みんなのケータイ

 本コーナーで「isai LGL22」を紹介し始めたころ、標準搭載の音楽プレーヤーがハイレゾ音源に対応していることと合わせて、音楽ファイルの参照場所にクラウドサービスの「Dropbox」を指定できると、簡単に触れている。Dropboxの自分のアカウントにMP3などの音楽ファイルをアップロードしておけば、プレーヤーアプリからその音楽ファイルを選んで、再生できるのだ。DropboxはパソコンからWebブラウザでアクセスした際も、MP3などの音楽ファイルについてはそのままブラウザ上で再生できるインターフェイスになっており、音楽ストレージとしての利用を推進しているのかもしれない。

 筆者はファイルの受け渡しやバックアップに使うクラウドサービスとして、DropboxとOneDriveの2つを使っており、最近はOneDriveの利用が中心になっていたが、Dropboxが「isai LGL22」の音楽プレーヤーアプリと親和性が高いことは気になっていた。

 現実的な運用という意味ではまだまだ“様子見”な部分もある。自宅にある数多くの音楽ファイルをDropboxにアップロードするというのは、容量の面で現実的ではないし、聞きたい曲だけアップロードするなら、端末内のmicroSDカードに転送する手間とたいして変わらないという話になる。

 また、isaiの標準プレーヤーはハイレゾ音源の再生に対応しているが、それをストリーミングで受信するとなると、1曲で100MB弱になることも珍しくないハイレゾの音楽ファイルを扱うのは、通信容量の面で厳しく、利用は実質的にWi-Fi環境に限定される。

 こうしたことから、モバイルネットワーク、つまり外出先で上記のようなストリーミング再生を利用するなら、比較的容量が小さいMP3などでアップロードすることになるだろう。

 筆者として、コレだ! という決定的な感覚は得ていないが、じっくり聞きたい曲というより、暇つぶしや、ながら聴き用、買ったもののあまり聞いていない曲、といった楽曲を少し多めにアップロードしておくのが良いように思えた。

標準のプレーヤーアプリではDropboxに保存した楽曲も再生可能。再生しようとすると注意を促すダイアログも
ストリーミング再生を開始するところ。キャッシュを保存し再利用する機能などはないようだ。

 標準プレーヤーとDropboxに焦点をあてているが、それ以外のパターンもある。ファイラーとして有名な「ES ファイルエクスプローラー」を使う方法だ。「ES ファイルエクスプローラー」は端末内のディレクトリを閲覧・管理できるほか、同じようなインターフェイスでクラウドサービスにもアクセスできる。対応しているのは、Box、SugarSync、Dropbox、OneDrive、Googleドライブ、AmazonのS3などさまざま。ここではすでに使っているマイクロソフトのOneDriveをセットアップしてみた。

 「ES ファイルエクスプローラー」を使い、OneDriveの自分のアカウントにアクセスすると、保存した音楽ファイルもちゃんと表示される。音楽ファイルをタップすると、インテントにより端末にインストールされた音楽プレーヤーアプリを選べるダイアログが表示され、指定すると音楽ファイルをストリーミングで再生できる。音楽プレーヤーアプリにクラウドサービスと連携するストリーミング再生機能が無くても、「ES ファイルエクスプローラー」が中継してくれる形だ。

 ファイルをタップして再生すると、基本的に1曲を再生するだけだが、複数の音楽ファイルをあらかじめ指定して「ES ファイルエクスプローラー」側でプレイリストとして登録しておけば、アプリに付属の音楽再生機能「ESメディアプレーヤー」を利用して連続再生も可能だ。

 「ES ファイルエクスプローラー」からインテントで呼び出された各種の音楽プレーヤーアプリは、ウィジェットのような簡易バージョンで、試聴のように非常にシンプルな再生しかできないのは少し残念だが、「ES ファイルエクスプローラー」経由ならOneDriveに保存した音楽ファイルも再生できるわけだ。ハイレゾ音源の音楽ファイルも、プレーヤーアプリ次第なので、再生は可能。ただし前述のようにファイルサイズが大きく、Wi-Fi環境でも再生までに30秒ほどかかる。モバイルネットワークの環境では利用を避けたいところである。

「ES ファイルエクスプローラー」ではクラウドサービスのディレクトリにもアクセスできる
音楽ファイルをタップすると、プレーヤーアプリに受け渡すことが可能。写真はFLACファイルだが、MP3なら「ESメディアプレーヤー」も選択できる
FLACでハイレゾ音源の音楽ファイルを、標準のプレーヤーアプリに渡して再生しているところ。下部にウィジェットのようなプレーヤーが表示される。ほかの場所をタップすると再生は終了してしまう
こちらはGoogleの「Play ミュージック」アプリに渡して再生しているところ。このアプリでも96kHz/24bitのFLACファイルを再生できた。ハイレゾ音源はファイルサイズが大きいため、Wi-Fi環境が推奨される

 もっとも、「ES ファイルエクスプローラー」が活躍できるのは、自宅などのLAN内のデータにアクセスする時かもしれない。クラウドサービスとは関係がない話だが、自宅のLAN内で運用するサーバーに楽曲を集中して保存し、自宅内で共有しておけば、スマートフォンやタブレットから「ES ファイルエクスプローラー」を経由して自由にアクセスできる。音楽ファイルなら上記のように再生でき、LAN内なので通信容量を気にする必要もない。

 このように、クラウドサービスなのか、LAN内の共有フォルダなのかといった違いはあるが、端末の外にある音楽ファイルをネットワーク経由でストリーミング再生する手段も、地味に充実してきている。「isai LGL22」は標準のプレーヤーアプリがDropboxに対応しているので、使い勝手や運用方法を試してみるといったことも気軽にできる。