みんなのケータイ

ハコスコとF-02HでVR!

 3泊5日のスケジュールで中東はアラブ首長国連邦のアブダビへ出張した。初めてバイクの装備一式を抱えて飛行機に乗り、なぜかサーキットで走るという仕事だったのだが、その様子は興味があればCar Watchの記事を読んでいただくとして、アブダビではサーキットはもちろんのこと、その他のさまざまな観光スポットを巡れることもあり、あらゆるカメラをごっそり持って行くことにしたのである。

 arrows NX F-02H以外にもSIMフリー端末のarrows M02、GoProを3台、ソニーの4KアクションカムFDR-X1000V、さらにリコーのTHETA Sと、マスプロ電工のPIXPRO SP360 4Kという全天球・半球撮影が可能なカメラも持ち込んだ。それ以外にマウント類も必要だし、取材用のデジカメとして一眼レフカメラ1台とミラーレスカメラ1台も持って行かなければならないので、それなりの荷物だ。スマホもカメラも用意は万全。ただし、代わりに財布を忘れた。

 それはともかく、なかなか行くことのない海外の国では、その場で見たり聞いたりしたものを帰国後に余すところなく伝えられるよう、動画や写真をたくさん撮っておきたいもの。それを今最も効果的に実現できるのは、流行の1つにもなっている「VR」ではないだろうか。THETA SとPIXPRO SP360 4Kは、まさしくそのVRコンテンツを撮るために持って行ったのだ。

現地に持って行ったスマートフォンとカメラ、マウントの数々
リコーのTHETA Sとマスプロ電工のPIXPRO SP360 4K
こちらは世界最大級とされるシェイク・ザイード・グランド・モスク。デカすぎてフレームに収まらない

 サーキット、砂漠、世界最大級のモスク、テーマパークのフェラーリ・ワールドといった観光スポットはもちろんのこと、会食風景やなにげない移動の時間まで、VR撮影はあらゆるシーンで大活躍である。IT系ではなくモータースポーツ系の取材だったせいか、他の同行者にとってはTHETA SやPIXPRO SP360 4Kだけでなく、VRという言葉自体にもまだなじみがないようで、少し温度差を感じた。IT・モバイル・ゲーム業界ではVRはホットなトピックだが、一般への浸透はこれからなのかな、という印象で、まだまだPRの仕方を考える余地はありそうな気がする。

ハコスコにF-02Hをイン!

 そんなこんなで撮影した静止画や動画のVRコンテンツは、THETA SとPIXPRO SP360 4Kそれぞれの専用アプリでF-02Hにダウンロード。THETA Sの場合は専用アプリのビューワー機能が静止画のVR表示に対応しているので、いわゆるハコスコと呼ばれるGoogle CardboardにF-02Hをサクッと装着し、撮影場所の雰囲気を思い出しつつ堪能できる。動画をVRで見たい時は、いったんPCの専用ソフトで変換してから再度スマートフォンに戻し、「タオ360」などのVR対応アプリで閲覧する。

PIXPRO SP360 4K専用のPCソフト
PC上でTHETA Sの全天球動画を変換
変換した動画を再びF-02Hに戻し、「タオ360」でVR表示する

 もしくは別の変換ツールを用いた後にYouTubeにアップロードし、360度動画として閲覧する方法もあるが、動画をVR化してスマートフォンで扱えるようにするには、このようにひと手間ふた手間かかってしまうのが、気軽に楽しみにくいちょっとしたハードルとなっているような気もする。PIXPRO SP360 4Kについては静止画も動画も、今のところは変換ツールを使ってからYouTubeに360度動画としてアップロードするしかVR表示する方法はないようだ。

 しかし、その手間をかけさえすれば、高精細ディスプレイのF-02HとGoogle Cardboardを組み合わせて、臨場感のある映像を楽しめる。THETA Sの場合、そもそもVR用としては映像の解像度がちょっと不足気味……というのはごもっとも。だけれど、スマートフォンと組み合わせて使うGoogle Cardboardなどの簡易的なVRスコープでは、レンズでスマートフォンの画面を拡大して見ることになるので、ディスプレイ解像度が低いと画像そのものより液晶のドットや画素の3原色が目についてしまい、リアリティを失わせる原因になったりするのだ。

 その点F-02Hであれば、WQHD(2560×1440ドット)という高解像度なディスプレイのおかげで、VRスコープのレンズを通して見たとしても、ドットを視認することもできなければ、3原色が見えてしまうこともない。高解像度の恩恵をこんなところでも受けられるのはありがたい限りである。

こんな感じや
こんな感じですごく楽しんでいるのだが……

 そういうわけで、帰国してから思う存分アブダビの風景をF-02HとともにVRで振り返っているのだが、妻にも土産話代わりにVRを体験させてみたところ、「え、あっ、ふーん、こういう感じね(棒)」と、あまりにも反応が薄くてびっくりした。むしろアブダビのショッピングモールで買ったお土産のクッキー(カナダ産)をぽりぽり食べるのに夢中だ。これはこれで違う意味の温度差を感じる。やはり実際に現地に行かないとその場の空気感や感動は伝わらないのだろうか……。VRを一般へ広げていくには、やはりいろいろと課題が多いのかもしれない。

VR画像のサンプル

アブダビのモスク -Spherical Image - RICOH THETA