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撮りためてきたXperia Z1の写真をチェック
【Xperia Z1 SO-01F】
石野純也
(2014/4/8 06:00)
以前もこのコーナーで書いたように、Xperia Z1のカメラは非常に優秀で、出張や旅行のときのコンパクトデジタルカメラの代わりとして活躍している。通信は現地SIMで行うため、SIMフリーのNexus 5やiPhone 5sは別途用意しているが、撮った写真をFacebookやTwitterにアップしたいときは、現地SIMを挿した端末のテザリングを使えばいい。ある意味、Wi-Fi搭載カメラのような使い方もできるというわけだ。こうした出張や旅行で写真を撮りため、以前よりもXperia Z1のクセがつかめてきた。そこで今回は、海外出張時に撮った写真で、Xperia Z1のカメラの実力を見ていきたい。
CESとMWC(の前後)で撮った写真を以下に掲載してみた。1つ1つの仕上がりは直接見てほしいが、比較的明りの少ない室内などでも、くっきりとしておりノイズも少ない。特に、(1)の果物・野菜や(2)のステンドグラスのような鮮やかで色数の多い被写体だと、その特徴が際立っているような印象を受ける。青空の発色もよく、(3)のような風景写真や、(4)(5)のような建物を撮った写真もきれいだ。
ただし、少々気になったのが、(6)のような逆光気味で撮ったとき。写っているものは十分わかるが、全体的に暗く仕上がってしまった。これは、本誌で海外版Xperia Z1をレビューしたときも指摘したことだ。あとから明るさを調整すればいいが、他のスマートフォンだと撮るときに“白飛び上等”でもう少し明るめになることもある。(7)は暗い場所にあえてフォーカスを合わせて全体を明るめにしたあとに撮ったものだが、撮るときにはちょっとした工夫が必要だ。ただしそのぶん、空に近いところが白飛びしているため、これはトレードオフと考えておきたい。
光の少ない(8)や(9)のような風景写真だとディテールが甘くなり、拡大すると後処理していることも分かってしまうが、プリントするなら十分。欲をいえば、もう少しだけ自然だとうれしいものの、スマートフォンのカメラとしては満足できる。(10)や(11)のように、もう少し光の量が多いネオンの点灯した建物だと、クオリティは一段上がる。
以前もこのコーナーで指摘したように、Xperia Z1の「プレミアムおまかせオート」は、被写体によって得意、不得意があるように感じている。特に、ご飯を撮るのが苦手な傾向がある。もちろん、いつも失敗するというわけではないが、「メシマズ」に仕上がってしまうことは少なくない。何枚も撮ってきたなか、なんとなくその条件も分かってきた。1つは光源が白熱灯で、暖色であること。被写体の料理にピンク色のような赤みが多く含まれている場合も、おいしそうに見えなくなることがある。おそらく、ホワイトバランスの補正が効きすぎて、料理の赤みを奪い取ってしまっているのだろう。青っぽくなってしまうのには、そういう理由があると推測している。
ただ、プレミアムおまかせオートを解除してホワイトバランスを自分で設定すれば、こうした問題はある程度回避できる。(12)のハンバーガーや、(13)のタコも、(14)のクスクスも、(15)のムール貝も、色味には大きな問題がない。フラッシュを使ったときの光がややキツく出ている(16)ため、ここはもう少し柔らかくしてほしいところだ。
料理のときだけプレミアムおまかせオートを解除するのは面倒だが、この点はちょっとした工夫で使い勝手が上がる。Xperia Z1は本体側面にカメラボタンが搭載されており、長押しするとプレミアムおまかせオートになった状態でカメラが起動する。これを利用して、プレミアムおまかせオートで撮りたいときはボタンの長押しから、手動で撮りたいときは画面のアイコンからといった使い分けを行えば、比較的手間なくベストな設定で撮影できる。
このようなユーザーの声は、MWCでソニーモバイルの黒住氏が語っていたように、メーカー側でもきちんと把握し、製品に反映しようとしているようだ。後継機のXperia Z2では改善されている可能性が高いため、そこで開発したソフトウェアをXperia Z1にもぜひ適用してほしい。
これだけのクオリティがあれば、仕事の“本気写真”にも使えるかと思っていた。そこで運悪く仕事用のカメラのSDカードを忘れたとき、実際にやってみたが、なかなか予想どおりにはいかないことが分かった。原因の1つはフォーカスが合うまでの速度が、普段使っているミラーレスより遅いこと。そのため、写真を撮る間隔が空いてしまい、サッと撮ってメモ取りに戻るということが難しかった。ズームも、特に暗いところだとクオリティが下がる。Xperia Z1はセンサーの画素数より小さく撮り、その分をデジタルズームに使っているが、倍率によってはデジタルズームも併用し、合成で引き延ばしたような粗さを補正している。ただし、暗めの室内だと、ノイズが多くブレも出てしまい、当たり前ながら光学ズームにはかなわない。
最大の問題は、連写していたら端末の温度が上昇してしまった点だ。旅行でスナップ写真を撮る程度の用途では気づかなかったが、連写も駆使して、約2時間の会見中に300枚以上の写真を撮るのは少々難しい。こうなると、カメラが起動できなくなってしまう。もちろん、普段使いでこのようなエラーが起こったことはないが、やはり餅は餅屋。本物デジカメと同じように使えると過信するのは禁物なようだ。