「MyStory」でふり返るケータイライフ
2009年7月30日 11:00(太田亮三)
auでは特に顕著だが、携帯電話のソフトウェアが「KCP」「KCP+」とプラットフォームとして整備されてきたことで、各機種ごとの操作性は多くの部分で共通化されている。どの機種を選んでも操作方法で迷うことが少なくなったのはメリットと感じているが、少なくとも中身については没個性化も進んでしまった、というのがもう一つの側面ではないだろうか。
この「MyStory」アプリがもどかしいのは、毎日立ち上げて眺めても、変化に乏しいところだろうか。1日に利用する内容が反映されても、全体が置き換わるほどの変化は起こらないからだ。したがってこのアプリをもっとも楽しめるのは、逆説的だがこのアプリの存在を忘れた頃、ということになる。筆者は購入直後にチェックはしていたものの、しばらく存在を忘れていた。そして、久しぶりに起動してみたところ、本誌でもおなじみ、人生の大先輩でもある某氏にかわいらしい女の子のアイコンが付けられていて面食らったのだが(最初はランダムにアイコンが付く)、よく連絡をとっている友人との履歴やメール件数の推移などがグラフで表示され、普段はあまり意識しない、可視化された情報にちょっと感心してしまった。
一方で、このアプリで注目すべきなのは、図の外周に位置している人たちではないだろうか。「3週間前にメール送信」「2カ月前に通話発信」などと表示されるのを見て、「もうそんなに連絡していなかったのか」「このあいだ久しぶりに連絡がきたと思ったけど、もう2カ月前のことか」などと、疎遠になっている人たちをしっかりと確認できるのだ(ただし、一度も連絡をしていない人は表示されない)。忙しい生活の中でも「久しぶりに連絡してみようか」と、コミュニケーションの本質や楽しさに立ち返ることができる、地味に心温まるアプリなのである。