スタイラスでラクラク文字入力
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| Xperia acroとスタイラス |
スマートフォンのキーボードタッチ操作に難渋している筆者。前回「POBox Touch」のカスタマイズや「ATOK」を試してみたりしたものの、根本的な解決には至らず、結局、なんとなく気になっていたスタイラス「WACOM Bamboo STYLUS」を購入してしまいました。不器用な指よりは断然細く、正確に入力できるのでは、と期待しての導入です。
「Bamboo STYLUS」を使ってみた最初の印象は、持った感じが“太い”ことと、画面タップ時の感触が“柔らかい”こと。10年ほど前に使用していたPalmの、細いスタイラスと堅いタップ感とは完全に正反対。かつてのPalmが感圧式スクリーンであり、Xperia acroなどのスマートフォンは静電容量式のスクリーンであることを考えれば当たり前のことかもしれませんが、タップ時の奇妙な柔らかさに最初は少し戸惑います。
スタイラスで文字入力するとなると、QWERTYキーボードやフリック入力などの操作は逆に非効率。片手でしっかり端末を持ち、もう一方の手で持ったスタイラスで一つずつキーを押していくわけで、1文字あたりの入力の確実性は上がっても、キーボードを連続的にすばやくタップしていくのはどうにも困難です。というわけで、スタイラスを使う場合はやはり手書き文字入力がおすすめになります。
手書きで文字入力できるAndroidアプリには、Palmにも採用されていた「Graffiti」のほか、最近ではMetaMoJiが開発した「7notes with mazec」などいくつか存在します。「Graffiti」は独自の表記方法で文字入力していく必要がありますが、Palmを使用していた筆者にとってはわりとなじみ深いもの。対して「7notes with mazec」は、英数字やカナ、漢字などをほぼそのまま書いていくだけで正確に単文節・連文節変換できる高性能さがウリです。
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| 「7notes with mazec」で長文もラクラク手書き入力 | 液晶保護シートの上からだと、線が途切れやすくなることがある |
ところが、Xperia acroをはじめスマートフォンでスタイラスを使うにあたり、文字入力アプリをどうこうする前に気をつけておかなければならない点が一つ判明しました。それは、“液晶保護シートはできるだけ外すべし”ということ。液晶保護シートを装着している場合、スタイラスで画面上のボタンなどをタップするくらいなら全く問題ありませんが、手書き入力する際などの引きずる操作で誤認識が発生しやすくなることがあるのです。
絶対に液晶保護シートを外さなければならない、というわけではありませんが、誤認識を可能な限り少なくしたいのであれば、液晶保護シートは使わないほうが無難かも。画面を傷などから守って常にきれいにしておきたいユーザーにとっては、これはややデメリットと思われます。ただ、スタイラスの場合、手書き文字入力時はもちろん、お絵かきアプリを使うときも細部まで描き込めるという、指先操作では得られないであろう大きなメリットもあります。
今回は「Bamboo STYLUS」しか試していませんので、別の製品や端末の状態によっては異なる印象になる可能性ももちろんありますが……。現実的には液晶保護シートを諦めて、指先とスタイラスを場面に応じて使い分けるのがベターなのかな、と思います。
国際ローミング中に国番号なしで日本に発信できた!?
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先週、「Mobile Asia Congress」を取材するために、中国・香港に6日ほど滞在した。現地では、主にSIMフリーの「Nexus S」を「3(ハチソン)」というキャリアの回線で運用していた。ただ、ケータイをこちらに一本化してしまうと日本からかかってきた電話を逃してしまうので、「Xperia acro SO-02C」も同時に持ち歩くことにした。以前このコーナーで紹介したように、データ通信をNexus Sに集約してspモードメールなどはテザリングで対応。多少手間はかかるものの、データ定額の料金は1日で28香港ドル。日本円にして約280円と、かなり安い。
ところで、スマートフォンで国際ローミング中にアドレス帳から日本に電話をかける方法をご存知だろうか? 基本的には多くの機種が、フィーチャーフォンに搭載されている「国際ダイヤルアシスト設定」に対応しておらず、手動で電話番号の頭の「0」を消し、代わりに「+81」を入力する必要がある。ドコモは、この機能を持ったアドレス帳を冬モデル以降の機種に提供する予定だが、それ以前のスマートフォンはほとんどが非対応。しかも、Androidの場合、アドレス帳からの発信前に電話番号を編集できず、なぜか発着信履歴からのみこうした操作を行える。つまり、つながらないことを覚悟して、いったん「0」をつけたまま電話し、発着信履歴に番号を残さなければならないのだ。これは、相当面倒な作業……と思っていたのだが、今回試してみたところ、なぜか「0X0-XXXX-XXXX」のままで日本に電話がつながってしまった。
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原因を絞り込むため、FOMAカードをNexus Sに挿して発信してみたところ、同じように国番号なしで日本に電話できた。グーグル純正の端末でOKということは、Xperia acroだけにこうした仕様が実装されているわけではなさそうだ。ちなみに、「03-XXXX-XXXX」などの固定電話へは発信できなかった。これだけだと、OS標準の機能なのか、ネットワーク側で何らかの対応が取られているのかはまだ分からないが、電話がかけやすくなったことは確か。香港特有の事情かもしれないので、今後、取材で別の国を訪れた際にも、ぜひ試してみようと思う。
POBox TouchとATOKと
ソニー・エリクソンの端末で文字入力時に使えるソフトウェア「POBox」。同社のフィーチャーフォンから伝統的に搭載され、早い時期から予測変換やユーザー辞書など当時としては比較的斬新で独自性の高い機能を備えており、常に機能アップが図られてきました。
Xperia acroでは、そのスマートフォン版である「POBox Touch」が搭載されており、フィーチャーフォン版と同様に予測変換など多数の機能を備えていますが、中でも個人的に気に入っているのは、他の文字入力アプリにはあまり見られない、入力ミスをできるだけ減らすためのカスタマイズ機能です。
実は筆者は、タッチスクリーンのキーボードにいまだに慣れません。5文字くらい入力しては途中の入力ミスに気づき、直してはまた5文字ごとに1文字直す。その繰り返しで入力ミスが絶えず、短いメールですら送信し終わるまで本当に時間がかかります。人並みよりはやや大きい手と、少し太い指、そしてたぶん指先の不器用さが原因と思われます。また、頑なに一つのキー面積の小さいQWERTYキーボードに固執していることも原因の一つ。ケータイよりもPCの方がはるかに使用歴が長いので、QWERTYキーボードからなかなか離れがたいのです。
そんな筆者には、「POBox Touch」のカスタマイズ機能がとても頼もしいのです。たとえば「アシストキーボード選択」では、母音キーのみ少し大きめにする「ワイド」や、母音キーを大きくしつつ次に入力するであろう文字を予測して適切なキーのみ押せるようにする「ハイライト」、母音キーをさらに大きくしてハイライトも行う「ダイナミック」という3つのモードを選べます。そして「表示キー選択」では、通常日本語入力時には使うことの少ない「Q」や「X」といったキーを表示させないことで、そのぶん他のキーのスペースを大きくできます。
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| 入力ミスが頻発する悪い指 | 「ダイナミック」で「Q・X・アンダースコア」を表示にして使用 |
まさに筆者のような不器用な人のためにあるような機能。当然のごとく「ダイナミック」で、可能な限り「表示キー」を減らし、これによって入力ミスが激減。しかし、それでも時々、筆者の指先は頑として狙ったキーのわずか横を狙いすまします。一度「POBox Touch」を離れ別の文字入力アプリを試してみるのはどうかと思い、「ATOK」をインストールしてみました。PC版のIMEとして実績のあるジャストシステムの製品だけに、軽快な動作や高い変換精度は魅力的でしたが、残念ながらQWERTYキーボードには「POBox Touch」ほどのカスタマイズ性はありません。「ATOK」はQWERTYキーボード入力よりも、どちらかというと独自性の高いフリック入力の操作性に慣れれば使いやすくなりそうな印象でした。
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| 「ATOK」の独特なフリック入力インターフェイスは使いやすそう | 残念ながら「ATOK」のQWERTYキーボードはわたしに合ったカスタマイズ機能は少ない |
ただ、諸悪の根源はデカくて不器用な筆者の指ですので、いっそのこと指先での操作を諦め、タッチスクリーン対応のスタイラスを試してみたいと考えることもしばしば。スタイラスを使っているシーンを想像すると、10年ほど前に使っていたPDA端末「Palm」を思い起こさせてノスタルジックな気分になってしまいそうですが、使い心地が気になるところです。
Xperia acroのちょっと気になるところ
約3カ月間「Xperia acro SO-02C」(以下、Xperia acro)を使ってきたが、この端末のバランスのよさは、高く評価している。冬春モデルで主流になりつつあるデュアルコアCPUは搭載していないものの、サクサクと動き、UIのエフェクトも気持ちがいい。前回書いたように、電池の持ちにも概ね満足している。
その上で、Xperia acroはいわゆる“三種の神器”にも対応しており、筆者のようなおサイフケータイの愛用者にもうれしい端末と言えるだろう。ただ、赤外線は残念ながら一回も使っていないのだが……(笑)。というのも、最近はスマートフォンが広がったため、連絡先を交換しようと思った相手が、赤外線を使えないというケースも増えてきた。特に普及率の高い東京圏では、そのような傾向が顕著なのかもしれない。相手がiPhoneシリーズやGALAXY Sシリーズで、結局アプリで連絡先を交換しなければならず、「せっかく赤外線を使うチャンスなのに」と思ったことも何度かあった。その意味で、ワンセグとおサイフケータイを搭載しつつ、あえて赤外線を非対応にした冬モデルのXiスマートフォン「Optimus LTE L-01D」は、機能が自分の利用シーンにピッタリ合っていると感じている。今後は、このように三種の神器の中でも、取捨選択が進むのかもしれない。
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| Xperia acroの赤外線機能は非常に充実しており、連絡先以外に画像などの交換もできる | ||
そのような場合でも、連絡先交換用のアプリは、やはりプリインストールしておいてほしい。Xperia acroの場合も、相手が赤外線に対応していないと分かってからアプリをダウンロードして、自分の連絡先を書き、そのあとQRコードを読み取らせるという手順を踏まなければならず、非常に面倒だった記憶がある。Xperiaシリーズは、比較的プリインストールアプリが少なめだが、実用的なアプリはやはりあらかじめ入っていた方がうれしい。それがソニー・エリクソンらしい使い心地いいUIでまとめられていれば、と思ったこともある。
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| やや強い衝撃を与えると、このスイッチが誤作動してしまうようだ |
ハードウェア固有の仕掛けとして気になったのが、カバーと連動するmicroSDカードのアンマウントスイッチ。Xperia acroのmicroSDカードスロットは、電池パックをつけたままmicroSDカードを取り外せる位置にあるため、マウントしたまま抜き差ししてデータが破損しないよう、このようなスイッチが設けられている。これは、発売されたばかりの「Xperia PLAY SO-01D」にも共通の仕様だ。メーカー側の配慮で、あった方がいいような気もするが、まれにこのスイッチが誤作動してしまう。端末を机の上に置いたときなどに少し強い衝撃が加わると、スイッチが動くようだ。もう一度マウントすればいいのだが、いくつかのアプリはmicroSDカード側に移しているため、マウントしてしばらくはそれらが使えない。また、100%の再現性はないが、まれにホーム画面に置いたmicroSDカード内のアプリだけが消えてしまったり、アプリの関連づけが解除されてしまったりもした。microSDカードの取り外しを簡単に、かつ安全に行うための配慮なのかもしれないが、Xperia acroには試供品として32GBのmicroSDカードが付属しており、入れ替えなしでも十分使える。今後は、ぜひ「Xperia arc SO-01C」などと同じ仕様に戻してもらいたいところだ。
今回はあえて少し不満に思う点を書き連ねてみたが、冒頭やこれまでこのコーナーで述べてきたように、使用感には概ね満足している。au版の「Xperia acro IS11S」と合わせ、夏モデルのスマートフォンの中でもっとも売れたというのも十分納得できる。この原稿の執筆と時を同じくして、ソニー・エリクソンがソニーの100%子会社になる旨が発表されたが、体制が変わってもぜひXperia acroのように満足度の高いスマートフォンを作り続けてほしい。














