みんなのケータイ

iCloudの設定項目に「キーチェーン」が加わった

 新型iPadの発表と同時にiOS 7.0.3が公開された。番号的には0.0.1のマイナーバージョンアップだが、新機能の「iCloudキーチェーン」が追加されている。

 iCloudキーチェーンは、オンラインサービスのIDやパスワードをiCloud上に保存し、iPhoneやMacなどで同期させ、それぞれのSafariで自動入力させるという機能だ。IDとパスワードだけでなく、クレジットカード番号やWi-Fiパスワードも記録できる。各ブラウザが搭載しているIDとパスワードの自動入力機能に同期機能が加わったようなものだが、パスワードを256bit AES暗号で保護していたり、保存されているパスワードを表示するのに認証が必要だったり、パスワードの自動ランダム生成機能があったりと、いろいろな機能が加わっている。

 「パスワードを自動入力して手間を省く」便利機能というより、「自動生成された複雑なパスワードを人の記憶やメモ帳の代わりに記録する」という、セキュリティのためのパスワード管理機能に近くなっている。

 こうしたパスワードの管理機能の分野では、「1Password」など、サードパーティ製アプリも多く存在していて、そういったアプリの方がいろいろと使い勝手が良いポイントもある。たとえばiCloudキーチェーンはアップル製品(iOS機器とMac)にしか対応しないし、Safari以外のブラウザでも利用できない。サードパーティのアプリだったらWindowsやAndroidでも利用可能だ。

設定画面の「Safari」から保存されたパスワードの確認などができる

 また、iCloudキーチェーンはSafariやOSの機能として組み込まれてしまっているので、記録されているパスワードを閲覧するのに、Safariの設定画面まで行って認証する必要がある。GmailやTwitterなど、専用アプリが用意されているようなオンラインサービスだと、パスワードを確認して入力するのがちょっと面倒だったりもする。

 しかし一方で、iCloudキーチェーンはSMS認証など、ちょっと面倒だけど高いセキュリティ性が確保されているのもポイントだ。アプリ間連携に制限があるiOSにおいて、さらに汎用ブラウザ上で自動入力できるのは、iCloudキーチェーンに限られている。このあたりはアップル純正ならではのメリットと言えるだろう。

 無料の標準機能なので、初心者にも利用しやすいのもありがたい。iCloudキーチェーンにより、パスワードの使い回しや単純なパスワードの利用が減って、ネット全体のセキュリティが向上するといいな、と思う。