運が悪いにもほどがあるiPhoneの初期不良
苦労して入手したiPhone 3Gが初期不良品であることに気がついたのは、購入した日の夜のことだった。iPhoneの左側面にあるスライド型のロックスイッチ(正式名称はサウンドオン/オフボタン)の動きが異常に硬い。よく見るとスイッチが斜めになっている(ケータイで取ったピンぼけ写真しか残っていなくて恐縮だが)。硬いのは仕様、と考えることもできたが、手元にある初代iPhone(米国版)と比較しても明らかにおかしい。
新しいガジェットを手に入れた直後は、ロマンティックが止まらないものだが、そのロマンティックが激しければ激しいほど、初期不良時の落胆も大きいものである。発売日の翌日、iPhone販売の混乱は続いていたが、朝からソフトバンクショップに行くことにした。
話の途中だが、ここでお断わりしておこう。通常のケータイの販売では、こういった初期不良品は珍しい。通常は店頭で箱から取り出し、動作チェックやボディの傷、キーの調子などを確認するからだ。しかしiPhoneの場合、発売日は準備が間に合わず、店頭でのチェックができないケースが多かった。わたしも店頭でのチェックは行なえず、家で初めて単純なハードウェア不良に気がつくことになった。
わたしはまず、よく利用する渋谷のソフトバンクショップに足を運んだ。初期不良は認められたが、iPhoneの在庫はない、として断わられてしまった。その近所にある次の店でも同じように断わられてしまったが、ショップ店員は名刺を渡してくれるとともに、「直営店ならば在庫があるかもしれない」とアドバイスしてくれた。
直営店とは、ソフトバンクが直接運営するソフトバンクショップのことだ。東京なら、表参道や渋谷、六本木にある。わたしはもっとも規模の大きいフラッグシップショップのソフトバンク表参道へ向かった。販売が追いつかず、いまだに行列が続いているソフトバンク表参道なら、在庫がないということもないだろう。
しかし予想に反し、ソフトバンク表参道でも初期不良交換は断わられてしまった。なんでも、ソフトバンク表参道では店頭での動作チェックを行っていて、同店での購入者しか初期不良の交換対応はしないという。ショップのスタッフは代わりに最寄りの渋谷のショップを紹介したが、わたしはそのショップにはすでに行っていて、在庫がないことは確認済みだった。フラッグシップショップも、どうやらこの件では頼りになりそうにないので、わたしは最後の希望を抱いてソフトバンク渋谷に向かうことにした。
いま思えば、最初のショップでたらい回しの予感はしていたので、最初から電話で交換対応できるかを確かめるべきだった。しかし、ショップ店頭でもとくに確認の電話などをしてくれなかったので、なんとなく徒歩でショップ巡りを始めてしまった。これが間違いだった。7月12日。夏休み絵日記の味方、気象庁の「過去の気象データ検索」によると、当日の東京は「晴れ」で、最高気温は33.8度と記録されている。東京で今夏トップクラスの炎天下を何十分も歩くと、心がすさんでくるものである。もっとも、ソフトバンク表参道にはまだ行列が100m以上も残っていたので、そこに数時間並ぶ人に比べれば大幅に楽ではあるが。
ソフトバンク渋谷でも、果たして初期不良は認められた。そして販売用の在庫はもう売り切れだが、交換用在庫はあるとして、初期不良交換してもらうことになった。ようやくたどり着いたのだ。しかし、さらにここでも思いもかけない問題に直面することになった......。