みんなのケータイ

夏フェス会場で熱中症の危機を、PayPayオフライン決済に助けられた話

 昨年の今頃、この「みんなのケータイ」に、音楽フェスの会場でメインのモバイル回線が混雑して一時的につながりにくくなり、サブ回線があったおかげで乗り切れたという話を書きました。

 今年も音楽フェスに足を運んで、懲りずにまったく同じ目に遭ったのですが、今度は先頃PayPayが実装したオフライン決済機能に助けられました。

 キャリア各社は音楽フェスのような大規模イベントにあわせて、移動基地局などを配備し、エリア対策を強化しています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクでは、どのイベントに対してどんなエリア対策を行っているかを、下記のホームページに公開しています。

 また今年はKDDIが協賛するなどして、衛星通信のStarlinkを活用したフリーWi-Fiサービスが提供された音楽フェスもありました。

 筆者が参加したフェスでも、一部ブースでフリーWi-Fiサービスが利用できたほか、上記ホームページによれば、ドコモとKDDIが移動基地局などを配備する対策をしていたようです。

 そのおかげもあってか、昨年のようにLINEのメッセージさえ送れずに、友達とまったく連絡がとれないということはなかったのですが、やはり場所や時間帯によってはつながりにくいことがありました。

 年次のイベントはその年によっても来場者数が変動しますし、屋外の場合は天候にも人の動きが左右されます。

 会場が広い場合はどうエリアをカバーするかなど、いろいろ難しいところもあるとは思うのですが、それでもやはりフェス会場がつながりにくいと、いろいろと不自由なことが起こります。そのひとつが電子決済です。

 最近の音楽フェスでは電子決済の導入が進んでいて、筆者が参加したフェスでも今年はほぼすべてのショップ、レストランのブースで、電子決済が利用できました。

 利用可能な決済ブランドも、QRコードからクレジットカード系のタッチ決済、交通系ICまで幅広く、ブースによっては現金で支払う人の列と、電子決済で支払う人の列を分けて対応していました。

 筆者も炎天下に、冷えた飲み物が買いたくて電子決済の列に並んだのですが、列が一向に進まずに、暑さでだんだん視界も狭まってクラクラしてきました。

 30分ほど並び、「このままでは熱中症になるかも」というギリギリのタイミングで、ようやく自分の番になったのですが、スマホを取り出したらアンテナマークはしっかり立っているのに、決済アプリがつながらない状態になっていました。

 「なるほど、列が進まなかったのはこのためか」と、そのときになってようやく合点がいったのですが、すでに後ろには長い列ができています。読み込み中を示すアイコンがくるくる回る、PayPayの画面を見ながらじりじりしていたら、突如「インターネットに接続できない場合の支払い」というメッセージとともにQRコードが表示され、無事決済することができたのでした。

PayPayで支払いしようとしたら、ネットにつながらずじりじりしましたが、オフライン決済機能でなんとか乗り切れました。5000円まで決済できます
ようやく買えた氷入りのドリンクを一気飲み。冷凍パインを脇に挟んで、熱中症の危機を乗り越えました

 PayPayがオフライン決済に対応したことは知っていましたが、実際に使ったのはこのときが初めて。なるほどこういうときのための機能だったかと、体験してみてよくわかりました。

 ちなみにオフライン決済ができるのは、お店側がこちらのQRコードを読み込む場合のみで、5000円までの支払いが可能。お店側の端末がつながっているからこそのしくみなので、スマートフォンでQRコードを読み込み、金額を入力するケースでは使えません。

 おかげで現金の列に並び直すことなく無事に水分を補給でき、熱中症にもならずに済みました。本当に体力的にはギリギリだったので、もしあのときオフライン決済ができていなかったら、ちょっと危なかったかもしれません。

 あとからよく考えたら、交通系ICなどの非接触決済ならオフラインでも決済ができたのですが、そのときは慌てていたので決済方法を変更するという方向には、考えが及びませんでした。

 本来であれば電子決済の方が現金の受け渡しがない分、列が速く進むというのが求められる姿だと思うのですが、その後いろんなブースを観察してみたところ、やはり電子決済の列の方が長く伸びているようでした。

 当たり前ですが、システムがあっても肝心のネットワークがつながりにくいと、スマート化や効率化は難しいですね。衛星などを活用してエリアを拡充する動きがさらに広がり、地方開催される屋外の大規模イベントでも、ストレスなくつながるのが当たり前になったらいいな……と切に思った、猛暑日の一幕でした。