどり着くことができそうだ。

 完全ワイヤレスイヤホンなども普及しはじめており、今後、こうした使い方がもっと普及することが期待される。ちなみに、こうしたスマートフォンの画面を見ないナビゲーションとしては、iPhoneのマップアプリとApple Watchを組み合わせた環境でも利用でき、筆者も何度か体験しているが、my daizにはイヤホン以外のデバイスを活用する方法も模索して欲しいところだ。

ハイスペックモデル3機種とスタンダードモデル2機種をラインアップ

 さて、ここからは今回発表された各機種の位置付けや端末の印象などについて、説明しよう。各機種の細かい仕様や内容などについては、本誌の速報記事に掲載されているので、そちらも合わせて参照していただきたい。また、一部の製品は発売前のモデルであるため、実際に発売される製品と差異があるかもしれない点はご理解いただきたい。

Xperia 5 SO-01M(ソニーモバイル)

 今年9月、IFA 2019でグローバル向けに発表されたモデルをベースにしたもので、NTTドコモの夏モデルとして発売された「Xperia 1 SO-03L」のコンセプトを継承しながら、ひと回りコンパクトなボディにまとめている。チップセットなどの基本スペックは「Xperia 1 SO-03L」と同じだが、ディスプレイがひと回り小さい6.1インチのフルHD対応有機ELディスプレイを採用する。ボディ幅は68mmに抑えられ、女性など、あまり手が大きくないユーザーにも持ちやすいサイズ感に仕上げている。

Xperia 5 SO-01M

 ディスプレイの縦横比は同じく21:9のシネマワイドディスプレイで、複数のアプリを組み合わせて表示するマルチウィンドウにも対応する。カメラはレイアウトこそ変更されたが、センサーやレンズなどのスペックはXperia 1 SO-03Lと同じで、プロ用機材の開発チームが監修した「Cinema Pro」も継承される。ゲームのプレイ環境を最適化する「ゲームエンハンサー」など、Xperia 1 SO-03Lに先行する機能も搭載されており、ハイスペックを求める幅広いユーザーにオススメしたい端末だ。

Galaxy Note10+ SC-01M(サムスン電子)

 今年8月、米国でグローバル向けに発表されたモデルをベースに、おサイフケータイなどの日本仕様を搭載したモデル。グローバル向けではディスプレイサイズの異なるモデルが発表されたが、NTTドコモ向け(及びau向け)は6.8インチの有機ELディスプレイ搭載モデルのみが投入される。

Galaxy Note10+ SC-01M

 Sペンを利用した手書き入力がクリエイティブなユーザーに着実な支持を受けているGalaxy Noteシリーズだが、今回はSペンで手書きで入力した文字をワンタッチでテキスト化できる機能が追加され、さらにその内容をWORDに貼り付けることで、文書ファイルを作成することができる。「手書きメモ → テキスト化 → WORD文書」という流れで利用できるうえ、ボイスレコーダー機能も利用できるため、まさに記者のような使い方をするユーザーに最適のモデルとなっている。

 Sペンでのリモートコントロールは従来モデルのシャッターに加え、カメラモードの変更などが加えられている。NTTドコモ向けモデルには独自の「てがき手帳」がプリインストールされる。

AQUOS zero2 SH-01M(シャープ)

 昨年150gを切る軽量設計で注目を集めたAQUOS zeroシリーズの新モデル。従来モデルはソフトバンク向けとSIMフリーモデルが展開されたが、今回はNTTドコモをはじめ、各キャリア向けモデルが展開される。6.4インチのシャープ製有機ELディスプレイを搭載し、140g台の軽量に仕上げている。チップセットにSnapdragon 855、8GBの大容量メモリーを搭載するなど、スペックは他のハイスペックモデル同様、今回の冬モデルではトップクラス。

AQUOS Zero2 SH-01M

 ディスプレイは人間の眼の認識なども考慮した240Hz駆動によるなめらかな表示に加え、タッチパネルもゲームなどで起こりがちなタップ抜けを防ぐ高速タッチを実現。充電しながらのゲームでも発熱を抑えるパラレル充電ICを採用するなど、実用面をしっかりと考慮したハイスペックモデルとなっている。

 発売が今冬と謳われているため、入手は少し先になるかもしれないが、スマートフォンをゲームなどでヘビーに酷使するユーザーの期待にも応えてくれそうな一台と言えそうだ。

AQUOS sense3 SH-02M(シャープ)

 必要十分な機能と安定した動作、Androidプラットフォームに対する充実のサポートなどで、定番モデルの地位を確立したAQUOS senseシリーズの最新モデル。NTTドコモ向けとしては昨年12月に発売された「AQUOS sense2 SH-01L」の後継モデルに位置付けられる。

AQUOS sense3 SH-02M

 今回の「AQUOS sense3 SH-02M」では4000mAhの大容量バッテリーを搭載し、5.5インチのフルHD+対応IGZO液晶による高い省電力性能により、一般的な利用で約1週間の電池持ちを実現する。カメラは標準と広角のツインカメラを搭載し、AIによる被写体やシーン認識に加え、AQUOS R3にも搭載された動画撮影時に15秒のショートムービーを生成する「AIライブストーリー」も継承される。3万円台というリーズナブルで価格設定で、今回も再び定番モデルとしての安定した人気が期待できそうだ。

Galaxy A20 SC-02M(サムスン電子)

 今回発表された2019-2020冬春モデルの中で、NTTドコモとして、もっとも強くプッシュしているモデル。サムスン電子としてはハイスペックのGalaxy SシリーズやGalaxy Noteシリーズを展開する一方、NTTドコモ向けではオリジナルのGalaxy Feelシリーズで普及価格帯にも端末を展開してきたが、今回の「Galaxy A20 SC-02M」はドコモオンラインショップで2万円を切る価格が設定されるなど、NTTドコモでは多いとされるフィーチャーフォンユーザーの乗り換え需要を狙う戦略的なモデルに位置付けられる。

Galaxy A20 SC-02M

 ディスプレイは5.8インチのHD+対応TFT液晶と普及価格帯らしいスペックだが、おサイフケータイや防水防塵対応、ストラップホールなど、必要とされる日本仕様をしっかりとサポートする。ユニークなところとしては、radikoによるインターネットラジオとFMラジオを受信できる「ハイブリッドラジオ」の搭載が挙げられる。あと数年で終了する見込みの3Gケータイのユーザーの乗り換え端末として、チェックしておきたい一台と言えそうだ。

らくらくホン F-01M(富士通)

 2016年12月に発売された「らくらくホン F-01J」の後継モデル。3年ぶりのリニューアルになるが、従来モデル同様、Androidプラットフォームをベースにしたフィーチャーフォンで、基本的なメニュー構成などは変えず、買い換えユーザー、らくらくホンユーザーの需要にしっかりと応える。

らくらくホン F-01M

 ディスプレイサイズや解像度、バッテリー容量(1500mAh)なども同じだが、新たに迷惑電話対策機能などが強化されている。らくらくホンシリーズは根強い人気を持っているとのことだが、ラインアップにはらくらくスマートフォンも存在し、ユーザーの年齢層もさらに高くなってきていることを鑑みると、どこまで後継機種がサポートされ続けられるのかがわからないため、適度なタイミングで新しい機種への移行を検討した方がいいのかもしれない。その意味でもラインアップに欠かせない大事な一台と言えるだろう。

キッズケータイ SH-03M(シャープ)

 これまで富士通やファーウェイが手がけてきたキッズケータイをシャープが手がけることになったモデル。従来モデルはハードウェアキーでの操作が中心だったが、今回のモデルはタッチパネルに対応し、保護者が持つスマートフォンと同じようにタッチ操作ができる。

キッズケータイ SH-03M

 また、従来のキッズケータイ F-03Jは2017年発売だったこともあり、3G対応モデルだったが、今回は将来的な3Gサービス終了をにらんでか、キッズケータイとしては初めてLTEに対応し、音声通話もVoLTE対応になった。保護者のスマートフォンで撮った写真を転送し、キッズケータイ SH-03Mで表示するためのギャラリーアプリを搭載したり、Bluetoothビーコンや自宅のWi-Fiへの接続によって、保護者に帰宅を知らせる「おかえり通知」機能も搭載される。

 文字入力で表示される漢字の変換候補が設定された年齢によって変わるなどの配慮もある。スマートフォン時代に合ったキッズケータイとして、来春の新入学シーズンでの拡大が期待される。

ドコモテレビターミナル02(住友電工)

 自宅のテレビをAndroid TVとして使うことができるSTB端末。現在、販売されているドコモテレビターミナル01の後継モデル。4K HDRやDolby Visionに対応するほか、光回線に接続することで、新たにBS4Kデジタル放送も楽しむことができる。USB3.0ポートにHDDを接続して、「ひかりTV for docomo」の番組を録画することも可能。スマートフォンで契約中のdTVやDisney Deluxeといった映像配信サービスのアプリは、Android TV向けにアプリが提供されているので、同じアカウントを設定すれば、すぐに視聴できる。

ドコモテレビターミナル02

 メーカーはNTT向けにルーターなどを供給した実績を持つ住友電工で、発売は来春を予定。2020年のイベントへ向けて、自宅のテレビ環境を強化したいユーザーなら、チェックしておきたい一台。

5Gへ向けてのカウントダウンがはじまったが……

 2019年は国内のモバイル業界にとって、大きな節目の年になると、何度も書いてきたが、今回のNTTドコモの2019-2020冬春モデルの発表を見ると、やはり、端末のラインアップがやや少なめになり、サービスも5Gを控えているためか、あまり派手なものがなかったと言える。

 また、例年であれば、同じ時期にauやソフトバンクも冬春商戦へ向けた発表会や説明会を開催するが、今年はauが発表会や説明会を開催せず、ソフトバンクもニュースリリースの配信のみに留まった。その一方で、サブブランドであるワイモバイルとUQモバイルはそれぞれに説明会を催し、普及価格帯のラインアップを一気に拡充してきた。

 こうした対応は言うまでもなく、端末購入補助が2万円以下に制限されたことで、消費者が手を出しやすい価格帯のモデルをしっかり揃えてきたということを意味するが、これらの価格帯の端末がユーザーにどのように受け入れられるのかは未知数だ。NTTドコモのスタンダードモデルはその名の通り、どちらも標準的な仕様のモデルという印象で、これまでハイスペックモデルに使い続けてきたユーザーにしてみると、少し物足りなく感じるかもしれない。

 しかし、機能的には必要十分以上のものを実現しており、筆者はかなり実用性は高いと見ている。とは言うものの、最終的に判断を下すのは消費者であり、その消費者に対して、各製品をどのようにアピールしていくのかはNTTドコモの取り組み次第だ。常に書いていることだが、昨今の料金値下げや2年契約の流れなどを見ると、各携帯電話会社が自らの製品やサービス、料金プランなどを説明する力は明らかに不足している印象だ。NTTドコモがショップ任せにせず、どのようにアピールしていくのかも注目されるポイントと言えそうだ。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone XS/XS Max/XR超入門」、「できるゼロからはじめるiPad超入門 Apple Pencil&新iPad/Pro/mini 4対応」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂3版」、「できるポケット docomo HUAWEI P20 Pro基本&活用ワザ 完全ガイド」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるWindows 10 改訂4版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。